叢書・ウニベルシタス 923
理性への回帰

四六判 / 382ページ / 上製 / 定価:4,200円 + 税 
ISBN978-4-588-00923-5 C1310 [2009年08月 刊行]

内容紹介

近代の学問世界を支配した数学的・科学的合理性(ラショナリティ)は、その行き過ぎた理論偏重のゆえに、人間の具体的現実への理に適った態度(リーズナブルネス)を軽視させることとなった。世界の根源的不確実性を排除せず、歴史と経験を重視し、つねに知的活動の根拠を問う実務家的道理性への回帰こそがいま求められている。名著『近代とは何か』に続く、科学哲学の枠を超えた重要な文明史的提言。

著訳者プロフィール

S.トゥールミン(トゥールミン スティーヴン)

1922年ロンドン生まれ.ケンブリッジ大学キングズ・カレッジで数学および物理学を専攻.第二次大戦中は軍事やレーダー研究に従事.戦後大学に戻り,48年に論文「倫理学における理由の位置」で博士号を取得.この時期にウィトゲンシュタインに出会い,近代合理主義にきわめて懐疑的なその思想に決定的な影響を受ける.その後,オックスフォード,リーズ,シカゴ大学などで科学哲学を講じ,69年アメリカに帰化.南カリフォルニア大学教授を務める.医療倫理問題,家族問題,大学教育制度改革に参画する「実践の哲学者」として国内外を問わず活動し,再三にわたり来日,講演などを行っている.本書の姉妹編『近代とは何か──その隠されたアジェンダ』(法政大学出版局)により,1990年の「ジェファーソン講演者」に選ばれる.ほかに『科学哲学』『ポストモダン科学と宇宙論』『ウィトゲンシュタインのウィーン』(共著)が邦訳されている.

藤村 龍雄(フジムラ タツオ)

1936年樺太生まれ.64年,東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学.74-75年,ACLS Fellowshipによりハーヴァード大学客員研究員.鹿児島大学講師,東京水産大学(現東京海洋大学)教授,立正大学教授を経て,現在東京水産大学名誉教授.著書に『現代における哲学の存在意味』(北樹出版)『よくわかる記号論理』(勁草書房),訳書にS・トゥールミン『近代とは何か』(共訳,法政大学出版局),S・トゥールミン/A・ジャニク『ウィトゲンシュタインのウィーン』(平凡社ライブラリー),『フレーゲ哲学論集』(岩波書店)ほか.

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

まえがき
第一章 序論 合理性と確実性
第二章 理性はどのようにしてバランスを失った
    のか
第三章 専門分野の発案
第四章 経済学、あるいは幻の物理学
第五章 合理主義の夢
第六章 方法再考
第七章 実践的理性と臨床技術
第八章 倫理理論と道徳的実践
第九章 専門分野の問題点
第十章 バランスを取り戻す
第十一章 経験の多様性
第十二章 時間と場所の世界
第十三章 後記 不確実性を生きる
訳者あとがき
原 注
索 引