叢書・ウニベルシタス 1067
憲法パトリオティズム

四六判 / 250ページ / 上製 / 定価:2,700円 + 税 
ISBN978-4-588-01067-5 C1330 [2017年09月 刊行]

内容紹介

ハーバーマスによって提唱された、自由や平等など憲法に含まれる普遍的原理に根ざした社会統合の構想「憲法パトリオティズム」。その政治的かつ思想的な歴史的コンテクストを明らかにする。分断社会と呼ばれる状況で、社会において市民が相互に信頼し、互いを支え合っていこうとする連帯意識が喪失していく状況への危惧のなか、いままさに、憲法とともにある新しい批判理論を提唱する。

著訳者プロフィール

ヤン = ヴェルナー・ミュラー(ヤン ヴェルナー ミュラー)

(Jan-Werner Müller)
1970年ドイツ生まれ。ベルリン自由大学、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン、オックスフォード大学セント・アントニーズ・カレッジ、プリンストン大学などで学び、オックスフォード大学で博士号を取得。2005年よりプリンストン大学政治学部で教鞭をとり、現在、プリンストン大学政治学部教授。邦訳書に、『カール・シュミットの「危険な精神」――戦後ヨーロッパ思想への遺産』(中道寿一訳、ミネルヴァ書房、2011年)、『ポピュリズムとは何か』(板橋拓己訳、岩波書店、2017年)がある。

斎藤 一久(サイトウ カズヒサ)

1972年生まれ。東京学芸大学教育学部准教授。憲法学。主な著作に、「ドイツにおける多文化社会と憲法」(全国憲法研究会編『憲法問題23 人権の現代的課題』三省堂、2012年)、「基本権の間接的侵害理論の展開」(憲法理論研究会編『憲法理論研究叢書17 憲法学の最先端』敬文堂、2009年)、「ブランデンブルグ州の宗教代替教育(L-E-R)に関する和解」(ドイツ憲法判例研究会編『ドイツの憲法判例Ⅲ』信山社、2008年)など。

田畑 真一(タバタ シンイチ)

1982年生まれ。早稲田大学政治経済学術院助教。政治理論、政治思想。主な著作に、「代表関係の複数性――代表論における構築主義的転回の意義」(『年報政治学 2017–I』)、「普遍性に根ざした政治文化の生成――J・ハーバーマスにおける憲法パトリオティズム論の展開」(『社会思想史研究』38号、2014年)、「社会統合のメディアとしての法――ハーバーマスにおける法理解の転換」(『政治思想研究』11号、2011年)など。

小池 洋平(コイケ ヨウヘイ)

1984年生まれ。早稲田大学社会科学総合学術院助手。憲法学、比較憲法論。主な著作に、『平等権と社会的排除――人権と差別禁止法理の過去・現在・未来』(共著、成文堂、2017年)、「アンテ・ベラム期の奴隷擁護論における自由と労働の定位――George Fitzhughの奴隷制擁護論を素材として」(『早稲田社会科学総合研究』第17巻2号、2017年)、「合衆国憲法修正第13条の奴隷制の廃止が意味するもの――第38回連邦議会における審議を素材として」(『ソシオサイエンス』第21号、2015年)など。

安原 陽平(ヤスハラ ヨウヘイ)

1979年生まれ。沖縄国際大学総合文化学部人間福祉学科講師。専門は、憲法学、教育法学。主な著作に、「市民・公務員・教育公務員――ドイツ基本法三三条五項「職業官吏制度の伝統的諸原則」に関する議論を参考に」(憲法理論研究会編『憲法理論叢書23 対話と憲法理論』、敬文堂、2015年)、「公立学校教員の勤務時間外における政治的活動の自由と憲法忠誠――ドイツにおける基本法33条5項の射程をめぐって」(『社学研論集』第14号、2009年)、「公立学校教員志願者の「適性」と基本権保障に関する比較憲法学的考察――ドイツにおける憲法忠誠と就業禁止実践を参考として」(『社学研論集』第13号、2009年)など。

根田 恵多(コンダ ケイタ)

1989年生まれ。東京学芸大学非常勤講師。憲法学。主な著作に、『平等権と社会的排除――人権と差別禁止法理の過去・現在・未来』(共著、成文堂、2017年)、「合衆国最高裁の政教分離判例における「強制テスト」の形成過程と現在」(『ソシオサイエンス』第23号、2017年)、「合衆国最高裁の政教分離判例におけるブラック判事の「分離の壁」論――表現の自由の「絶対主義」理論を手掛かりにして」(『ソシオサイエンス』第21号、2015年)など。

菅沼 博子(スガヌマ ヒロコ)

1989年生まれ。一橋大学大学院法学研究科博士課程。憲法学。主な著作に、「ドイツにおける信条冒瀆罪正当化の試みの憲法学的一考察――宗教をめぐる「情念」の保護のための巧知?(1)・(2・完)」(『一橋法学』15巻3号、2016年・『一橋法学』16巻1号、2017年)など。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序論
    概観

第一章 憲法パトリオティズムの略歴

    ドイツ人の罪の意識から生まれた憲法パトリオティズム──自由なコミュニケーションから共和主義的忠誠へ
    ハーバーマスの憲法パトリオティズム──「合理的な集団のアイデンティティ」に向けて
    源泉、補完物、そして連帯
    「ドイツの」憲法パトリオティズムにまつわる結果と特色
    教授たちの夢……?

第二章 特質なきネーション?──憲法パトリオティズムの理論に向けて

    憲法パトリオティズム理論の要点とは何か?──いくつかの社会学的疑問
    愛着の対象──普遍的規範と憲法文化について
    憲法パトリオティズムは我々のものなのか?──特殊性の要件
    愛着とエージェンシー──すべてが両義的か?
    憲法パトリオティズムの限界と、リベラル・ナショナリズムとの比較について
    もう二つの反論──憲法パトリオティズムは国家主義であるのか、そして市民宗教であるか?
    実践的な憲法パトリオティズム?

第三章 ヨーロッパにおける憲法パトリオティズム?──記憶、闘争性、道徳について
    教育としての立憲主義と万能薬としての立憲主義?
    ヨーロッパの記憶をめぐる神秘和音?
    闘争性──「非ヨーロッパ的活動」?
    EUの憲法道徳──穏当な提案

後記─それで十分か
謝辞

監訳者あとがき

原注

索引

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