法政大学現代法研究所叢書 42
現代総有論

A5判 / 254ページ / 上製 / 定価:2,700円 + 税 
ISBN978-4-588-63042-2 C1332 [2016年11月 刊行]

内容紹介

2040年までに日本の人口は約9千万人に減り、ほぼ半数の自治体に消滅の可能性がある。この急激な変化に日本社会は根源的な転換を迫られている。明治以来の土地所有権の絶対視とそれがもたらす現代の都市空間の歪みを明らかにし、地域と人々のつながりに基づく所有権の新しいあり方「現代総有」によって、日本社会の大転換に対応する理論とそのプロセスを包括的に提示する。

著訳者プロフィール

五十嵐 敬喜(イガラシ タカヨシ)

1944年山形県生まれ。法政大学名誉教授・弁護士、元内閣官房参与。著書に『美の条例~いきづく町をつくる』共著(学芸出版社、1996)、『美しい都市をつくる権利』(学芸出版社、2002)、『美しい都市と祈り』(学芸出版社、2006)、『都市再生を問う』小川明雄氏との共著(岩波新書、2003)、『国土強靭化批判』(岩波ブックレット、2013)、『現代総有論序説』共著(ブックエンド、2014)他多数。

萩原 淳司(ハギワラ ジュンジ)

1960年埼玉県生まれ。1984年京都大学法学部卒業、現在、公益財団法人埼玉りそな産業経済振興財団主席研究員。著書に『都市法改正−土地総有の提言−』五十嵐等との共著(法政大学出版局、2009)、『現代総有論序説』共著(ブックエンド、2014)、『公共サービス改革の本質』武藤博己編共著(敬文堂、2014)等。

茂木 愛一郎(モギ アイイチロウ)

1949年東京都生まれ。立命館アジア太平洋大学非常勤講師。著書に『社会的共通資本──コモンズと都市』宇沢弘文と共編(東京大学出版会、1994)、「水利文明伝播のドラマ」宇沢弘文他編『社会的共通資本としての川』(東京大学出版会、2010)、「北米コモンズ論の系譜」三俣学編『エコロジーとコモンズ』(晃洋書房、2014)、『現代総有論序説』共著(プックエンド、2014)、共訳にE.オストロム他編著『コモンズのドラマ』(知泉書館、2012)等。

渡辺 勝道(ワタナベ カツミチ)

1962年栃木県生まれ。建築家。1998年ロシア経済学研究所修了(都市経済学博士)、現在法政大学大学院公共政策研究科博士課程在籍中、『社会主義経済の改革と規制』共著(ロシア科学アカデミー、1997)、『国立景観訴訟』共著(公人の友社、2012)、『現代総有論序説』共著(プックエンド、2014)等。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

まえがき

第1章 現代総有の理論──所有とつながり【五十嵐敬喜】
1 都市と孤立化
2 現代総有論とは何か
3 日本総有の始まりと展開
4 現代所有権の諸相
5 都市の空間
6 現代総有論の残された課題

第2章 現代総有と国土・都市のビジョン──全総の検証【五十嵐敬喜】
1 田中角栄と大平正芳の都市・国土論
2 全総の背景
3 全総の歴史
4 日本列島改造と田園都市国家
5 現代総有論と国土計画への示唆

第3章 現代都市論の潮流──主体と自立と【五十嵐敬喜】
1 国土交通省の描く現実と未来予測
2 様々な都市論
3 美しい都市
4 地域コミュニティと総有共同体

第4章 日本の人口と社会──求められる市民的総有【萩原淳司】
1 戦後日本社会の変化(1)~人口の増加・都市への集中と成長
2 戦後日本社会の変化(2)~グローバル化の影響と人口減少への転換
3 資産とならなかった戦後日本の都市
4 人口急減・超高齢社会の到来と東京一極集中
5 人口減少への様々な処方箋とその批判
6 求められる市民的総有

第5章 空間共有への軌跡──現代総有の空間論【渡辺勝道】
1 総有の空間と生活スタイル
2 コミュニティと建築「福建土楼」
3 ユートビアと社会主義の集住スタイル
4 現代の総有的住スタイル(コレクティプハウジング)

第6章 現代総有の主体を探す──協同組合原則を踏まえて【茂木愛一郎】
1 現代総有における主体の問題
2 総有主体となる候補とその比較
3 協同組合の位置づけとその課題
4 市民セクターによる事業領域と社会的企業
5 具体的ケースて?の市民的総有の主体について
6 協同組合原則を踏まえた総有主体の形成

第7章 現代総有社会への制度改革【五十嵐敬喜】
1 現代総有論の可能性
2 立法とは
3 「膨張型システム」から「縮小型システム」へ
4 転換の法的プロセス
5 制度改革の実践
6 幸福について

「現代総有」のケーススタディ(事例集)
あとがき
[附則資料]都市計画制度等改革基本法案

書評掲載

「地方自治職員研修」(2017年3月号)にて紹介されました。