叢書・ウニベルシタス 1096
遺産の概念

四六判 / 222ページ / 上製 / 価格 3,080円 (消費税 280円) 
ISBN978-4-588-01096-5 C1370 [2019年06月 刊行]

内容紹介

世界遺産、人類の遺産、文化遺産/文化財に含まれる「遺産(patrimoine)」とは何か。老朽化や破壊という運命から免れ、特別な威光を与えられ、熱狂的な執着や、真の信仰を喚起してきた日用品、武具、宝飾品、建築物、さらに、これから新しい時代に生まれる遺産=文化財を守る、保存や修復には何が重要か。歴史的資料とともに、ノートル=ダムといった具体的な事例も紹介し、簡潔にして決定的に論じる。文化に関わるすべての人々の必読書。図版多数。

著訳者プロフィール

ジャン=ピエール・バブロン(バブロン ジャン ピエール)

(Jean-Pierre Babelon)
1931年パリに生まれる。歴史家でありアーキビスト。1957年よりフランス国立中央文書館内のフランス歴史博物館に勤務。並行して高等研究実習院で教鞭をとる。1989年から1996年までヴェルサイユ美術館館長。1992年に碑文・文芸アカデミー会員に選出。

アンドレ・シャステル(シャステル アンドレ)

(André Chastel)
1912年パリに生まれる。イタリア・ルネサンスを専門とした美術史家。1957年から1969年までパリ大学文学部美術史学科教授を務めた後、1970年から1984年までコレージュ・ド・フランス教授として教鞭をとる。ド・ゴール政権での文化相アンドレ・マルローと近しく、1964年の「フランス記念建造物及び芸術的富の総目録」、通称「総目録」の作成を提言した。1975年に碑文・文芸アカデミー会員に選出。1990年死去。邦訳された主な著作に、『グロテスクの系譜』、『ローマ劫掠――1527年、聖都の悲劇』、『ルネサンス精神の深層――フィチーノと芸術』などがある。

中津海 裕子(ナカツミ ユウコ)

東京大学大学院人文社会系研究科美術史学修士課程修了、同博士課程単位取得退学。パリ、ルーヴル学院修士課程修了。2013年から2014年及び2015年から2018年まで東京大学総合文化研究科教養学部駒場博物館に勤務。

湯浅 茉衣(ユアサ マイ)

東京大学大学院人文社会系研究科美術史学修士課程修了、同博士課程在籍中。2018年パリ・ナンテール大学修士課程修了。フランス近代美術史専攻。論文に、「ドラクロワの初期歴史画における技法の問題――《キオス島の虐殺》のギリシア人の肌の表現をめぐって」(『地中海学研究』第41号、2018年)などがある。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

第一章 宗教的事象
 聖遺物 聖像破壊

第二章 王政的事象
 レガリア〔王の事物〕 図書館と公文書館 古代遺跡 王城 世論の目覚め

第三章 一族的事象

第四章 国家的事象
 遺産の宮

第五章 行政的事象

第六章 科学的事象

参考資料
図版資料
訳者あとがき

書評掲載

「読売新聞」(2019年7月21日付)に紹介されました。

「図書新聞」(2019年11月23日号/佐々木淑美氏・評)に紹介されました。

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