叢書・ウニベルシタス 1026
市民の共同体
国民という近代的概念について

四六判 / 304ページ / 上製 / 定価:3,500円 + 税 
ISBN978-4-588-01026-2 C1331 [2015年05月 刊行]

内容紹介

「国民(ネイション)とは何か?」という問いに答えることは、「民族」や「国家」とは異なる、近代社会の政治的プロジェクトとしての「市民の共同体」の理念を明らかにすることである。20世紀の戦争と国際政治の経験を踏まえつつ、ナショナリズムや民族的・宗教的帰属の問題を正しく理解し、乗り越えるための議論を提示した、現代民主主義論の必読文献。待望の邦訳。

著訳者プロフィール

ドミニク・シュナペール(シュナペール,D.)

(Dominique Schnapper)
1934年生まれ。社会学者。パリ政治学院およびパリ大学社会学博士課程(第三課程)修了。パリ第五大学にて博士論文『文化的伝統と産業社会』により文学博士号を取得。1981年より2015年現在に至るまで、フランス国立社会科学高等研究院(EHESS)教授(研究ディレクター)。現代におけるフランス共和主義の代表的論者の一人として世界的に知られ、その歴史への深い知見に基づく研究は高く評価されている。邦訳には『市民権とは何か』(風行社、2012年)がある。

中嶋 洋平(ナカシマ ヨウヘイ)

1980年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程単位取得退学。フランス国立社会科学高等研究院(EHESS)政治研究系博士課程修了。政治学博士。現在、東洋大学ほか非常勤講師。専門は、政治思想史・ヨーロッパ統合思想史。著書に『ヨーロッパとはどこか──統合思想から読む2000年の歴史』(吉田書店、2015年)。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

緒言

序論 理念としての国民(ネイション)と民主主義
 政治的なものと社会的紐帯
 社会学者たちのためらい
 内的論理、あるいは「体系的一貫性」

第一章 定義
民族と国家とのはざまで
 国民と民族(エスニー)
 国民と政治的ユニット
 国民とナショナリズム
統合が意味するもの
 内的統合のプロセス
 内的次元と外的次元

第二章 政治的なものと国民的なもの
政治的プロジェクト
歴史的プロジェクト
 政治的発明
 合衆国、あるいは民主主義の発明
 フランス、あるいは国民の発明
 ヨーロッパ小国における国民の独立意志
 イスラエルの悲劇的誕生
市民権とナショナリティ

第三章 市民権による超越
市民の共同体の理念
 ギリシャのポリスとローマ市民
 〈都市〉と君主制国家の国家的諸制度
 代表制と民主主義的市民権
市民的国民の論理
 政治生活の諸手段
 コンセンサスの意味とその限界
 市民にして兵士
 理念型と具体的形態

第四章 国民的特殊性の創出
民族を超えること
 具体的な国民──空間と時間
 尊厳の意味
 宗教的なものから政治的なものへ
 政治的諸制度
 国民の設立者=小学校教師たち
 国民の創造者たち
 アイデンティティの標識を作り上げること
 文化的均質性と政治的超越性
 ナショナリズムの誘惑と平和志向
民主主義的統合
 地位の不平等を乗り越えること
 産業労働者のシチズンシップ
 帝国と国民
 一七八九年と福祉国家

第五章 国民を考える
二つの歴史と二つのイデオロギー
 西ヨーロッパの歴史と東ヨーロッパの歴史
 西方のイデオロギー、そして東ヨーロッパのイデオロギー
政治的なものと人間科学
たった一つの理念

結論 国民に対立する民主主義?
 客観的統合と社会的体質(ハビトゥス)
 政治的プロジェクトと生産至上主義──国民から民族へ?
 合理性に内在する限界

訳者あとがき

引用文献
事項索引
人名索引

書評掲載

「図書新聞」(2015年10月5日号/北川忠明氏・評)に紹介されました。

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