叢書・ウニベルシタス 694
〈教育〉の社会学理論 〈新装版〉
象徴統制、〈教育〉の言説、アイデンティティ

四六判 / 418ページ / 上製 / 定価:4,800円 + 税 
ISBN978-4-588-09948-9 C1337 [2011年12月 刊行]

内容紹介

日本教育は明らかに行き詰まっているが、何がどうそうなのかを分析する理論用具を我々は持っていない。世界的な教育社会学者バーンスティンの1980-90年代における理論の集大成であり、〈教育〉(ペダゴジー)というものの存在と営みについて、その歴史的社会的性格の社会学的解明を目指すとともに、日本教育分析に必要な用具と着想を与えてくれる。

著訳者プロフィール

バジル・バーンスティン(バーンスティン,B.)

(Basil Bernstein)
1924年生まれ。LSE(ロンドン大学経済学院)に学び、1962年博士号を取得。1963年ロンドン大学教育研究院の教育社会学シニア・レクチャラーに就任、1967年同教授、1979年には初代のカール・マンハイム記念講座教授に就任した。その後同研究院の名誉教授。社会における階級関係が、いかに言葉による社会統制の様式や学校教育における伝達・獲得を規定し、また逆にいかに後者が前者の再生産に寄与しているかという問題についての研究で世界的に知られた社会学者。本書のほかに、『言語社会化論』(明治図書)、『教育伝達の社会学』(同)が邦訳されている。2000年9月24日死去。

久冨 善之(クドミ ヨシユキ)

1946年生まれ。東京大学大学院博士課程修了。教育社会学専攻。一橋大学名誉教授。著書:『競争の教育』(旬報社)。編著:『教員文化の日本的特性』(多賀出版)、『豊かさの底辺に生きる』(青木書店)。監訳書:G.ウィッティー『教育改革の社会学』(東京大学出版会)。

長谷川 裕(ハセガワ ユタカ)

1961年生まれ。一橋大学大学院博士課程修了。教育社会学専攻。琉球大学教育学部教授。共著書:『教員文化の日本的特性』(多賀出版)、『人間形成論の視野』(大月書店)、『「心のノート」への方へは行かない』(子どもの未来社)。

山﨑 鎮親(ヤマザキ ヤスチカ)

1962年生まれ。東京大学大学院博士課程修了。教育学専攻。相模女子大学学芸学部教授。共著書:『豊かさの底辺に生きる』(青木書店)、『講座学校』第6巻「学校文化という磁場」(柏書房)。

小玉 重夫(コダマ シゲオ)

1960年生まれ。東京大学大学院博士課程修了。教育学専攻。東京大学大学院教育学研究科教授。著書:『教育改革と公共性─ボウルズ=ギンタスからハンナ・アレントへ』(東京大学出版会)。

小澤 浩明(オザワ ヒロアキ)

1965年生まれ。一橋大学大学院博士課程修了。教育社会学専攻。中京大学現代社会学部教授。共著書:『ブルデューを読む』(情況出版)、『人間形成論の視野』(大月書店)。共訳書:ブルデュー『遺産相続者たち』(藤原書店)。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

 日本の読者へのメッセージ
 謝辞
 シリーズ編者の序文

序章 理論、実証研究、応答、そして民主主義──本書の焦点と背景
1 本書の狙いと構成
2 民主主義と〈教育〉の権利
3 焦点の移動と展望的タイトル

第 I 部 〈教育〉の社会学理論をめざして

第1章 〈教育〉コードとその実践における諸様態
1 権力と統制
2 分類と枠づけ
3 分類──いくつかの例
4 枠づけ
5 〈教育〉コード
6 コードと変化
7 コードと意識
8 伝達と獲得
9 コードと実証研究
10 結論

第2章 〈教育〉装置
1 序
2 言語装置と〈教育〉装置
3 〈教育〉装置の諸ルール
4 結論

第3章 知識の〈教育〉化──再文脈化過程の探求
1 知識、配置、著者
2 コンペタンス、その社会的ロジック
3 〈教育〉のモデル──コンペタンスとパフォーマンス
4 モデルとそのモード
5 モデル、対立、アイデンティティ
6 再文脈化領域とそのダイナミックス
7 国家と再文脈化過程
8 資本主義の再組織化とアイデンティティ形成

第4章 三科と四科についての諸考察──知者からの知識の分離

第 II 部 理論に照らした実証/実証に照らした理論

第5章 コード理論とその実証研究
1 私にとっての理論のいくつかの基準
2 家族における統制のモデル化──初期の概念
3 学校構造のモデル化
4 〈教育〉コードのモデル化
5 〈教育〉コードとその実証研究
6 分類と枠づけの発展
7 コード獲得のモデル化
8 〈教育〉コード、認知・実現ルール、それらの実証研究
9 基礎的概念──コード
10 生産と象徴統制との領域
11 二つの領域と担い手たち──その実証研究
12 〈教育〉言説の構築──そのモデル化
13 〈教育〉言説──その実証研究
14 概括
補論

第6章 実証研究と記述の言語
1 実証研究の経済
2 記述の言語
3 探求の様式
4 例証
5 議論
6 結論
サブシステムのネットワークに関する補論

第 III 部 批判と応答

第7章 社会言語学──個人的見解
補論

第8章 エドワーズと言語コード論──エドワーズの回答を含む
1 コード概念
2 さまざまなコードと教室
A・D・エドワーズ──バジル・バーンスティンへの回答

第9章 言説、知識の構造、そして場──恣意的ないくつかの考察 
結論

第10章 コード理論とその位置づけ──ある誤解のケース
1 物神化
2 コードと多義性を制限するもの
3 ルールと〈教育〉実践
4 ルールと〈教育〉言説
5 コード概念と特種な諸様式
6 恣意性の概念
7 結論
補論

特論(講演記録)
再生産理論とP・ブルデュー──いくつかの論点を考える
1 はじめに──理論の前景と後景
2 いくつかのマイナーな論点について
3 再生産理論は、歪められた〈教育〉コミュニケーションの理論
4 〈教育〉の「相対的自律性」の含意と「象徴暴力」問題について
5 記述のためのルールの欠落
6 ハビトゥス(habitus)概念の意味するもの
7 場(field/界)概念および「恣意」について
8 『ディスタンクシオン』について
9 ‘relation to’(他との関係)と‘relations within’(それ内部の諸関係)
10 結論

 解題 本書の主要概念の理解のために(長谷川 裕)
 訳者あとがき(久冨善之)
 追加文献/邦訳文献リスト
 参考文献
 事項索引
 人名索引