フランス現象学の現在

四六判 / 350ページ / 上製 / 定価:4,200円 + 税 
ISBN978-4-588-13021-2 C3010 [2016年09月 刊行]

内容紹介

フッサールとハイデガーを批判的に受け継いだフランスの哲学者たち──レヴィナス、サルトル、メルロ=ポンティ、リクール、アンリ、デリダほか──がおのおのの仕方で展開した現象学的探究の帰趨を見つめ、この越境する運動がいまなおもたらし続ける思考の可能性をひらく。D.フランク、F.-D.セバーをはじめ、日仏の有力研究者が共同でおこなったプロジェクトの成果を示す本格論集。

著訳者プロフィール

米虫 正巳(コメムシ マサミ)

1967年生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士課程中退。博士(大阪大学)。関西学院大学文学部教授。専門はフランス哲学。論文に「出来事と存在──ドゥルーズとハイデガー」(『アルケー』第23号)、共著に『ドゥルーズ/ガタリの現在』(平凡社)、『エピステモロジー』(慶應義塾大学出版会)、共訳書にフランク『現象学を超えて』(萌書房)、フランク『他者のための一者』(法政大学出版局)ほか。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに

第一部 フッサールとハイデガーへの回帰/からの出発

第一章 真理のための呼び名
   【ディディエ・フランク】

第二章 フッサールとフィンクにおける世界の必然性と偶然性
   【池田裕輔】

第三章 数学の現象学──理念性と歴史性
   【ドミニク・プラデル】

第四章 「全体的時間」の概念を哲学のなかで維持するための試み
   【ヴァンサン・ジロー】

第二部 物語と文学の現象学に向けて

第五章 「語る」とは何をすることか──リクールのミメーシス論再考
   【杉村靖彦】

第六章 テクストの世界と生の世界 矛盾する二つのパラダイム?
   ──ポール・リクールと〈読むこと〉の現象学
   【ミカエル・フェッセル】

第七章 知覚的経験における両義的なものと注意
   ──メルロ=ポンティにおけるプルーストの現象学的読解について
   【落合 芳】

第三部 生の問題をめぐって──アンリ/デリダ/レヴィナスと現象学

第八章 アンリの超越理解とサルトルの影
   【服部敬弘】

第九章 いまだかつて見た者なき神
   【エマニュエル・カタン】

第十章 内在の内の非内在的なもの
   ──出会い損なったアンリとデリダの遅ればせの対話?
   【米虫正巳】

第十一章 生き残る者の有罪性としての倫理
   【フランソワ=ダヴィッド・セバー】

あとがき
人名索引

ディディエ・フランク(Didier Franck)
1947年生まれ。高等師範学校講師、トゥール大学教授、パリ第十大学ナンテール校教授を務め、現在はパリ西大学名誉教授。近年は同志社大学客員教授、日本学術振興会外国人招聘研究者、関西学院大学客員教授として来日。著書に『現象学を超えて』『ハイデッガーとキリスト教』(萌書房)、『他者のための一者』(法政大学出版局)ほか。

池田裕輔(いけだ・ゆうすけ)
1983年生まれ。立命館大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(立命館大学)。日本学術振興会特別研究員(PD)。専門は現象学。論文に、「フィンクの世界根源の現象学」(『現象学年報』第32号)、“Eugen Finks Kant-Interpretation”(Horizon 4 (2))、 «L’événementialité du phénomène selon Neue Phänomenologie in Frankreich»(Revue internationale de Michel Henry, no 6)ほか。

ドミニク・プラデル(Dominique Pradelle)
1964年生まれ。高等師範学校でフランクの指導を受ける。ボルドー大学准教授、ソルボンヌ大学准教授、クレルモン=フェラン大学教授を経て、2013年よりソルボンヌ大学教授。専門は現象学、ドイツ哲学、数学の哲学。パリ・フッサール文庫所長。著書にL’archéologie du monde(博士論文、Kluwer Academic Publishers, 2000)、Généalogie de la raison(PUF, 2013)ほか。

ヴァンサン・ジロー(Vincent Giraud)
1977年生まれ。2011年に日本学術振興会外国人特別研究員として来日、京都大学白眉センター助教を経て、16年より同志社大学文学部助教。専門は現象学、解釈学、中世哲学、日本哲学。著書にAugustin, les signes et la manifestation(博士論文、PUF, 2013)、「第一哲学としての美学」(『ミシェル・アンリ研究』第6号、2016年)ほか。

杉村靖彦(すぎむら・やすひこ)
1965年生まれ。京都大学大学院文学研究科准教授。専門は現代フランス哲学・宗教哲学。著書に『ポール・リクールの思想──意味の探索』(創文社。日本宗教学会賞受賞)、編著にPhilosophie japonaise: le néant, le monde et le corps (Vrin, 2013)、共訳書にJ.グレーシュ『『存在と時間』講義──統合的解釈の試み』(法政大学出版局)ほか。

ミカエル・フェッセル(Michaël Foessel)
1974年生まれ。ブルゴーニュ大学准教授を経て、パリ理工科学校教授。専門は近現代ドイツ哲学、政治哲学。リクールのアンソロジーの編集や、スイユ社の叢書「哲学的次元」の監修も行なう。著書にKant et l’équivoque du monde(博士論文、CNRS, 2008)、Après la fin du monde. Critique de la raison apocalyptique(Seuil, 2012)ほか。

落合 芳(おちあい・かおり)
1975年生まれ。関西学院大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。同志社大学嘱託講師、 龍谷大学非常勤講師。専門はフランス哲学。論文に 「幼少期・身体・環境──イディス・コッブとメルロ=ポンティ現象学」(『メルロ=ポンティ研究』第12号)、「注意、憤慨、根をもつこと」(『ヒューマンセキュリティ・サイエンス』第7号)ほか、共訳書にクルティーヌ=ドゥナミ『シモーヌ・ヴェイユ』(萌書房)。

服部敬弘(はっとり・ゆきひろ)
1981年生まれ。パリ西大学大学院博士課程修了。博士(同志社大学・パリ西大学)。同志社大学文学部助教。専門は現代フランス哲学。論文に、«De l’affect de la loi au commandement de la Vie»(Revue internationale de Michel Henry, no 7)、共訳書にフランク『他者のための一者』(法政大学出版局)ほか。

エマニュエル・カタン(Emmanuel Cattin)
1966年生まれ。高等師範学校でフランクの指導を受ける。クレルモン=フェラン大学准教授、同大学教授を経て、ソルボンヌ大学教授。専門は近現代ドイツ哲学、宗教哲学。著書にTransformations de la métaphysique(博士論文、Vrin, 2001)、La décision de philosopher(Olms)、Sérénité. Eckhart, Schelling, Heidegger(Vrin, 2012)ほか。

フランソワ=ダヴィッド・セバー(François-David Sebbah)
1967年生まれ。リセ・カルノー、リセ・ジュルジュ・サンドなどで教鞭を執り、コンピエーニュ工科大学教授を経て、現在はパリ西大学教授。著書に『限界の試練──デリダ、アンリ、レヴィナスと現象学』(法政大学出版局)、『レヴィナス──他性の曖昧さ』『テクノサイエンスとは何か』『レヴィナスと現代──現下の急務』ほか。

樋口雄哉(ひぐち・ゆうや)
1984年生まれ。同志社大学大学院文学研究科博士課程在学中。滋賀大学非常勤講師。専門はE.レヴィナスの哲学。論文に、「レヴィナスにおける倫理と公正」(『倫理学研究』第44号)、「レヴィナスにおける存在論の問題と他人への関係としての言葉の問題」(『同志社哲学年報』第35号)ほか。

関連書籍

『他者のための一者』
ディディエ・フランク:著
『限界の試練』
フランソワ=ダヴィッド・セバー:著
『リクール読本』
鹿島 徹:編