シリーズ・キーワードで読む中国古典 3
聖と狂
聖人・真人・狂者

四六判 / 270ページ / 上製 / 定価:2,600円 + 税 
ISBN978-4-588-10033-8 C1310 [2016年03月 刊行]

内容紹介

中国の伝統思想では、神という存在を必要としない。儒教で諸価値に権威を与えるのは神ではなく「人である」聖人であり、もの言わぬ天を代弁し、民に対して範を示す。人間世界を規定する条件を論じた第1巻、人ならぬものを論じた第2巻に続き本巻は、人のうちでも並外れた存在でコスモスと関わる聖人、道家・道教が理想とする真人、そして常軌を逸した行動をとる狂者について論じ、儒仏道三教にまたがり、文明の境界に関わる存在から、「人」そのものを問い直す。

著訳者プロフィール

志野 好伸(シノ ヨシノブ)

明治大学文学部准教授。専門は中国哲学、中国文学。主な著作・翻訳に「対話しているのは誰か──孫璋『性理真詮』解読」(『中国哲学研究』第28号、2015)、「哲学から人生哲学へ──李石岑を導きとして」(『日本中国学会報』第65集、2013)、アンヌ・チャン『中国思想史』(共訳、知泉書館、2010)、フランソワ・ジュリアン『道徳を基礎づける──孟子vsカント、ルソー、ニーチェ』(共訳、講談社現代新書、2002)、など。

内山 直樹(ウチヤマ ナオキ)

千葉大学文学部教授。専門は中国哲学・中国古典学。主な著作・翻訳に、「伝記と口説──漢代春秋学への一視点」(『中国文化──研究と教育』71、2013)、「漢代所見序文体例的研究」(柳悦訳、方旭東・曹峰編『日本学者論中国哲学史』、華東師範大学出版社、2010)、余嘉錫『目録学発微──中国文献分類法』(共訳、平凡社、東洋文庫、2013)、余嘉錫『古書通例──中国文献学入門』(共訳、平凡社、東洋文庫、2008)など。

土屋 昌明(ツチヤ マサアキ)

専修大学経済学部教授。専門は中国文学。主な著作・翻訳に、『神仙幻想──道教的生活』(春秋社、2002)、『人ならぬもの──鬼・禽獣・石』(共著、法政大学出版局、2015)、『目撃!文化大革命 映画「夜明けの国」を読み解く』(編著、太田出版、2008)、『道教美術の可能性』(共編、勉誠出版、2010)など。

廖 肇亨(リョウ チョウコウ)

中央研究院中國文哲研究所研究員。専門は近世東アジア仏教文化史、東アジア文化交流史、禅思想史。主な著作・翻訳に、『忠義菩提──晚明清初空門遺民及其節義論述探析』(台北:中央研究院中国文哲研究所、2013)、『中邊‧詩禪‧夢戲──明清禪林文化論述的呈現與開展』(台北:允晨出版社、2008)、『東亞文化意象的形塑』(共編、台北:允晨出版社、2011)、荒木見悟『佛教與儒教』(台北:聯經出版公司、2008)など。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

総説 (志野好伸)
1 孔子は聖人か
2 孔子を王にする
3 墨家の聖人観
4 儒家の聖人観
5 道家の聖人観
6 聖人に準ずる隠者と狂者
7 聖人を批判する狂者
8 隠棲と登仙
9 玄学の聖人観
10 儒仏道の対話
11 六朝・唐の狂者
12 朱子学の聖人観
13 朱子学の狂者批判
14 陽明学の聖人観
15 陽明学の狂者評価
16 キリスト教の神と中国の聖人
17 近現代中国における聖人像

第一章 聖人について (内山直樹)
1 聖なる人々
2 聖人の稀少さ
3 文明の創造
4 制作か妄作か
5 聖人と変通
6 聖人と法
7 周公の評価
8 神、聖、賢
9 聖人のしるし
10 天より生まれた者
11 聖人の神秘化
12 心の七つの穴
13 聖人は知りうるか

第二章 真人について (土屋昌明)
1 聖人から真人へ──『荘子』大宗師篇(一)
2 真人と道──『荘子』大宗師篇(二)
3 真人の実践──秦の始皇帝
4 聖人の最重要な役割──文字の創作
5 聖人の特殊な語学力
6 讖緯思想による真人の再登場
7 道教と真人(一)
8 道教と真人(二)
9 天から授かった文字(一)
10 天から授かった文字(二)
11 仏教と玄聖の翻訳
12 おわりに

第三章 狂者について (廖肇亨・志野好伸)
1 近代中国における狂
2 唐代の詩人と狂
3 唐代の禅と狂
4 明代文人における狂
5 陽明学における狂
6 晩明狂禅
7 清代・民国初の狂評価

余説
現代に聖人を問う (志野好伸)

索引

書評掲載

「東方」(2016年8月号/宇野瑞木氏・評)に紹介されました。

関連書籍

『コスモロギア』
中島 隆博:編
『人ならぬもの』
廣瀬 玲子:編
『石の物語』
ジン・ワン:著
『創造と狂気』
フレデリック・グロ:著
『聖と俗 〈新装版〉』
ミルチャ・エリアーデ:著