叢書・ウニベルシタス 1072
啓蒙

四六判 / 284ページ / 上製 / 価格 4,730円 (消費税 430円) 
ISBN978-4-588-01072-9 C1310 [2017年12月 刊行]

内容紹介

啓蒙思想が花開いた18世紀の当時から今日に至るまで、「啓蒙とは何か」を定義することは困難であり続けている。それは、啓蒙期に生じた根本的な価値観の変化が今も世界を規定していることと無縁ではない。啓蒙思想が生じた社会的背景から、統治や経済に与えた影響、奴隷制、自然科学、宗教、そして革命との関係に至るまで、総体的に読み解き、啓蒙の抱える矛盾や破壊性をも描き出す、入門書の決定版!

著訳者プロフィール

ドリンダ・ウートラム(ウートラム ドリンダ)

(Dorinda Outram)
ケンブリッジ大学Ph. D. 現在はロチェスター大学教授(Gladys I. and Franklin W. Clark Professor of History)。
著書にPanorama of the Enlightenment (J. Paul Getty Museum,2006), The Body and the French Revolution: Sex, Class and Political Culture (Yale University Press, 1989)(『フランス革命と身体――性差・階級・政治文化』高木勇夫訳、平凡社、1993年)などがある。

田中 秀夫(タナカ ヒデオ)

京都大学大学院経済学研究科修了。甲南大学教授、京都大学教授を経て、現在、愛知学院大学経済学部教授、京都大学名誉教授。専門は経済学史、社会思想史。
著書に『スコットランド啓蒙とは何か』(ミネルヴァ書房、2014年)、『アメリカ啓蒙の群像』(名古屋大学出版会、2012年)、訳書にダンカン・フォーブズ『ヒュームの哲学的政治学』(監訳、昭和堂、2011年)、イシュトファン・ホント『貿易の嫉妬』(監訳、昭和堂、2009年)、フランシス・ハチスン『道徳哲学序説』(共訳、京都大学学術出版会、2009年)、J・G・A・ポーコック『マキァヴェリアン・モーメント』(共訳、名古屋大学出版会、2008年)、アルバート・O・ハーシュマン『方法としての自己破壊』(法政大学出版局、2004年)などがある。

逸見 修二(ヘンミ シュウジ)

公認会計士。京都大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。池坊短期大学準教授を経て、現在は東京福祉大学勤務。専門はフランス啓蒙。
訳書にJ・B・シュナイウィンド『自律の創成』(共訳、法政大学出版局、2011年)などがある。

吉岡 亮(ヨシオカ リョウ)

京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。日本学術振興会特別研究員を経て、現在は出版社勤務。専門はイタリア啓蒙。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

 凡 例 


第1章 啓蒙とは何か

第2章 コーヒーハウスとお客
 ―啓蒙の社会的文脈―

第3章 啓蒙と統治
 ─新しい始まりか、通常業務か─

第4章 経済学
 ─国家と市場の学問─

第5章 探検、異文化間の接触、啓蒙の両義性

第6章 人びとが所有物であるとき
 ─啓蒙における奴隷制問題─

第7章 性についての啓蒙の考え

第8章 学問と啓蒙
 ─神の秩序と人間の知性─

第9章 近代的異教の台頭か
 ─宗教と啓蒙─

第10章 啓蒙の終焉
 ─陰謀と革命か─


 原 注 
 人物略伝 
 監訳者あとがき 
 索 引(人名索引・事項索引)

書評掲載

「出版ニュース」(2018年2月中旬号)にて紹介されました。

関連書籍

『方法としての自己破壊』
アルバート・O.ハーシュマン:著
『自律の創成』
ジェローム・B. シュナイウィンド:著
『禁書』
マリオ・インフェリーゼ:著
『啓蒙の精神』
T.トドロフ:著
『旅・戦争・サロン』
高橋 安光:著