叢書・ウニベルシタス 604
ロマン主義のレトリック 〈新装版〉

四六判 / 470ページ / 上製 / 価格 5,170円 (消費税 470円) 
ISBN978-4-588-09996-0 C1390 [2014年12月 刊行]

内容紹介

デリダとともに〈脱構築批評〉の開祖とされるド・マン(アメリカ)の批評理論の集大成。ボードレール、ルソー、H.クライスト、ヘルダーリン、ワーズワース、シェリーらに代表されるヨーロッパ18~20世紀初頭のロマン主義およびポスト・ロマン主義文学や、比喩言語としてのテクストの構造を精密に分析。本書は死の直前に完成された重要な著作。

著訳者プロフィール

ポール・ド・マン(ド・マン ポール)

(Paul de Man)
1919年アントワープに生まれる。1939-42年ブリュッセル大学で科学と哲学を専攻。40-42年ナチス占領下のベルギーで日刊新聞〈ル・ソワール〉のコラムニストとして活動、42年以降は出版業や翻訳にたずさわる。47年アメリカに移住しニューヨークに住み、49-51年バード・カレッジでフランス文学を講じ、52-60年ハーヴァード大学大学院で比較文学を専攻、M. A. とPh. D. を取得。その後同大学の講師をつとめ、60-67年コーネル大学、67-70年ジョンズ・ホプキンズ大学、70年から亡くなる83年までイェール大学で教鞭をとり、比較文学の主任教授などをつとめた。最後となった主著の一つの本書のほか多くの著作がある。

山形 和美(ヤマガタ カズミ)

1934年生まれ。東京教育大学大学院修了。文学博士。筑波大学名誉教授。筑波大学、恵泉女学園大学、聖学院大学大学院等の教授を経て現在に至る。著書に『岩のつぶやき──現代キリスト教徒文学論』(笠間書院)、『グレアム・グリーンの文学世界』(研究社出版)、『差異と同一化──ポストコロニアル文学論』(編著、同)、『開かれた言葉』(彩流社)、『聖なるものと想像力・上下』(編著、同)、『山形和美全集・全14巻』(彩流社)ほか。訳書にハンデルマン『誰がモーセを殺したか』(第25回日本翻訳文化賞受賞)、ブルーム『聖なる真理の破壊』、サイード『始まりの現象』(共訳)、同『世界・テキスト・批評家』、オールター『読みの快楽』(共訳)、イーグルトン『理論の意味作用』(以上訳書は法政大学出版局)、シェルデン『グレアム・グリーン伝──内なる人間・上下』(早川書房)ほか。
2013年瑞宝中綬章受勲。日本C・S・ルイス協会、日本グレアム・グリーン協会会長。

岩坪 友子(イワツボ トモコ)

1962年佐世保市に生まれる。90年津田塾大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得(英文学専攻)。現在、法政大学教授。論文に“The Mask in W. B. Yeats’s Poems”、「必然的挫折の探求──ポール・ド・マンのレトリック論」、「詩神のためのエレジー ──最後のモード・ゴン詩、『青銅(ブロンズ)の頭像』を読む」、ほか。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

 序文

第1章 ロマン的イメージの意図的構造

第2章 ヘルダーリーンの詩におけるルソーのイメージについて

第3章 ワーズワスとヘルダーリーン

第4章 摩損としての自叙伝

第5章 ワーズワスとヴィクトリア時代の人たち

第6章 汚損されたシェリー

第7章 ワーズワスとイェイツにおける象徴的風景

第8章 イェイツにおけるイメージとエンブレム

第9章 抒情詩における擬人化と比喩

第10章 美的形式化━━クライストの「人形芝居について」

 訳註
 訳者あとがき
 第8章に関する書誌一覧
 原註
 索引

関連書籍

『始まりの現象』
E.W.サイード:著
『大いなる体系』
N.フライ:著
『理論の意味作用』
T.イーグルトン:著