法政大学現代法研究所叢書 37
民意の形成と反映

A5判 / 334ページ / 上製 / 定価:4,000円 + 税 
ISBN978-4-588-63037-8 C1336 [2013年03月 刊行]

内容紹介

選挙は民意を反映したのか。民意は政治に反映されているのか……原発事故、普天間基地の撤去・移設をめぐる混迷などを契機に、政府への不信、議会政治に対する不満、既成政党への期待喪失がかつてなく増大している。小選挙区制、住民投票、討議デモクラシー、政策決定への市民の直接的参加、民意の形成と反映のあり方、代表制民主主義を理論と事例分析から問い直す。

著訳者プロフィール

石坂 悦男(イシザカ エツオ)

法政大学社会学部教授、法政大学現代法研究所研究員。
社会学、マスコミ論

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

 まえがき

第Ⅰ部 民主主義と民意

第1章 民主主義における「民意」と「討議」──市民の直接行動の位置づけをめぐって (高作正博)
1 民主主義と議会制の接続と対抗
2 議会制民主主義の展開と民主主義の「質」
3 民主主義の「質」の向上とその条件

[附論]民意へのアプローチ (高作正博)
1 問い──「民意」とは何か?
2 存在──現象学のプロジェクト
3 可能性──民意の「存在」とは?
4 討議──民意の「形成」における意義

第2章 「民意」の過少と過剰──現代民主制論の課題 (高作正博)
1 「民意」の過少と対応策(1)──選挙制度における「民意」の過少
2 「民意」の過少と対応策(2)──議員定数不均衡と「民意」の正確な反映
3 「民意」の過剰の問題?──選挙制度・国民投票における「民意」の歪み

第3章 「引き下げデモクラシー」の出現──既得権バッシングの変遷とその帰結 (津田正太郎)
1 「引き下げデモクラシー」とは
2 研究の方法
3 「既得権」の変遷
4 既得権をめぐる世論
5 引き下げデモクラシーの帰結 ─権益から権利へ─

第4章 秘密保全法と民意の形成・反映──「秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議の報告(書)」を中心に (石坂悦男)
1 秘密保全法の制定をめぐる政府の動向
2 「法制有識者会議」報告(書)にみる秘密保全法制の特質
3 秘密保全法制定の背景とその促進要因

第Ⅱ部 住民運動と民意

第5章 住民の合意形成と地方紙──川辺川ダム建設中止をめぐって (山口和也)
1 川辺川ダム事業とは
2 当事者たちの動向
3 前面に出てきた住民たち
4 荒瀬ダム撤去──もう一つのダム問題
5 知事の反対表明と政権交代
6 住民の合意形成と地方紙──報道し続けた地方紙

第6章 基地問題と住民運動
(1)国政、自治体と民意 ─岩国の場合 (丸山重威)
1 岩国基地の現状と歴史および住民意識
2 米軍再編と住民投票
3 福田市政の登場と住民運動
4 オスプレイ反対運動は何をもたらしたか

(2)「米軍基地反対」に収斂する沖縄の民意 (丸山重威)
1 沖縄の運動とメディア
2 普天間基地「移設」をめぐる経緯
3 県政の変化と議会の動向
4 民主党政権への期待と挫折、名護市長選と民意
5 経済情勢の変化と世論
6 「沖縄差別」と「琉球独立論」

(3)原子力空母に揺れる民意 ─訴訟・住民投票請求・市長選と地元紙──“米軍基地と共存”か“海の文化都市”か─横須賀市民の選択 (阿部 裕)
1 黒船騒動、日露戦争……“横鎮”の歴史を背負う土地柄
2 36年続いた官僚出身破った“新しい風”若手市長の誕生
3 市長選の“前哨戦”空母母港化を問う住民投票条例の直接請求
4 横須賀港浚渫工事差し止め求める行政訴訟
5 地元メディア=神奈川新聞は「民意」とどう関わってきたのか
6 米軍基地を抱える沖縄タイムス・長崎新聞との共同企画の意義
7 「3.11」の衝撃─原子力空母、活断層の恐怖
8 結局、葬り去られた市住民投票条例案

第Ⅲ部 選挙・メディア・民意

第7章 韓国におけるインターネットと選挙民意──10・26ソウル市長選を題材に (韓 永學)
1 インターネット言論環境と選挙法制
2 10・26ソウル市長選とインターネット
3 選挙におけるSNSの働きに関する若干の考察

第8章 原発と民意──福島事故を経た原発・エネルギー政策と「民意」およびメディア (丸山重威)
1 放射能汚染と情報コントロール
2 やらせ──民意のねつ造と世論操作
3 「素人の乱」から「官邸前行動」で示された民意
4 広がる「脱原発」の動き
5 「原発ゼロ」世論に巻き返す米国、財界
6 2012年12月総選挙における「原発政策」と民意

第9章 福島第一原発事故報道──東京新聞「こちら特報部」の視点 (坂本充孝)
1 東京新聞と「こちら特報部」
2 「報道の空白」を作ったメディアの罪
3 耳なしうさぎの悲鳴
4 “子供の鼻血”を伝えるべきか
5 「菅降ろしに原発の影」の記事
6 「こちら特報部」の作り方
7 読者とともに闘う新聞

第10章 民意を繋ぐ回路の模索──地方紙の記事交換・インターネットジャーナリズム (清水 真)
1 新聞はインターネットとどう向き合ってきたか
2 新聞と新聞を繋ぐ試み
3 新聞と読者を繋ぐ試み

付記──「あとがき」に代えて
民意の形成と反映──脱原発運動と総選挙のはざまで─ドキュメント・2011~2012 (石坂悦男)
1 制度による民意の形成と反映をめぐって
2 運動による民意の形成と反映をめぐって──直接民主主義的回路の必要性

 索引

[執筆者一覧](執筆順)

石坂 悦男(イシザカ エツオ) *編著者

高作 正博(タカサク マサヒロ)
関西大学法学部教授、法政大学現代法研究所客員研究員。
憲法学

津田 正太郎(ツダ ショウタロウ)
法政大学社会学部准教授、法政大学現代法研究所研究員。
政治社会学

山口 和也(ヤマグチ カズヤ)
熊本日日新聞政治部長。

丸山 重威(マルヤマ シゲタケ)
ジャーナリスト、前関東学院大学法学部教授、法政大学現代法研究所客員研究員。
ジャーナリズム論

阿部 裕(アベ ヒロシ)
ジャーナリスト、大妻女子大学非常勤講師、法政大学現代法研究所客員研究員。
経済学、ジャーナリズム論

韓 永學(ハン ヨンハク)
北海学園大学法学部教授、法政大学現代法研究所客員研究員。
憲法学

坂本 充孝(サカモト ミツタカ)
中日新聞(大阪支社)編集部長

清水 真(シミズ マコト)
昭和女子大学人間社会学部准教授、法政大学現代法研究所客員研究員。
社会学、メディア論

関連書籍

石坂悦男編著『市民的自由とメディアの現在』
石坂悦男・田中優子編『メディア・コミュニケーション』