現代社会研究叢書 10
メディア環境の物語と公共圏

A5判 / 246ページ / 上製 / 定価:3,800円 + 税 
ISBN978-4-588-60260-3 C3336 [2013年03月 刊行]

内容紹介

デジタル化した現代社会のメディア環境では、つねに、大小かつ多種多様な物語がデータ化され続けているとともに、新たなる物語が生成され続けている。人びとは、その物語によって世界を認識しているといってもよい。本書は、人間、社会、そしてその世界観の形成にとって重要な意味を持つ、マスメディア、都市、映像におけるメディア環境の物語と公共圏とのかかわりを論じる。

著訳者プロフィール

金井 明人(カナイ アキヒト)

1972年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻博士課程、日本学術振興会特別研究員(PD)、法政大学社会学部専任講師を経て、現在、同大学社会学部准教授。博士(工学)。
主な著書・論文に、『映像編集の理論と実践』(共編、法政大学出版局、2008年)、『物語論の情報学序説』(共著、学文社、2010年)、『認知科学』「修辞の認知科学」(特集エディタ、2007年)。

土橋 臣吾(ドバシ シンゴ)

1969年生まれ。武蔵工業大学環境情報学部講師を経て、現在、法政大学社会学部准教授。
主な著書に、『科学技術実践のフィールドワーク──ハイブリッドのデザイン』(共編、せりか書房、2006年)、『デジタルメディアの社会学──問題を発見し可能性を探る』(共編、北樹出版、2011年)。

津田 正太郎(ツダ ショウタロウ)

1973年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科単位取得退学。(財)国際通信研究所を経て、現在、法政大学社会学部准教授。
主な著書に、『公共放送BBCの研究』(共著、ミネルヴァ書房、2011年)、『表現の自由Ⅱ』(共著、尚学社、2011年)、『戦後日本のメディアと市民意識』(共著、ミネルヴァ書房、2012年)。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

 はじめに
第Ⅰ部 マスメディア編

第1章 物語の公共性とメディア
「シニック・ナショナリズム」を超えて(津田正太郎)
1 氾濫する「シニカルな物語」
2 社会理論における物語概念
3 戦後日本の「大きな物語」
4 物語の公共性の条件
5 シニック・ナショナリズムを超えて

第2章 新聞メディアにおける人種問題の変遷
トレイヴォン・マーティン射殺事件報道の分析から(兼子 諭)
1 社会の自己記述としての新聞メディア
2 『USAトゥディ』紙にみる喜劇としての人種問題
3 『ニューヨーク・タイムズ』紙にみる人種問題の「脱主題化」
4 『タンパベイ・タイムズ』紙にみる人種的分断の物語
5 『ロサンジェルス・センティネル』紙にみる黒人間の悲劇という物語
6 人種問題の「脱主題化」と人種問題報道の多元化

第3章 インターネットのメディア公共圏と物語
『14才の母』のBBSとドラマ制作の関連を事例に(西田善行)
1 『14才の母』公式サイトBBSの投稿と制作への影響
2 日本におけるインターネットと公共圏論
3 機能システムの観察としての公共圏
4 メディア公共圏とドラマ制作
5 おわりに

第Ⅱ部 都市編

第4章 文芸的公共圏としてのレコード喫茶の生成過程
戦前の複製芸術文化を中心に(加藤徹郎)
1 なぜ公共圏の枠組みでレコード喫茶を語りうるのか?
2 1930年代における、ジャズ喫茶の生成過程
3 文化創出の場としてのレコード喫茶
4 戦後のジャズ喫茶、政治的言説が交錯する物語の場として

第5章 モバイル・メディアと都市経験
極端なユーザーに見るその可能的様態(土橋臣吾)
1 モバイル・メディアと都市という問題
2 〈ポスト80年代〉におけるモバイル・メディアと都市空間
3 「極端なユーザー」は都市とケータイをどう使ったか
4 都市に関与するためのモバイル

第Ⅲ部 映像編

第6章 電子映像の遍在性とヴィデオアート
もうひとつの批判的実践の鉱脈(河合政之)
1 電子映像メディア社会への批判的実践としてのヴィデオアート
2 電子映像のオブジェクト性
3 電子映像の記号的分析
4 映像的思想のあらわれに向かって

第7章 映像環境の物語と切断による規範理論
「わかりにくさ」の認知をめぐって(金井明人)
1 映像と規範理論
2 映像環境と規範理論
3 映像環境による物語
4 「わかりにくさ」の擁護へ向けて
5 映像環境の物語と規範理論による公共圏

 おわりに
 人名・事項索引

[執筆者紹介]*印は編著者

金井 明人(カナイ アキヒト)[はじめに、第7章]*

津田 正太郎(ツダ ショウタロウ)[第1章、おわりに]*

土橋 臣吾(ドバシ シンゴ)[第5章、おわりに]*

兼子 諭(カネコ サトシ)[第2章]
1976年生まれ。法政大学大学院社会科学研究科社会学専攻博士後期課程満期退学。現在、法政大学兼任講師、法政大学大原社会問題研究所兼任研究員。
主な論文に、「『多文化主義』における理論的問題の解決へ向けて──テイラー、キムリッカ、ホリンジャーの検討をもとに」『社会・経済システム』27号(2006年)、「パーソンズ近代社会論の再読──社会的共同体の多元的包摂という観点を中心に」『法政大学大学院紀要』62号(2008年)、「パーソンズ社会理論の市民社会論への貢献──『影響力』概念とその批判的継承についての検討」『社会学史研究』33号(2011年)。

西田 善行(ニシダ ヨシユキ)[第3章]
1977年生まれ。法政大学社会学研究科社会学専攻博士後期課程単位取得退学。現在、法政大学・宇都宮大学非常勤講師。
主な著書に、『プロセスが見えるメディア分析入門──コンテンツから日常を問い直す』(共著、世界思想社、2009年)、『メディアの卒論──テーマ・方法・実際』(共著、ミネルヴァ書房、2011年)、『失われざる十年の記憶── 一九九〇年代の社会学』(共編著、青弓社、2012年)。

加藤 徹郎(カトウ テツロウ)[第4章]
1971年生まれ。法政大学社会学研究科社会学専攻博士後期課程単位取得退学。現在、法政大学・文教大学・淑徳大学非常勤講師。
主な著書・論文に、『プロセスが見えるメディア分析入門──コンテンツから日常を問い直す』(共著、世界思想社、2009年)、「『健康関連広告』の内容分析──身体表象についての一考察」『法政大学大学院紀要』52号(2004年)。

河合 政之(カワイ マサユキ)[第6章]
1972年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻修士課程在籍中。文化庁・各種財団の派遣芸術家としてNY、パリ、イスラエルなどに滞在。2001年NPO法人ビデオアートセンター東京を設立、2004年まで代表。さまざまな国際映像展のディレクターや映画祭の審査員などを歴任。ヴィデオアーティスト/オーガナイザー。
主な著書に、『情報社会を知るクリティカル・ワーズ』(共著、フィルムアート社、2004年)、『映像編集の理論と実践』(共著、法政大学出版局、2008年)、『僕らはヴィジュアルで思考する──シームレス・メディアの時代とvideo art』(共著、現代企画室、近刊)。

関連書籍

金井明人・丹羽美之編著『映像編集の理論と実践』
石坂悦男編著『市民的自由とメディアの現在』