近代日本の史蹟保存事業とアカデミズム

A5判 / 432ページ / 上製 / 定価:5,800円 + 税 
ISBN978-4-588-32706-3 C1021 [2015年02月 刊行]

内容紹介

明治から昭和戦前期にいたる近代化の過程で、日本人は古代遺跡や社寺宝物などの歴史的文化財をどのように認識し、顕彰し、保存してきたのか。アカデミズムによる歴史学的・考古学的知の発展が、国家ならびに地域レベルでナショナリズム発揚やアイデンティティ形成に寄与した実態を詳細に分析し、史蹟保存運動の価値認識がはらんでいた政治的・文化的・学術的意味を明らかにする画期的研究。

著訳者プロフィール

齋藤 智志(サイトウ サトシ)

1980年、神奈川県生まれ。2014年3月法政大学大学院人文科学研究科(日本史学専攻)修了、博士(歴史学)。日本近現代史専攻。現在、秋山庄太郎写真芸術館主任学芸員。
主要論文:「帝国古蹟取調会と学者たち──〈顕彰〉と〈保存〉の交錯」(『日本歴史』746号、2010年7月)、「明治期から昭和戦前期における歴史学と風俗史研究」(『風俗史学』50号、2013年1月)、「民間史蹟名勝保存事業とアカデミズム──京都府綴喜郡井手村・井手保勝会を事例として」(『法政史学』82号、2014年9月)
共編:『近世信濃庶民生活誌──信州あんずの里名主の見たこと聞いたこと』(ゆまに書房、2008年)

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 章

  第一部 史蹟保存の流行とアカデミズム

第一章 史蹟保存事業前史
  第一節 古器旧物保存から古美術保存へ
  第二節 明治前・中期の史蹟関連業務
  第三節 一九〇〇年前後における史蹟保存事業の流行

第二章 史蹟保存の流行と日本歴史地理研究会
  第一節 日本歴史地理研究会とその歴史観
  第二節 日本歴史地理研究会の史蹟保存論

第三章 帝国古蹟取調会と学者たち
  第一節 会の活動と組織
  第二節 史蹟に対する会主唱者の関心
  第三節 初期『会報』記事の特徴
  第四節 会内外の学者の批判
  第五節 会運営の刷新と学者の関与

第四章 民間史蹟保存事業と学者たち
  第一節 井手保勝会の概要
  第二節 井手保勝会の活動 
  第三節 井手保勝会と学術的価値認識との相克

  第二部 史蹟名勝天然紀念物保存事業とアカデミズム

第五章 史蹟名勝天然紀念物保存協会と学者たち
  第一節 史蹟名勝天然紀念物保存事業の潮流
  第二節 史蹟名勝天然紀念物保存協会の概要
  第三節 総論的な論説
  第四節 史蹟保存に関する論説
  第五節 名勝・天然紀念物保存に関する論説

第六章 黒板勝美の史蹟保存論
  第一節 史蹟保存事業への関与
  第二節 総論的な論説
  第三節 各論1
  第四節 各論2
  第五節 各論3
  第六節 各論4
  第七節 保存論の変化1
  第八節 保存論の変化2

 補論 黒板勝美の外遊経験と史蹟保存論
  第一節 外遊の概要
  第二節 旅行記の発表とその構成
  第三節 史蹟保存論に与えた影響

第七章 三上参次の史蹟保存論
  第一節 史蹟保存事業との関わり
  第二節 史蹟保存論
  第三節 歴史の意義と歴史観

  第三部 史蹟名勝天然紀念物保存行政の展開とアカデミズム

第八章 史蹟名勝天然紀念物保存法制下の史蹟保存行政と
    学者たち
  第一節 保存法と関連規定に見る学者の役割
  第二節 史蹟名勝天然紀念物保存行政の組織と実務
  第三節 史蹟調査嘱託の史蹟認識
  第四節 学術的・文化的価値認識の広がり

第九章 古代遺跡と地域社会1
  第一節 発見の前提
  第二節 発見と諸反応
  第三節 その後の内郷村と寸沢嵐遺跡
  第四節 神奈川県郷土史教育のなかの寸沢嵐遺跡

第十章 古代遺跡と地域社会2
  第一節 保存行政と上田三平の発掘
  第二節 郷土研究のコミュニティと阿部正己の発掘
  第三節 語られる城輪柵跡
  第四節 地域のなかの城輪柵跡
  第五節 城輪柵跡の保存と郷土史への組み込み

終 章

参考文献・参考史料一覧
初出一覧
あとがき
索  引

書評掲載

「地理」(2015年9月号/上杉和央氏・評)にて紹介されました。

「日本歴史」(2017年2月号/塩原佳典氏・評)にて紹介されました。