叢書・ウニベルシタス 1007
悪についての試論

四六判 / 276ページ / 上製 / 定価:3,200円 + 税 
ISBN978-4-588-01007-1 C1310 [2014年02月 刊行]

内容紹介

「フランス反省哲学」の思想潮流を継承し、リクールに多大な影響をもたらした二十世紀の知られざる哲学者ナベール。その主著である本書(1955年刊行)は、きわめて晦渋で屈折した文体ゆえ読者を限定する一方で、思想の歴史のなかでも唯一無二の緊張と潜勢力をはらんだ独自の「悪」論をなしている。訳者による周到で詳細な「ナベール入門」ともいうべき、充実の解説および注を付す。

著訳者プロフィール

ジャン・ナベール(ナベール,J.)

(Jean Nabert)
1881年にフランスのイゾーで生まれる。1910年に哲学のアグレガシオンを取得し、地方の高校の哲学級で教え始める。1924年に博士論文『自由の内的経験』を刊行。1931年から1941年までアンリ四世高校の高等師範学校の準備級で教える。1943年に『倫理のための要綱』を刊行。1944年に哲学の視学総監となり、その後ヴィクトール・クーザン文庫の長を務めた。1960年に死去。その際に残された最晩年の遺稿がリクールらの手で整理され、1966年に『神の欲望』として刊行された。メーヌ・ド・ビランに淵源し、ラシュリエやラニョーを経由する「フランス反省哲学」の系譜に連なる。反省という経験を悪の問いとの不可分性において根底から思索し直したその歩みは、極度に晦渋な文章表現にもかかわらず、リクールを始めとして現代フランス哲学を代表する思想家たちに少なからぬ衝撃と影響をもたらした。

杉村 靖彦(スギムラ ヤスヒコ)

1965年生。京都大学大学院文学研究科准教授。現代フランス哲学・宗教哲学。著書に『ポール・リクールの思想──意味の探索』(創文社。日本宗教学会賞受賞)、編著にPhilosophie japonaise: le néant, le monde et le corps(J. Vrin, 2013)、共訳書にJ.グレーシュ『『存在と時間』講義──統合的解釈の試み』(法政大学出版局)ほか。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

第一章 正当化できないもの
第二章 不純な原因性
第三章 罪
第四章 意識間の分離
第五章 正当化〔義認〕へのアプローチ

訳 注
訳者解説