大戦間期日本のリカード研究

竹永 進:編著
A5判 / 400ページ / 上製 / 価格 6,160円 (消費税 560円) 
ISBN978-4-588-64544-0 C3033 [2017年02月 刊行]

内容紹介

明治末から昭和前期にかけて、マルクスをはじめとする近代西洋社会科学の導入が専門化・本格化した時代、日本の経済学者たちはリカードおよび古典派経済学をどのように受容したのか。福田徳三、河上肇、小泉信三、堀経夫、森耕二郎、舞出長五郎らによる代表的リカード論の抜粋を、今の読者にも読める現代文に改め、解説を付したアンソロジー。

著訳者プロフィール

竹永 進(タケナガ ススム)

1949年生まれ。大阪市立大学大学院博士課程単位取得退学。大東文化大学経済学部教授。専攻は経済理論・経済学史。著書に『リカード経済学研究』(御茶の水書房)、編著にRicardo on Money and Finance: A Bicentenary Reappraisal(co. ed. with Yuji Sato, Routledge)、Ricardo and the History of Japanese Economic Thought: A selection of Ricardo studies in Japan during the interwar period(Routledge)、訳書にルービン『マルクス価値論概説』(法政大学出版局)、同『マルクス貨幣論概説』(編訳、法政大学出版局)、『ルービンと批判者たち』(編訳、情況出版)、ドゥルプラス『「政治経済学」とマルクス主義』(共訳、岩波書店)、デュメニル/レヴィ『マルクス経済学と現代資本主義』(こぶし書房)、ビデ『資本論をどう読むか』(共訳、法政大学出版局)ほか。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 論 大戦間期日本のリカード研究 【竹永 進】

一 はじめに

二 近代日本への欧米経済学の伝播とリカードの導入
 ⅰ 明治維新後の英米自由主義経済学の流入
 ⅱ 英米自由主義経済学からドイツ歴史学派経済学への転回
 ⅲ 社会政策学会の設立とその活動そして消滅

三 日本におけるリカード受容の特質
 ⅰ 経済学研究者のあいだでのリカードの認知
 ⅱ 研究の方法と主題の取捨
 ⅲ リカードと関連文献の翻訳

四 リカードの本格的な導入とその推進者たち
 ⅰ 福田徳三
 ⅱ 河上 肇
 ⅲ 小泉信三
 ⅳ 堀 経夫
 ⅴ 森耕二郎
 ⅵ 舞出長五郎

五 大戦間期のリカード研究から─本書に収録する研究文献
 ⅰ 福田徳三
 ⅱ 河上 肇
 ⅲ 小泉信三
 ⅳ 堀 経夫
 ⅴ 森耕二郎
 ⅵ 舞出長五郎
 参考文献目録

第一章 経済学の歴史のなかのリカード 【福田徳三】
 明治末期から大正初期─一九一〇年前後─の三論文

第二章 私の経済学研究の遍歴 【河上 肇】
 『経済学大綱』改造社、一九二八年、「序」からの抜粋

第三章 正統派経済学の頂点としてのリカード 【小泉信三】
 『アダム・スミス、マルサス、リカアドオ─正統派経済学研究』岩波書店、
 一九三四年、「第三篇 デヴィッド・リカアドオの経済学」より

第四章 リカードの賃金論 【堀 経夫】
 『理論経済学の成立』弘文堂、一九五八年、「第四章 労賃論」

第五章 リカード価値論の基本的諸側面 【森耕二郎】
 『リカアド価値論の研究』岩波書店、一九二六年、より

第六章 リカードの価値と分配の理論 【舞出長五郎】
 『経済学史概要 上巻』岩波書店、一九三七年、「第五章 デヸッド・リカアド」

事項・人名索引

関連書籍

『マルクス価値論概説』
イ・イ・ルービン:著
『マルクス貨幣論概説』
イサーク・イリイチ・ルービン:著