叢書・ウニベルシタス 898
水と夢
物質的想像力試論

四六判 / 374ページ / 上製 / 定価:4,200円 + 税 
ISBN978-4-588-00898-6 C1310 [2008年09月 刊行]

内容紹介

原初の生命に力を与えた物質、水。かぎりない流動性をもち、海水にも淡水にも、泥にも乳にもなるこの生成のエレメントは、知覚し想像する人間に、ときには母の穏やかな幸福を、ときには冷たく孤独な死の危険をあたえる。詩句や神話に表現された水の想像力への「物質主義的」分析が、新しい文芸批評の時代を予見させた記念碑的な著作。詳細な註とともに、約40年ぶりの新訳でよみがえる。

著訳者プロフィール

G.バシュラール(バシュラール ガストン)

1884-1962。フランスのバール=シュル=オーブに生まれる。故郷の高等中学を卒業後,電報局職員などをしながら独学。ソルボンヌ大学で数学の学士号をとり,1919年から母校の物理・化学の教師となる。22年,哲学教授資格試験に合格。27年,学位論文『近似的認識試論』により文学博士となり,ディジョン大学文学部教授をつとめる。40年,ソルボンヌ大学で科学史・科学哲学の教授となる。物理学,化学,心理学,精神分析,哲学の諸成果を幅ひろく吸収して,科学とポエジーを統一的に捉える独自のエピステモロジーを構築。主著に『科学的精神の形成』(38),『火の精神分析』(38),『ロートレアモン』(40),『否定の哲学』(40),『空と夢』(43),『大地と意志の夢想』(48),『大地と休息の夢想』(48),『空間の詩学』(57),『夢想の詩学』(61)などがある。61年に文学国家大賞受賞。

及川 馥(オイカワ カオル)

1932年宮城県生まれ.東北大学大学院文学研究科博士課程修了。フランス文学専攻。茨城大学名誉教授,前愛国学園大学教授。主著に『バシュラールの詩学』『原初からの問い──バシュラール論考』(法政大学出版局),詩集に『テラスにて』『鳥?その他』『夕映え』(書肆山田),訳書にバシュラール『近似的認識試論』『科学的精神の形成』(ともに共訳,国文社),『大地と意志の夢想』(思潮社),『夢想の詩学』(ちくま学芸文庫),『エチュード』(法政大学出版局),セール『生成』『離脱の寓話』『両性具有』『第三の知恵』『天使の伝説』,『パラジット』(共訳),『自然契約』(共訳),『アトラス』(共訳),トドロフ『はかない幸福─ルソー』,『象徴の理論』(共訳),『象徴表現と解釈』(共訳),『批評の批評』(共訳),以上法政大学出版局,ブラン『ボードレールのサディスム』,『ボードレール』(共訳,ともに沖積舎),ヴェベール『テーマ批評とは何か』,ディエゲス『批評家とその言語』(ともに審美社)ほか。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 想像力と物質

第1章 明るい水、春の水と流れる水 
    ナルシシスムの客観的条件、恋する水
第2章 深い水―眠る水―死んだ水
    エドガー・ポーの夢想における〈重い水〉
第3章 カロン・コンプレックス
    オフィーリア・コンプレックス
第4章 複合的な水
第5章 母性的水と女性的水
第6章 純粋と浄化、水の倫理
第7章 淡水の優位
第8章 荒れる水

むすび 水のことば

原註・訳注
訳者あとがき
人名索引