H.A.ベイカー・ジュニア著/松本昇・他訳/今福龍太解説『ブルースの文学』が、「ジャズ批評」(2015年7月号/雑木林進氏・評)にて紹介されました。
2015年 のアーカイブ
7月1日(水)~4日(土)の4日間にわたり、日本最大の本の展示会「第22回東京国際ブックフェア」が東京ビッグサイトで開催されます(一般公開日は3日・4日)。小局は例年どおり「書物復権10社の会」、「大学出版部協会」の各ブースにて、新刊書や好評既刊書を特別謝恩価格で展示・販売いたします。 (さらに…)
1900年マールブルク生まれの現代ドイツを代表する哲学者。マールブルク大学などで学び、1922年同大学でナートルプに師事し博士学位を、28年ハイデガーのもとで教授資格を取得。68年にハイデルベルク大学を退官するまで、マールブルク、ライプツィヒ、フランクフルト各大学の哲学教授を務め、占領下のライプツィヒ大学では学長の要職にあった。ハイデガー哲学の影響のもと、自身の古代哲学・近代哲学研究を生かし、主著『真理と方法』でロマン主義的・歴史主義的な解釈学を超える存在論的な“哲学的解釈学”を確立し現代思想界に多大な影響をあたえた。その後、精神科学論に限定されない世界経験論・言語論を展開し、またツェラーンなどの詩を解釈し、さらに適用論を実践哲学論として展開するなど、その解釈学を発展させ精錬した。「ガダマー著作集10巻」(J. C. B. Mohr)が刊行されている。邦訳書に、『真理と方法』『科学の時代における理性』『理論を讃えて』『詩と対話』『健康の神秘』『芸術の真理』『哲学の始まり』(以上、法政大学出版局)、『哲学・芸術・言語』『ヘーゲルの弁証法』『ガーダマー自伝──哲学修業時代』(以上、未來社)などがある。2002年3月ハイデルベルクにて死去。 1934年生まれ。1959年東京大学大学院修了。ドイツ文学専攻。慶応義塾大学、学習院大学教授を歴任、現在、学習院大学名誉教授。訳書:『挑発としての文学史』(岩波現代文庫)、イーザー『行為としての読書』(岩波モダンクラシックス)、プレッサー『書物の本』(法政大学出版局)、ハーバーマス『近代の哲学的ディスクルスⅡ』(共訳、岩波書店)ほか 1961年生まれ。1991年筑波大学大学院哲学・思想研究科修了。92-93年フンボルト財団奨励研究員(ハイデルベルク大学)。現在、東京理科大学准教授。編著:Gadamer-Bibliographie(P. Lang)。訳書:ドゥット編『ガーダマーとの対話──解釈学・美学・実践哲学』(未來社)、ガダマー『詩と対話』、『真理と方法Ⅱ』、『真理と方法Ⅲ』(以上、法政大学出版局)ほか。 法政大学出版局 ホウセイダイガクシュッパンキョク 凡例
第二部 真理への問いを精神科学における理解へと拡張する
第 I 章 歴史的準備
第1節 ロマン主義解釈学およびその歴史学への適用における問題点
a 啓蒙思想とロマン主義のあいだに起きた解釈学の本質変化
α ロマン主義解釈学の前史
β シュライアーマッハーの一般解釈学の構想
b 歴史学派のロマン主義解釈学へのつながり
α 普遍史の理想に対する困惑
β ランケの歴史学的世界観
γ G・J・ドロイゼンにおける歴史学方法論と解釈学の関係
第2節 ディルタイの陥った歴史主義のアポリア
a 歴史の認識論的問題から精神科学の解釈学的基礎づけへ
b ディルタイの歴史意識分析における科学と生の哲学との分裂
第3節 現象学的探究による認識論的問題設定の克服
a フッサールとヨルク伯における生の概念
b ハイデガーの解釈学的現象学の企て
第 II 章 《解釈学的経験の理論》の要綱
第1節 理解の歴史性を解釈学の原理に高める
a 解釈学的循環と先入見の問題
α ハイデガーによる理解の先行構造の発見
β 啓蒙思想による先入見の信用喪失
b 理解の条件としての先入見
α 権威と伝統の復権
β 古典性を例として
c 時代の隔たりの解釈学的意義
d 作用史の原理
第2節 解釈学の基本問題を取り戻す
a 適用という解釈学的問題
b アリストテレスの解釈学的アクチュアリティ
c 模範としての法解釈学の意義
第3節 作用史的意識の分析
a 反省哲学の限界
b 経験の概念と解釈学的経験の本質
c 問いの解釈学的優位
α プラトンの対話術という模範
β 問いと答えの論理
原注
訳注
訳者あとがき 哲学的解釈学によって現代思想界に多大な影響を与えたガダマーの主著の第II巻。近代の科学的方法思考によって覆い隠されているものあるいは見誤られてきた事柄を指摘し、意識化することを課題にした〈哲学的解釈学〉の、その核心が示される「第二部」の展開。シュライアーマッハー心理学、ディルタイの歴史意識、フッサール現象学、ハイデガーらが解釈学的見解から論及・分析される。
1946年ロンドン生まれ。ケンブリッジ大学で経済学を専攻した後、1970年に社会学で修士号、1972年に博士号を取得。1970年以降、ランカスター大学で教鞭を執り、現在、同大学の社会学科教授(distinguished professor)をつとめている。同時に、英国王立芸術協会のフェローなどを併任。邦訳に、『経済・市民社会・国家』(清野正義監訳、法律文化社、1986年)、『観光のまなざし』(加太宏邦訳、法政大学出版局、1995年/増補改訂版:J.
ラースンと共著、2014年)、『場所を消費する』(吉原直樹・大澤善信監訳、法政大学出版局、2003年)、『自動車と移動の社会学』(M.フェザーストン、N.スリフトと共編、近森高明訳、法政大学出版局、2010年)、『グローバルな複雑性』(吉原直樹監訳、法政大学出版局、2014年)、『モビリティーズ』(吉原直樹・伊藤嘉高訳、作品社、2015年)などがある。 1948年生まれ。1977年、慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。社会学博士。東北大学名誉教授。大妻女子大学社会情報学部教授。主著に、『「原発さまの町」からの脱却』(岩波書店、2013年)、『コミュニティ・スタディーズ』(作品社、2011年)、『モビリティと場所』(東京大学出版会、2008年)、『開いて守る』(岩波ブックレット、2007年)、『都市とモダニティの理論』(東京大学出版会、2002年)、『都市空間の社会理論』(東京大学出版会、1994年)など。監訳に、J.アーリ『場所を消費する』、同『グローバルな複雑性』、同『モビリティーズ』などがある。 法政大学出版局 ホウセイダイガクシュッパンキョク 凡例
謝辞
日本語版への序文
第1章 社会
はじめに
「社会などというものは存在しない」
社会学のさらなる新しい方法的規準
第2章 メタファー
はじめに
移動性のメタファー
グローバルなもののメタファー
球体(グローブ)と圏域(スフィア)
結び
第3章 旅行
はじめに
身体的旅行
モノの移動
想像上の移動
バーチャルな旅行
結び
第4章 感覚
はじめに
視覚性
嗅ぐこと、聴くこと、触ること
結び
第5章 時間
はじめに
社会的時間と生きられる時間
自然の時間と社会の時間
瞬間的時間
結び
第6章 居住
居住とコミュニティ
ローカルな帰属
ブント
文化遺産、国民、ディアスポラ
結び
第7章 シチズンシップ
はじめに
シチズンシップをめぐる論争
シチズンシップと環境
グローバルな市民
結び
第8章 社会学
庭園師と猟場番人
移動する市民社会
移動を調整する
移動する自然
複雑な移動性
結び
訳注
監訳者あとがき
邦訳参考文献
参考文献
事項索引
人名索引 モノ、コト、ヒトが「社会を越える」ことによって社会学はいかなる方向に向かうのか──。市民社会論と時間・空間論を両輪に、従来の社会学においてブラックボックスとなっていた「移動」概念に焦点を当て、レジャーや仕事のための旅行から、情報や廃棄物の移動、都市テロや伝染病まで、21世紀の移動と越境を論じ、ポスト国民国家における脱中心的な市民社会を予見する。 [共訳者紹介](訳出順)
和泉 浩(イズミ ヒロシ)
秋田大学教育文化学部准教授
菱山 宏輔(ヒシヤマ コウスケ)
鹿児島大学法文学部准教授
高橋 雅也(タカハシ マサヤ)
埼玉大学教育学部准教授
武田 篤志(タケダ アツシ)
鹿児島国際大学福祉社会学部専任講師
伊藤 嘉高(イトウ ヒロタカ)
山形大学大学院医学系研究科専任講師
三島 崇(ミシマ タカシ)
東北大学大学院文学研究科博士前期課程修了
末良 哲(スエヨシ テツ)
東北大学大学院文学研究科博士後期課程中退
はじめに(陣内秀信)
第Ⅰ部 聖なる場・遊興の場・畏怖の場としての水辺──アジア・日本の特徴を考える
■問題提起
水辺文化の原点を探る(高村雅彦)
■基調論文
インドの聖地バラーナシの精神世界(ラーナー P・B・シン)
日本における水の神の正体(鳥越皓之)
■論 文
アジアの聖なる水のみやこ──東南アジアの都城の系譜(大田省一)
地中海世界の信仰と水(陣内秀信)
第Ⅱ部 水系とテリトーリオ──中世~近代初期における河川・運河の多様な活用
■問題提起
水系とテリトーリオ理解のための一道具としての水車(石神 隆)
■基調論文
水のなかで水に事欠くヴェネツィア── 一四~一八世紀の飲料水・水力・河川管理(マウロ・ピッテーリ)
■論文
シーレ川とヴェネツィア──舟運と水車を使った産業の分布の構造に関する考察(樋渡 彩)
米国北東部の水力工業都市(水田恒樹)
第Ⅲ部 港湾都市の歴史的変遷とその再生
■問題提起
世界の港町に関する発展・衰退・再生のメカニズム比較(陣内秀信)
■基調論文
ボストン港──基盤整備と活用の四〇〇年(リチャード・E・マクギネス)
ウォーターフロント開発の変遷と開発を促す要因(横内憲久)
■講演
ハンブルクの都市形成──河川の景観美と海上貿易が育んだ港湾都市(ローレンツ・ポッゲンドルフ)
水都ロンドンの発展・衰退と再生(長屋静子)
江戸東京 内港都市から港湾都市へ(岡本哲志)
港湾都市横浜の形成と現在──波止場・桟橋・埠頭を中心に(石渡雄士)
編集後記(高村雅彦) 水害などの災害にいくども見舞われながら自然と共生してきた日本やアジアの都市と、技術の力で自然を制御・活用してきた西洋の都市の歴史的発展を比較するだけでなく、都市の背後に拡がる河川を通じた地域ネットワークも研究対象とし、考察する。この新たな視点から、港湾空間の再生や水の都市の未来に向けた可能性が生まれるのではないだろうか。
合田正人著『フラグメンテ』が、「週刊読書人」(2015年6月19日号/藤岡俊博氏・評)にて紹介されました。
H.A.ベイカー・ジュニア著/松本昇・他訳/今福龍太解説『ブルースの文学』が、「週刊読書人」(2015年6月19日号/石川千暁氏・評)にて紹介されました。
第一章 アウシュヴィッツもしくは差異
一 「糸の陽」
二 「勤勉な地下資源」
第二章 ベルリンもしくは布置
一 「研ギスマサレタ切先ニ」
二 「一枚の葉」
第三章 ウクライナもしくは喚起
一 「帰郷」および「チュービンゲン、壱月」
二 「時の片隅で」
日本語版のためのあとがき
使用参考文献 アドルノの「アウシュヴィッツ以降に詩を書くことは野蛮だ」という言葉の後でもほとんど唯一認められた詩人、パウル・ツェラーン。その詩篇を詳細に解釈し、「言語」と「現実」の収斂点として三つのトポスを、アナグラム的な言葉の断片のなかに浮かびあがらせ、その「土地の名前」が逆説的にも「どこにもない場所」であることを指し示す。ひとは問いかえさないではいられないだろう、これは「詩」なのだろうか、と。
1942年生まれ。オーストラリア国立大学Ph.D. 現在、マードック大学教授。研究分野は東南アジア民族史・社会史。2003年、Centenary Medal of Australia, 2013年、Grant Goodman Prize for Historical Studies受賞。
おもな著書:The Sulu Zone, 1768-1898: The Dynamics of External Trade, Slavery, and Ethnicity in the Transformation of a Southeast Asian Maritime State(Singapor: Singapore University Press, 1981), Rickshaw Coolie: A People’s History of Singapore (1880-1940)(Syngapore: Oxford University Press, 1986), Iranun and Balangingi: Globalization, Maritime Raiding and the Birth of Ethnicity(Singapore: Singapore University Press, 2002), Pirates, Prostitutes and Pullers: Explorations in the Ethno- and Social History of Southeast Asia(Crawley, W. A.: University of Western Australia Press, 2008)ほか。 1944年、シンガポール生まれ。シンガポール南洋大学文学部卒、東京大学博士課程修了。シンガポール公文書・口述歴史館、津田塾大学学芸学部教授をへて、現在、中国厦門大学客員教授。研究分野は東南アジア史。おもな編著書:『新馬華人抗日史料』(共編、文史出版私人有限公司、1984年)、『もっと知りたい華僑』(共編、弘文堂、1991年)、『近現代史のなかの日本と東南アジア』(共著、東京書籍、1992年)ほか。 1955年、岡山県生まれ。東京大学文学部卒、マードック大学Ph.D. 現在、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授。研究分野は海域東南アジア史、近現代東南アジア・日本関係史。おもな著書:『海域イスラーム社会の歴史──ミンダナオ・エスノヒストリー』(岩波書店、2003年)、『戦争の記憶を歩く 東南アジアのいま』(岩波書店、2007年)、『歴史空間としての海域を歩く』(法政大学出版局、2008年)、『未来と対話する歴史』(法政大学出版局、2008年)、『マンダラ国家から国民国家へ──東南アジア史のなかの第一次世界大戦』(人文書院、2012年)、『フィリピン近現代史のなかの日本人──植民地社会の形成と移民・商品』(東京大学出版会、2012年)ほか。 上智大学英米文学科卒業。英国ウェールズ大学で比較文学の修士号を取得。実務、テレビや雑誌、ノンフィクションの翻訳に従事。おもな訳書:『インドの神々』(創元社、1997年)、『トイレおもしろ百科』(文藝春秋、1998年)、『ファラオ歴代誌』(創元社、1999年)、『最終弁論──歴史的裁判の勝訴を決めた説得術』(朝日新聞社、2002年)、『プリンセス・オヴ・ウェールズ──英国皇太子妃列伝』(創元社、2007年)ほか。
ブログURL:https://welshshortstories.wordpress.com/ 法政大学出版局 ホウセイダイガクシュッパンキョク *編集部注──「阿姑」は「アク」と読みます。著者によれば、「広東語で年齢にかかわらず使われる一般的な女性のよびかけの言葉」で、「植民地時代のシンガポールでは、中国人娼婦を丁寧によぶときに使われ」ました。
日本人読者への「序文」
まえがき
初版のまえがき
日本語版によせて──史料の発見 よみがえるシンガポール
第Ⅰ部 シンガポールの娼館売春
第1章 売買春、シンガポール社会、そして歴史家
序言
先行研究
移住と売買春の過程
史料
研究へのアプローチ
第2章 貧困、家父長制社会、繁栄
貧困
家父長制社会
繁栄
第3章 娼館と娼婦
小坡
大坡
娼館の分布と規模
娼館の物理的環境
搾取的な経済──娼婦の階級組織
性を売り物にする経済
第4章 人身売買と娼館での売買春
国際的なネットワーク
ヨーロッパ人娼婦
女性の調達方法
日本人の人身売買
秘密結社
婦女子の保護条例
第5章 伝染病条例
第6章 性病の蔓延
第7章 廃止
第Ⅱ部 阿姑(アク)とからゆきさん──その生活
第8章 農村の困窮
第9章 人身売買
第10章 娼館の家族と日常生活
娼館主
「姉妹」どうしの関係
娼館の子どもたち
使用人
阿姑とからゆきさんの日常生活
からゆきさんの順応性
カメラの眼を通して
第11章 客たち──夜のカーニバル
第12章 歓楽の夜の裏側
第13章 転身
第14章 苦い結末
高齢化
罹病率と生活環境
妊娠と中絶
自殺
終章 娼婦たちの人生の再現
解説(早瀬晋三)
監訳者あとがき
註記
表・地図一覧
巻末資料
文献目録
用語一覧
中国人人名一覧
索引 イギリスの植民都市シンガポールの形成過程のなかで、性を生業(なりわい)とする日本と中国の女性たちはいかに生き、死んでいったか。本書は、各種の植民地史料を掘り起こし、曖昧な聞き取り調査を文献や写真を使って裏づけ、近代という時代に翻弄されながらも懸命に生きた人びとのすがたを多角的な視野のもとに浮かび上がらせる。娼婦の生活史から日本とアジアの近代を問いなおす画期的研究。
H.A.ベイカー・ジュニア著/松本昇、他訳/今福龍太解説『ブルースの文学』が、「レコード・コレクターズ」(2015年7月号/飯野友幸氏・評)にて紹介されました。
K.ローゼンクランツ著/寄川条路訳『日本国と日本人』が、「読売新聞」(2015年6月14日付/前田英樹氏・評)にて紹介されました。
植民都市シンガポールで、性を生業にする日中の女性たちはいかに生き、死んでいったか。娼婦の生活史から日本とアジアの近代を問う。
阿姑とからゆきさん/チラシ(PDF)
M.クヴァンテ著/加藤泰史監訳『人間の尊厳と人格の自律』が、「東京新聞/中日新聞」(2015年6月14日付/雑賀恵子氏・評)にて紹介されました。
李鍾元・他編著『歴史としての日韓国交正常化』(Ⅰ・Ⅱ)が、「朝日新聞」(2015年6月14日付/吉澤文寿氏・評)にて紹介されました。
D.リヴィングストン著/梶雅範・山田俊弘訳『科学の地理学』が、「化学史研究」(第42巻第2号、2015年6月発行/島津俊之氏・評)にて紹介されました。
K.ローゼンクランツ著/寄川条路訳『日本国と日本人』が、「図書新聞」(2015年6月20日号/澤村修治氏・評)にて紹介されました。
著書:『大和の食文化──日本の食のルーツをたずねて』(奈良新聞社、2005年)、『出会い──大和の味』(共著、奈良新聞社、2007年)、『まほろば巡礼』(共著、小学館、2008年)、『日本の食文化──その伝承と食の教育』(共著、アイ・ケイコーポレーション、2009年)ほか。 法政大学出版局 ホウセイダイガクシュッパンキョク 第一章 ごぼう食文化のはじまり
ごぼうの日本への渡来時期/ごぼうの伝播経路
第二章 ごぼう利用の歴史
中国におけるごぼうの利用/朝鮮半島におけるごぼうの利用/日本におけるごぼうの利用
第三章 ごぼうの名産品・特産物をたずねて
越前白茎ごぼう(福井県坂井市春江町)/八幡ごぼう(京都府八幡市)/堀川ごぼう(京都市左京区)/大浦ごぼう(千葉県匝瑳市大浦地区)/宇陀ごぼう(奈良県宇陀市)/立川ごぼう(福島県会津坂下町)/島ごぼう(沖縄県八重瀬町)/菊ごぼう(岐阜県中津川市)/浜ごぼう(高知県室戸岬町椎名地区)
第四章 ごぼう祭りの伝統
祭り/ごぼう祭り/「五穀豊穣」を祈念するごぼう
第五章 「ごぼう」の儀礼にみる畑作文化
「稲作以前」の縄文の農耕論/ごぼう・大豆・大根・さといも・こんにゃくが儀礼食物になる祭りの諸相/近畿圏とその周辺は北方系作物と南方系作物が混在する農耕文化圏
第六章 儀礼食物「ごぼう」に日本料理の原点をみる
予祝・収穫儀礼の「牛蒡御供」/儀礼食物「ごぼう」の調理法/大豆利用の意味/「牛蒡御供」(畑作物)から「雑煮餅・くるみ餅」(稲作物)への移行
第七章 焼畑農耕儀礼から発達した「田楽」料理
奈良県山間部地域の予祝・収穫儀礼/「大豆」の儀礼から「味噌」の調味料文化への移行/「田楽」料理は焼畑農耕儀礼が起源/儀礼食物から郷土料理へ
第八章 ごぼう料理の形成から発展へ
料理文化の成熟とごぼうの名産品の産出/江戸時代の料理書にみるごぼうの料理/「食物番付」にみるごぼうの料理──小結「きんぴらごぼう」
第九章 ごぼう料理の地域的分布と食文化
ごぼう料理の地域性/日本各地に伝承されるごぼう料理/「山ごぼう」と「浜ごぼう」の利用
第十章 ごぼうの薬効と栄養
薬用としての「悪実」/民間に伝わるごぼうの薬効と利用法/江戸時代の本草書にみるごぼうの薬効と利用法/『食用簡便』にみるごぼうの料理/ごぼうの栄養/機能性食品としてのごぼうの未来
第十一章 ごぼうを通してみる日本食文化の特徴
ユネスコ無形文化遺産になった「和食」/日本食文化の本質/神饌から発達した料理文化/「音を食べる」日本人/健康と長寿を願う「ごぼう祭り」 ダイコンやカブと並び大陸から渡来した北方系野菜であるごぼうは、焼畑農耕で育てられ、わが国固有の蔬菜として発展した。各地の風土のなかで固有の品種が生まれ、独特の調理法が考案されて、和食に欠かせない食材として親しまれてきた。そのルーツを各地の神饌や祭り、儀礼に探り、わが国食文化に色濃く残る「稲作以前」の農耕文化の痕跡を浮き彫りにし、和食文化の源流に迫る。