尊厳概念のダイナミズム
哲学・応用倫理学論集

A5判 / 442ページ / 上製 / 定価:5,000円 + 税 
ISBN978-4-588-15086-9 C1010 [2017年12月 刊行]

内容紹介

《尊厳》とは何か。価値論的なアプローチと「人間の尊厳」そのものの問い直しから、尊厳概念の理論的基礎を構築する。さらには、生命倫理、ヒト胚、再生医療、ゲノム編集、尊厳死、介護、環境倫理、障碍者の権利、ワークライフバランス、ロボットの尊厳まで、哲学と応用倫理学の内外の研究者による最先端の議論を通して、多元化する「尊厳概念」と様々な「現場」をダイナミックに架橋する。

著訳者プロフィール

加藤 泰史(カトウ ヤスシ)

1956年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科教授。哲学、倫理学専攻。「尊厳概念史の再構築に向けて」(『思想』第1114号、2017年)、『思想間の対話』(分担執筆、法政大学出版局、2015年)、『フィヒテ知識学の全容』(分担執筆、晃洋書房、2015年)、ほか。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

編者序文(加藤泰史)

第Ⅰ部 哲学編

第1章 哲学的価値理論のオプション(ゲアハルト・シェーンリッヒ/高畑祐人 訳+解題)
第2章 自律と承認(加藤泰史)
第3章 単に生き延びることから、人間の尊厳にふさわしく生きることへ──ジャン・アメリーに続いて考える(アルント・ポルマン/吉田量彦 訳+解題)
第4章 「尊厳」概念の意味と機能をめぐる生成論と形而上学的観点からの考察(宇佐美公生)
第5章 人間の尊厳と自然の尊厳が意味するもの(品川哲彦)
◎コラム1 尊厳概念の前近代的な諸源泉──「神の似姿」のキリスト教的観念と古典的人文主義向(上野大樹)
◎コラム2 マックス・シェーラーにおける人格価値(横山 陸)
◎コラム3 カントとカント派教育学における「教育」と「尊厳」(柳橋 晃)

第Ⅱ部 応用倫理学編

第6章 生命倫理における人間の尊厳(ディーター・ビルンバッハー/忽那敬三 訳/高畑祐人 訳+解題)
第7章 象徴としてのヒト胚──日本のヒト胚政策における〈人間の尊厳〉概念に関する一考察(岩佐宣)
第8章 日本のES細胞研究ガイドラインと人の尊厳(小林道太郎)
第9章 ヒトの生殖細胞を対象とするゲノム編集技術の応用に関する倫理的検討──中山大学の実験に対する中国の倫理学議論の批判的考察 (魏偉)
第10章 介護の文脈における人格の自律、依存性そして尊厳(ミヒャエル・クヴァンテ/瀬川真吾 訳+解題)
第11章 尊厳ある死?──日本における患者の事前指示の個人的解釈と社会的現実 (チェリア・シュポーデン/高畑祐人 訳+解題)
第12章 人間の尊厳と自然の価値(ディーター・シュトゥルマ/山崎達也 訳+解題)
◎コラム4 企業社会ニッポンの時間政策とは?──日本的視座における「ワークライフバランス」(中澤 武)
第13章 人間の尊厳と障碍(ラルフ・シュテッカー/中澤 武 訳+解題)
第14章 ロボットのための人間と同等の尊厳?(ゲザ・リンデマン/桐原隆弘 訳+解題)

編者あとがき(加藤泰史)

事項索引
人名索引
執筆者・訳者紹介

・執筆者・訳者紹介

加藤泰史(カトウ ヤスシ)*編者

ゲアハルト・シェーンリッヒ(Gerhard Schönrich)
1951年生まれ。ドレスデン工科大学教授。『カントと討議倫理学の問題──討議倫理学の限界と究極的基礎づけの価値/代償について』(晃洋書房、2010年)、ほか。

高畑祐人(タカハタ ユウト)
1961年生まれ。名古屋大学・南山大学非常勤講師。「エコフェミニズムの批判的変換──自然美学的読み替えの試み」(名古屋哲学研究会編『哲学と現代』第31号、2016年)、「本質的自然資本の規範的説得力──環境経済学と環境倫理学の生産的な協働に向けての一試論」(南山大学社会倫理学研究所『社会と倫理』第29号、2014年)、ほか。

アルント・ポルマン(Arnd Pollmann)
1970年生まれ。ベルリン・フンボルト大学客員教授。Unmoral. Ein philosophisches Handbuch, München: C.H.Beck, 2010, ほか。

吉田量彦(ヨシダ カズヒコ)
1971年生まれ。東京国際大学商学部教授。Vernunft und Affektivität. Untersuchungen zu Spinozas Theorie der Politik, Würzburg: Königshausen & Neumann, 2004;『倫理学案内』(共著、慶應義塾大学出版会、2006年)、ほか。

宇佐美公生(ウサミ コウセイ)
1957年生まれ。岩手大学教育学部教授。『倫理学の地図』(分担執筆、ナカニシヤ出版、2010年)、『道徳教育21の問い』(分担執筆、福村出版、2009年)、ほか。

品川哲彦(シナガワ テツヒコ)
1957年生まれ。関西大学文学部教授。『倫理学の話』(ナカニシヤ出版、2015年)、『正義と境を接するもの──責任という原理とケアの倫理』(ナカニシヤ出版、2007年)、ほか。

上野大樹(ウエノ ヒロキ)
1983年生まれ。一橋大学・青山学院大学・立正大学非常勤講師。「アダム・スミスと政治哲学の革命」(『人文学報』第107号、京都大学、2015年)、「モンテスキューと野蛮化する共和国像」(田中秀夫編『野蛮と啓蒙──経済思想史からの接近』、京都大学学術出版会、2014年)、ほか。

横山 陸(ヨコヤマ リク)
1983年生まれ。一橋大学社会学研究科博士課程在籍。日本学術振興会特別研究員。「マックス・シェーラーの「感情の哲学」」(『現象学年報』第33号、2017年)、“Offenbarung und Glückseligkeit bei Max Scheler”(Selbstgebung und Selbstgegebenheit, Alber-Verlag, Freiburg, 2017)、ほか。

柳橋 晃(ヤナギバシ アキラ)
1985年生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程在籍。東京理科大学非常勤講師ほか。「教育問題としての子どもの貧困と尊厳」(『研究室紀要』第42号、東京大学、2016年)、“Citizenship Education in an Age of Measurement (1) : How did the Japanese Educational Researchers Discuss about Educational End(s), Evaluation, and Ability?”(共著、『研究紀要』第1号、東京大学、2015年)、ほか。

ディーター・ビルンバッハー(Dieter Birnbacher)
1946年生まれ。デュッセルドルフ大学名誉教授。Bioethik zwischen Natur und Interesse, Frankfurt a. M.: Suhrkamp, 2006(邦訳は法政大学出版局より近刊予定); Analytische Einleitung in die Ethik, Berlin: De Gruyter, 2003,ほか。

忽那敬三(クツナ ケイゾウ)
1954年生まれ。千葉大学大学院人文科学研究院教授。「遺伝子技術の展開に内在する両義性について」(日本哲学会国際交流ワーキンググループ編『哲学の現在』、2009年)、「自然科学における物象化の問題」(『千葉大学人文社会科学研究』32、2016年)、ほか。

岩佐宣明(イワサ ノブアキ)
1976年生まれ。愛知学院大学教養部准教授。「デカルト認識論における自己認識の問題」(『理想』第699号、2017年)、「コギトの特権性」(『フランス哲学・思想研究』第12号、2007年)、ほか。

小林道太郎(コバヤシ ミチタロウ)
1974年生まれ。大阪医科大学看護学部准教授。「補い合うことと考えること──ある看護師へのインタビューの分析から」(『看護研究』49 (4)、2016年)、「ケア倫理は看護倫理にどう貢献しうるのか──ケアの諸局面の倫理的要素から」(『日本看護倫理学会誌』6 (1)、2014年)、ほか。

魏偉(Wei Wei)
1989年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程在籍。 “What Is the Real Problem of Gene Editing in Human Germline Cells?: An Analysis of Chinese Bioethical Arguments about the Sun Yat-Sen University’s Report”(学会発表、西日本応用倫理学研究会/広島大学、2017年).

ミヒャエル・クヴァンテ(Michael Quante)
1962年生まれ。ミュンスター大学教授。『ヘーゲルの行為概念──現代行為論との対話』(リベルタス出版)、『人間の尊厳と人格の自律──生命科学と民主主義的価値』(法政大学出版局)、ほか。

瀬川真吾(セガワ シンゴ)
1983年生まれ。ミュンスター大学大学院哲学科博士課程ならびに同大学生命倫理学研究所客員研究員。Die Gültigkeit des locke’schen Personenbegriffs in der biomedizinischen Ethik. In: Michael Quante, Hiroshi Goto, Tim Rojek und Shingo Segawa (Hrsg.): Der Begriff der Person in systematischer und historischer Perspektive. Münster: mentis, 2018,「ミヒャエル・クヴァンテ『人間の尊厳とパーソナルな自律 生命諸科学における民主主義的諸価値』における区分化戦略の有効性」(『ぷらくしす』第15号、広島大学応用倫理学プロジェクト研究センター編、2014年)、ほか。

チェリア・シュポーデン(Celia Spoden)
デュッセルドルフ大学研究助手。Über den Tod verfügen. Individuelle Bedeutungen und gesellschaftliche Wirklichkeiten von Patientenverfügungen in Japan, Bielefeld, transcript, 2015; »Well-being and decision-making towards the end of life: Living wills in Japan«. In: Holthus, Barbara/Manzenreiter, Wolfram (ed.): Life Course, Happiness and Well-being in Japan. New York: Routledge, 2017.

ディーター・シュトゥルマ(Dieter Sturma)
1953年生まれ。ボン大学教授。ボン大学の科学・倫理学研究所(IWE)所長、生命科学における倫理に関するドイツ情報センター(DRZE)所長、ユーリヒ研究センターの脳神経科学および医学研究所に属する「脳神経科学における倫理研究所(INM-8)所長。Philosophie des Geistes: Grundwissen Philosophie, Leipzig: Reclam, 2011; Jean-Jacques Rousseau, München: C.H.Beck, 2001,ほか。

山崎達也(ヤマザキ タツヤ)
1957年生まれ。(公財)東洋哲学研究所研究員、創価大学・早稲田大学非常勤講師。『哲学と神学のハルモニア──エックハルト神学が目指したもの』(知泉書館、2013年)、『新プラトン主義を学ぶ人のために』(共著、世界思想社、2014年)、ほか。

中澤 武(ナカザワ タケシ)
1963年生まれ。早稲田大学文学学術院・明海大学歯学部・東京薬科大学非常勤講師。翻訳家。Kants Begriff der Sinnlichkeit, Stuttgart: frommann-holzboog, 2009,『大学と学問の再編成に向けて』(分担執筆、行路社、2012年)、ほか。

ラルフ・シュテッカー(Ralf Stoecker)
1956年生まれ。ビーレフェルト大学教授。Der Hirntod. Ein medizinethisches Problem und seine moralphilosophische Transformation, Freiburg (Breisgau), München: Alber, 1999; Handbuch Angewandte Ethik, Stuttgart, Weimar: Metzler, 2011(編著)、ほか。

ゲザ・リンデマン(Gesa Lindemann)
1956年生まれ。オルデンブルク大学教授。Weltzugänge, Weilerswist: Velbrück, 2014; Die Grenzen des Sozialen. Zur sozio-technischen Konstruktion von Leben und Tod in der Intensivmedizin, München: Fink, 2002,ほか。

桐原隆弘(キリハラ タカヒロ)
1970年生まれ。下関市立大学経済学部教授。Verbindung freier Personen. Zum Begriff der Gemeinschaft bei Kant und Scheler, Würzburg: Verlag Königshausen & Neumann, 2009,「自然の隔離か自然の取り込みか?──文化の位置づけの観点から見たドイツ生殖医療技術論争」(『下関市立大学論集』第59巻第3号、2016年)、ほか。

関連書籍

『人間の尊厳と人格の自律』
ミヒャエル・クヴァンテ:著
『承認』
田中 拓道:編
『スティル・ライヴズ』
ジョナサン・コール:著