サピエンティア 48
帝国日本の大礼服
国家権威の表象

A5判 / 404ページ / 上製 / 価格 5,060円 (消費税 460円) 
ISBN978-4-588-60348-8 C3321 [2016年09月 刊行]

内容紹介

明治5年(1872)、服制で国家の礼服が定められた。これを大礼服といい、昭和29年(1954)に法的根拠を失うまで、80年間利用された。従来の衣冠束帯から西洋に遅れまいと洋式礼服になったことで、高価な調製費や仕立屋の問題が起こる。皇族や官僚、有爵者らの着る絢爛豪華な大礼服は、勲章や宮中席次とともに権威の象徴であった。目立つために微妙にデザインを変えたり、安い古着を探し回るといった挿話も紹介。

著訳者プロフィール

刑部 芳則(オサカベ ヨシノリ)

1977年東京都生まれ。中央大学大学院文学研究科博士課程修了。学位取得。博士(史学)。
中央大学文学部日本史学専攻兼任講師を経て,現在は日本大学商学部准教授。
主要著作に『洋服・散髪・脱刀―服制の明治維新―』(講談社選書メチエ,2010年)。『明治国家の服制と華族』(吉川弘文館,2012年)日本風俗史学会第27回江馬賞受賞。『京都に残った公家たち―華族の近代―』(吉川弘文館歴史文化ライブラリー,2014年)。『三条実美―孤独の宰相とその一族―』(吉川弘文館,2016年)などがある。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序章 大礼服には権威と魅力があるのか
 一 本書の目的と分析視角
 二 先行研究とその問題点
 三 本書の構成

第一章 近代洋式大礼服制の創出
 一 岩倉使節団と洋式大礼服
 二 洋式大礼服の制定
 三 大礼服制に対する批判と服装観

第二章 文官大礼服の権威創出
 一 大礼服と小礼服
 二 文官大礼服の系譜
 三 有爵者大礼服の制定と華族
 四 文官大礼服の改正
 五 大礼服と洋服店

第三章 宮内省と大礼服制
 一 宮内官大礼服制の制定と整備
 二 宮中席次と勲章
 三 宮内官制服令の制定

第四章 官僚と代議士の服装観
 一 帝国議会の開院式と大礼服制
 二 官僚たちの和服と洋服
 三 官僚と代議士の大礼服姿
 四 羽織袴の公認を要求する判任官

第五章 大喪および国葬と喪服
 一 国葬と大礼服制
 二 英照皇太后の大喪と喪服
 三 皇室喪服規程の制定過程
 四 明治天皇の大喪と喪服

第六章 大正時代の服装の簡略化
 一 大正大礼と大礼服制
 二 帝国議会の服装の簡略化
 三 大礼服制と華族
 四 宮内省服制の簡略化
 五 矛盾する大礼服の権威

第七章 昭和戦前期の大礼服制の改正と限界
 一 宮内官制服令の改正
 二 非役有位大礼服の廃止案
 三 宮中諸行事の服装の簡略化
 四 知られざる文官大礼服改正案
 五 大礼服の権威と魅力

第八章 戦時下の礼服
 一 大礼服制の停止
 二 国民服と礼服
 三 太平洋戦争と礼服

第九章 現代に残る礼服
 一 大礼服制の終焉
 二 官民礼服の近接
 三 栄光の行方──骨董市と博物館

終章 帝国日本の大礼服

あとがき
索引

書評掲載

「出版ニュース」(2016年12月中旬号)にて紹介されました。

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