叢書・ウニベルシタス 1052
二人称的観点の倫理学
道徳・尊敬・責任

四六判 / 462ページ / 上製 / 定価:4,600円 + 税 
ISBN978-4-588-01052-1 C1310 [2017年03月 刊行]

内容紹介

人はなぜ、道徳的に正しいことを行い、不正なことを避けるべきなのか? 道徳的義務が本質的に相互人格的な性格をもつという「二人称的観点」を明確に導入し、尊敬にもとづく義務や責任の倫理学を構築しようとする問題提起の書。哲学史との対話を通じ、義務論的・契約主義的立場から応用・実践倫理分野に新たな視座をもたらす、現代英語圏を代表する哲学者の一人ダーウォルの主著。

著訳者プロフィール

スティーヴン・ダーウォル(ダーウォル スティーヴン)

(Stephen Darwall)
1946年生まれ。イェール大学卒業、ピッツバーグ大学で博士号を取得、ノースカロライナ大学教授、ミシガン大学教授を経て、現在イェール大学アンドリュー・ダウニー・オリック教授、ミシガン大学ジョン・デューイ卓越名誉教授。主な研究分野は倫理学。主な著作に、本書のほか、Philosophical Ethics Westview Press, 1998:『哲学的倫理学』), Welfare and Rational Care(Princeton University Press, 2002:『福祉と理性的ケア』), Morality, Authority, and Law : Essays in Second-Personal Ethics I(Oxford University Press, 2013:『道徳・権威・法──二人称的観点の倫理学に関する試論Ⅰ』), Honor, History, and Relationship: Essays in Second-Personal Ethics II(Oxford University Press, 2013:『名誉・歴史・人間関係──二人称的観点の倫理学に関する試論Ⅱ』)など。

寺田 俊郎(テラダ トシロウ)

京都大学大学院文学研究科博士課程学修退学、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)。洛星中学・高等学校教諭、明治学院大学一般教育部助教授、同大学法学部准教授を経て、現在、上智大学文学部教授。主な研究分野は、近現代の実践哲学、臨床哲学、哲学的対話の理論と実践。主な著作に『グローバル・エシックスを考える──「九・一一」後の世界と倫理』(共編著、梓出版社、2008年)、『世界市民の哲学』(共編著、晃洋書房、2012年)、『自由の秩序──カントの法および国家の哲学』(共監訳、ミネルヴァ書房、2013年)など。

会澤 久仁子(アイザワ クニコ)

大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位修得退学、日本学術振興会特別研究員、ミシガン大学客員研究員、熊本大学グローバルCOEリサーチ・アソシエイトを経て、国立循環器病研究センター研究員、現在、同センター医学倫理研究部倫理研究室長。主な研究分野は、臨床倫理、研究倫理、臨床哲学。主な著作に「家族と代理判断」(浅井篤・高橋隆雄編『臨床倫理』丸善、2012年)、“Defining life-prolonging treatment through Neo- Socratic Dialogue”(BMC Medical Ethics, 2013),「国内における研究倫理コンサルテーションのニーズ」(『臨床薬理』2015年)など。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

まえがき
凡 例

第一部

第一章 主要な着想(一)
二人称的理由/論理的関係と人称的関係/二人称的概念の還元不可能な円環/ストローソンの論点/権利/理由を二人称的に宛てることの諸前提/フィヒテの論点/プーフェンドルフの論点

第二章 主要な着想(二)
道徳的義務がもつとされている規範性/道徳的義務の範囲/道徳的義務を立証する──カント的プロジェクト/定言命法の二人称的解釈/契約主義の基礎

第三章 二人称的構えと二人称的理由
共感とアダム・スミスの交換論/強いることと導くこと/言語行為と適切性の条件/信念の理由を宛てること/二人称的な実践的理由を宛てること/二人称的理由、責任、尊敬

第二部

第四章 責任と二人称
誰かに何かを宛てることの一種としての反応的応答/二人称的な能力と権威を前提とすること/(人としての)相手の振舞いに応答すること/(少なくとも部分的に)人に対する尊敬をもつこと/(少なくとも見たところでは)無道徳的な事例/尊敬、尊厳、反応的制裁/責任、自由、中心的ではない事例

第五章 道徳的義務と責任
責任と道徳的義務のメタ倫理学/道徳的義務の二人称性を明示的にする/道徳の規範性と二人称的理由/平等な責任としての道徳/近代初期の自然法における責任と二人称的理由/道徳的義務に関するスアレスの見解/道徳的義務に関するプーフェンドルフの見解/責任、道徳的理由、二人称的観点/二人称的なものとしての定言命法と黄金律

第六章 尊敬と二人称
態度と対象/評価としての尊敬と認知としての尊敬との対比/尊敬とケアの対比/尊敬に関するカントの見解/自惚れと道徳──スターリンの事例/二人称的なものとしての尊敬/礼儀作法、名誉、公共空間/尊厳はどこから来るか

第三部

第七章 カントにおける道徳と自律
道徳・自律の正当性を立証する必要性/カントの行為論/『基礎づけ』第三章における道徳・自律の立証/『基礎づけ』のその他の議論/理性の事実/理性の事実──二人称的な解釈

第八章 尊厳と二人称──フィヒテの主題による変奏
序奏──材料を集める/フィヒテの分析──要求を二人称的に宛てることと自由な実践理性/フィヒテの分析──行為主体性を定立することと二人称的理由/フィヒテの論点──法・権利の原理と平等な尊厳/反論──奴隷制/主張を定式化する

第九章 自由と実践理性
規範性と未決の問い──信念と真理/規範性と未決の問い──行為、欲求、結果の価値/自由な行為主体性と二人称的観点/実践理性のメタ倫理学──認識的理論と構成主義的理論の対比/構成主義と二人称的観点/認識的理論と二人称的観点

第十章 契約主義の基礎
契約主義のさまざまな種類/契約主義と定言命法/契約主義における理性的な受け入れと道理にかなった却下の基礎/契約主義と規則帰結主義/公共性の役割と原則/道理にかなったものを立証する

監訳者解説(寺田俊郎)

監訳者あとがき
引用文献
索 引

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