叢書・ウニベルシタス 803
他者の受容 〈新装版〉
多文化社会の政治理論に関する研究

四六判 / 446ページ / 上製 / 定価:4,500円 + 税 
ISBN978-4-588-09955-7 C1310 [2012年08月 刊行]

内容紹介

リスク共同体化の深まる多元主義世界の現実の中で、他者の受容を可能とする「差異に敏感な普遍主義」の論理を展開する注目の書。私的自律と公共的自律の等根源性と相補関係を強調してロールズと論争し、共和主義的普遍主義に立つ「包括的共同体」の法構想を示す一方、国家の枠組みを超える人道主義や人権政治を擁護する。

著訳者プロフィール

ユルゲン・ハーバーマス(ハーバーマス,J.)

(Jürgen Habermas)
1929年ドイツのデュッセルドルフ生まれ、ゲッティンゲン、チューリヒ、ボンの各大学でドイツ文学、心理学、社会学、哲学を修め、56年フランクフルト社会研究所のアドルノの助手となり、フランクフルト学派第二世代としての歩みを始める。61年『公共性の構造転換』で教授資格を取得し、ハイデルベルク大学教授となる。64年フランクフルト大学教授、71年マックス・プランク研究所所長を歴任、82年以降はフランクフルト大学に戻り、ホルクハイマー記念講座教授を務め、94年退官。60年代末のガダマーらとの解釈学論争、ルーマンとの社会システム論争、さらに『コミュニケーション的行為の理論』(81)をはじめとする精力的な仕事、86年の歴史家論争以降の多方面にわたる社会的・政治的発言を通じて、ドイツ思想界をリードし、国際的にも大きな影響を与えてきた。著書は本書のほかに、『理論と実践』(63)、『認識と関心』(68)、『イデオロギーとしての技術と科学』(69)、『社会科学の論理』(70)、『哲学的・政治的プロフィール』(71)、『晩期資本主義における正統性の問題』(73)、『史的唯物論の再構成*』(76)、『近代の哲学的ディスクルス』(85)、『遅ればせの革命』(90)、『討議倫理*』(91)、『事実性と妥当性』(92)、『人間の将来とバイオエシックス*』(2001)、『引き裂かれた西洋*』(04)などがあり、その多くが邦訳されている(*は小局刊)。ハーバーマスは81年を皮切りに再三来日し、各地で講演やシンポジウムを行っており、また2004年11月には「京都賞」受賞のため日本を訪れている。

高野 昌行(タカノ マサユキ)

1954年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。哲学専攻。東京女学館大学教授。著書:『コンビニエンスロゴス』(講談社、1990)。主な論文:「超越論的演繹の構造と方法」(『一橋研究』第7巻第3号、1982)、「理性の公的使用という理念──カントの啓蒙概念」(東京女学館短期大学紀要第19号、1997)など。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

 凡例
 著者序文

第I部 道徳的義務の権威はどのように理性的なのか
1 道徳の認知内容についての系譜論的考察

第II部 政治的リベラリズム──ジョン・ロールズとの論争
2 理性の公共的使用による宥和
3 「理性的」対「真」あるいは世界像の道徳

第III部 国民国家に未来はあるか
4 ヨーロッパの国民国家──主権と国家市民資格の過去と未来
5 包括──受容か包囲か? 国民、法治国家、民主制の関係
6 ヨーロッパに憲法は必要か──D・グリムへの注釈

第IV部 人権──グローバルレベルと国内レベル
7 カントの永遠平和の理念──二〇〇年という歴史を経た地点から
8 民主的法治国家における承認をめぐる闘争

第V部 「協議主義的政治」とはどのようなものか
9 民主制の三つの規範的モデル
10 法治国家と民主制との内的つながり

『事実性と妥当性』への付論
カードーゾ・ロー・スクールにおけるシンポジウムでの論評への答弁

 訳者あとがき
 初出一覧
 原注
 人名索引