近代日本の戦争と文学

四六判 / 290ページ / / 価格 3,850円 (消費税 350円) 
ISBN978-4-588-46009-8 C0095 [2007年05月 刊行]

内容紹介

1874年の〈台湾出兵〉から1945年の敗戦まで,日本における戦争と文学者との関係を究明し,戦争の真実を隠蔽しようとする時代の風潮につきつけた文学からの証言。

著訳者プロフィール

西田 勝(ニシダマサル)

1928年,静岡県に生まれる。1953年,東京大学文学部卒業,法政大学文学部教授を経て,現在〈西田勝・平和研究室〉主宰,植民地文化研究会代表。主要著書に『近代文学の発掘』(法政大学出版局),『社会としての自分』(オリジン出版センター),『近代文学閑談』(三一書房),『私の反核日記』(日本図書センター),編訳書に『田岡嶺雲全集』(全8巻,刊行中。法政大学出版局),ゴードン・C・べネット『アメリカ非核自治体物語』(筑摩書房),『世界の平和博物館』(日本図書センター),呂元明『中国語で残された日本文学』(法政大学出版局),『《満洲国》文化細目』(共編,不二出版)などがある。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

プロローグ *7*

I 「台湾出兵」から日清戦争前まで
1 「台湾出兵」は近代日本の最初の海外派兵だった *34*
2 「台湾出兵」は当時の日本で、どのように語られていたか *39*
3 植木枝盛の世界政府論 *43*
4 平和思想家としての徳富蘇峰 *51*

II 日清戦争から日露戦争まで
1 「君が代」は軍歌だった *66*
2 戦争犯罪の最初の自覚と朝鮮人の抵抗と *74*
3 ハーグ平和会議と日本 *100*
4 百年前の虐殺証言 *109*
5 山口孤剣の反戦詩と非戦論 *115*

III 日露戦後から「満洲事変」前まで
1 武者小路実篤の逸文「戦争」 *126*
2 黒島伝治の「パルチザン・ウォルコフ *133*
3 戦争への起点としての関東大震災 *139*
4 武力による解決は「人間の負け」ということ *148*
5 反戦アンソロジー『戦争に対する戦争』 *154*

IV 「満洲事変」から日本敗戦まで
1 気になる戦争の呼称 *164*
2 日本植民地下の朝鮮・「満洲」・台湾 *167*
3 在「満」朝鮮人作家今村栄治の内心の世界 *177*
4 深まった「占領」の概念 *191*
5 インドネシアの「自爆隊」 *194*
6 井伏鱒二と戦争 *201*
7 中国農民に殉じた詩人野川隆 *206*

エピローグ *245*

出典一覧  *285*
あとがき  *289*