りぶらりあ選書
戦争論 〈新装版〉
われわれの内にひそむ女神ベローナ

ユネスコ国際平和文学賞受賞
四六判 / 300ページ / 上製 / 定価:3,000円 + 税 
ISBN978-4-588-02271-5 C1336 [2013年08月 刊行]

内容紹介

ユネスコ国際平和文学賞受賞 戦争の仕組みと形態・その理論を国家の発達との関連において歴史的に考察し、かつては政治の下婢であった戦争が今や政治の上に厳然と君臨している現実を説き明かす。人間精神の奥底にひそむ戦争礼賛の信仰を追求し、「戦争への転げ落ちる坂道」の危機とこれら脅威の根源的諸力からの解放の道を探り、真の人間的回復は何かを提示する。

著訳者プロフィール

ロジェ・カイヨワ(カイヨワ,R.)

(Roger Caillois)
1913–78.フランスのマルヌ県ランスに生まれる.エコール・ノルマルを卒業後アンドレ・ブルトンに会い,シュルレアリスム運動に参加するが数年にして訣別する.38年バタイユ,レリスらと「社会学研究会」を結成.39–44年文化使節としてアルゼンチンへ渡り「レットル・フランセ−ズ」を創刊.48年ユネスコにはいり,52年から《対角線の諸科学》つまり哲学的人文科学的学際にささげた国際雑誌『ディオゲネス』を刊行し編集長をつとめた.71年アカデミー・フランセーズ会員.思索の大胆さが古典的な形式に支えられたその多くの著作は,詩から鉱物学,美学から動物学,神学から民俗学と多岐にわたる.思索的自伝『旅路の果てに』をはじめ,『自然と美学』『戦争論』『幻想のさなかに』〔以上邦訳は法政大学出版局刊〕『遊びと人間』『文学の思い上り』『蛸』『石が書く』『カイヨワ幻想物語集:ポンス・ピラトほか』などが邦訳出版されている.

秋枝 茂夫(アキエダ シゲオ)

1931年生る.54年早稲田大学文学部卒業.64–67年ベルギー政府留学生としてルーヴァン大学高等哲学院に学ぶ.68年早稲田大学大学院博士課程修了.横浜市立大学教授を経て現在,同大学名誉教授.
訳書:ジャン・ピアジェ『教育の未来』,E. モラン『二十世紀からの脱出』,ドゥギー,ジュピュイ『ジラールと悪の問題』(共訳)〔上記は法政大学出版局刊〕

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次



第一部 戦争と国家の発達

第一章 戦争の原形態と小規模戦争
一 原始的戦争
二 戦争と国家の発生
三 帝国戦争
四 貴族戦争

第二章 古代中国の戦争法
一 戦争は災厄である
二 戦争の倫理
三 名誉の規則
四 暴力の萌芽

第三章 鉄砲 歩兵 民主主義
一 槍から火縄銃へ
二 歩兵と民主主義
三 貴族歩兵創設の試み
四 上流社会の戦争
五 変革の徴候

第四章 イポリット・ド・ギベールと共和国戦争の観念
一 アンシャン・レジームの理論家
二 革命主義者
三 国民総武装の予見

第五章 国民戦争の到来
一 市民兵
二 戦争の激化
三 戦争と民主主義

第六章 ジャン・ジョレスと社会主義的軍隊の理念
一 人民の軍隊
二 全体主義への趣向


第二部 戦争の眩暈



第一章 近代戦争の諸条件
一 極端への飛躍
二 戦争の形而上学

第二章 戦争の予言者たち
一 プルードン
二 ラスキン
三 ドストィエフスキー

第三章 全体戦争
一 戦争の新次元
二 全体戦争の倫理

第四章 戦争への信仰
一 ルネ・カントン
二 エルンスト・ユンガー

第五章 戦争 国民の宿命
一 戦争のための政治
二 戦争のための経済

第六章 無秩序への回帰
一 根底にある真実
二 兵士の本性
三 兵士の陶酔
四 きびしさと熱狂

第七章 社会が沸点に達するとき
一 戦争と祭りはともに社会の痙攣である
二 聖なるものの顕現
三 祭りから戦争へ

結び

原注
訳注
訳者あとがき