島の地理学
小さな島々の島嶼性

A5判 / 344ページ / 上製 / 定価:4,400円 + 税 
ISBN978-4-588-37714-3 C1025 [2018年08月 刊行]

内容紹介

地球のあらゆる海域に、規模も経済状況もさまざまに分布する幾千もの島々。それらがもつ遠隔性、狭小性、隔絶性、周辺性といった「島嶼性」ゆえの制約に光をあて、境界を限られた陸地ならではの自然と人間社会との関わりを、自然地理学および人文地理学の視点から総合的に描き出す。移民の政治やエスニシティ、ツーリズムの問題も扱った、グローバルな島嶼地理学の定評ある決定版!

著訳者プロフィール

スティーヴン・A.ロイル(ロイル スティーヴン ロイル スティーヴン アーサー)

(Stephen A. Royle)
1952年イングランド生まれ。ケンブリッジ大学セントジョンズカレッジで地理学を専攻し、レスター大学でPh.D.を取得。1975年から北アイルランド・ベルファストのクイーンズ大学で地理学を教える。現在は同大学名誉教授。アイルランド地理学協会会長など歴任。
本書のほか主な著書に、Enduring City: Belfast in the Twentieth Century(Boal, F.と共著.Blackstaff, 2006)、 The Company’s Island: St Helena, Company Colonies and the Colonial Endeavour(I.B.Tauris, 2007)、Islands: Nature and Culture(Reaktion Books, 2014)などがある。

中俣 均(ナカマタ ヒトシ)

1952年新潟県生まれ。1976年東京大学理学部卒。1980年東京大学大学院理学系研究科博士課程中退。島根大学助手、法政大学専任講師、同助教授を経て1993年法政大学文学部地理学科教授。現在、法政大学沖縄文化研究所所長、日本島嶼学会会長も務める。博士(理学)。専攻は文化地理学・島嶼地理学。主な編著書に、『国土空間と地域社会』(朝倉書店、2004年)、『空間の文化地理』(朝倉書店、2011年)、『渡名喜島──地割制と歴史的集落景観の保全』(古今書院、2014年)などがある。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

謝 辞

第1章 島──その夢と現実
 はじめに
 島──その所在地と総数
 島という概念
 芸術的想像力のなかの島
 夢の島
 島と科学
 島の現実

第2章 島──その形成と性質
 島の分布と形成
  火山性弧状列島/海洋上の島/大陸沿岸の島
 島の生物地理学
  島の生物種の危機/島の危機

第3章 島嶼性──そのプロセスと影響
 隔絶性と辺境性
 隔絶性という問題
 資源としての隔絶性
  あらゆるものから自由に/踏み石としての島/監獄としての島
  戦略的立地/遠く離れた場所にある島
 島の微力さ
 資 源
  すべての卵を一つのバスケットに/職業的複合性/資源と島の環境

第4章 島の過去
 キリバスでもまたミレニアム
 島のコネクション
 防衛上の要点かつ踏み石としての島
 チェスの駒としての島
  クレタ島の場合
 資源と職業的複合性の島
  一八二一年のアラン諸島/原初的な共産制

第5章 島──人々と移住
 人口と経済的調整
  島からの出移民とその影響/アイルランドの島々からの出移民
 他の出移民の場合
 島への移住
  キリバスの例/対照的なマーシャル諸島の例
 島のエスニシティ
 小さな島の人口──その将来像

第6章 コミュニケーションとサービス
 コミュニケーション
  輸 送/遠隔通信
 サービス
  小売業/行政サービス
 健康と保健制度
  島での医療供給制度
 教 育

第7章 政治と小さな島々
 島の微力さ
  フォークランド諸島の場合/内部と外部の植民地主義
 島──外部の支配と依存
  島──冷戦と基地
 島とその政治的地位
  限定的なローカル自治/分割された島
 領有が争われている島
 “植民地”としての島
 独立国家としての島

第8章 島で暮らすこと──現代の島の経済
 資源への依存
 ニューファンドランド島の事例
 継続的な資源利用
  フォークランド諸島の事例/タークス・カイコス諸島の事例
 スケール問題の克服──規模拡大
  島の生活協同組合/スケール問題の克服──規模縮小
 スケール問題の克服──島のブランド化
 オフショアファイナンス
 島と世界労働市場
  モーリシャスの事例/バタム島の事例
 自己援助・外部からの援助・そしてMIRAB経済
 結 論

第9章 夢の島──観光は島の問題解決への万能薬か?
 序 論
 島にとってのツーリズムがもたらす利益
  ヘルゴラント島の事例/商品・サービス・そして雇用
  観光客輸送とクルージング/夢の島と他の魅力
 島という状況でのツーリズムの問題点
  過度の特化の危険性/マヨルカ島の事例/環境へのツーリズムの影響
  島の社会へのツーリズムの影響/ツーリズムが伝統的な島の経済に与える影響
 クルサック島の事例
 結 論

第10章 結論──セントヘレナ島、再び表舞台に
 序 論
 セントヘレナ島の地質とエコシステム
 人口と経済の歴史──島の物語
 現在の経済的状況──大西洋のMIRAB国家
 微力さ
 孤 立
 スケールと依存
 隔絶性の利益──監獄としての島

結論──セントヘレナ島、再び表舞台に

訳者あとがき
参考文献
島名索引

書評掲載

「出版ニュース」(2018年10月中旬号)に紹介されました。

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デイヴィッド・リヴィングストン:著
『島』
田辺 悟:著