叢書・ウニベルシタス 925
美的経験

四六判 / 228ページ / 上製 / 価格 2,860円 (消費税 260円) 
ISBN978-4-588-00925-9 C1310 [2009年10月 刊行]

内容紹介

美学の課題は、芸術作品の理論化や形式化であるよりも、感性的経験の反省プロセスそれ自体を把握することにある。ガダマーの高弟たる哲学者が、ロマン主義に発して過去二世紀にわたる近代芸術の本質を探りながら、カントからヘーゲル、ルカーチ、ハイデガー、アドルノらにいたる観念論的およびマルクス主義的美学を批判的に総括、日常性のなかでの美的経験の自立性を明らかにする好著。〔哲学・美学〕

著訳者プロフィール

リュディガー・ブプナー(ブプナー,リュディガー)

1941年生~2007年没.哲学者.フランクフルト,テュービンゲン,ハイデルベルクの各大学の教授を歴任.H.-G.ガダマーの高弟として,観念論や現象学の伝統に立脚し,また英米系の分析哲学をも批判的に受容し,美学や社会・政治哲学の領域で解釈学的議論を展開した.ドイツのヘーゲル学会会長を務める傍ら,国際解釈学シンポジウムの開催にも尽力した.邦訳書に『弁証法と科学』(未来社,1983年),『現代哲学の戦略』(勁草書房,1986年),『ことばと弁証法』(晃洋書房,1993年)がある.

竹田 純郎(タケダ スミオ)

1945年生.東北大学大学院博士課程中退.Ph.D(ドイツ・テュービンゲン大学).現在,金城学院大学教授.著書に『生きることの解釈学』(勁草書房,1994年),『生命の哲学』(ナカニシヤ出版,2000年),『モダンという時代』(法政大学出版局,2007年),共著に『生と死の現在』(ナカニシヤ出版,2002年)ほか.

菅原 潤(スガワラ ジュン)

1963年生.長崎大学環境科学部教授.著書に『シェリング哲学の逆説─神話と自由の間で』(北樹出版,2001年),『環境倫理学入門─風景論からのアプローチ』(昭和堂,2007年),『昭和思想史とシェリング─哲学と文学の間』(萌書房,2008年)ほか.

齋藤 直樹(サイトウ ナオキ)

1970年生.盛岡大学文学部准教授.論文に「『正義』の源泉としての力─ニーチェにおける『力』概念の両義的性格について」(『哲學』日本哲学会,2002年),「『仮面』としてのディオニュソス」(『倫理学年報』日本倫理学会,2005年)ほか.

大塚 良貴(オオツカ ヨシタカ)

1975年生.東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学.論文に「物語ることと読むこと」(『思想』954号,岩波書店,2003年),「歴史的出来事の実在性をどう考えるか」(大阪大学文学会編『待兼山論叢』第40号,2006年)ほか.

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次


第一章 現代美学の成立条件
第二章 美的経験の分析のために
第三章 理論は美的になりうるか?──アドルノ
    の哲学の主要なモチーフに関して
第四章 近代における美の補完機能
第五章 生と芸術の関係のうちに推察される転換
第六章 生活世界の美化
原 注
訳 注
監訳者あとがき