ディドロの唯物論
群れと変容の哲学

第3回表象文化論学会賞;学会賞
A5判 / 460ページ / 上製 / 定価:6,500円 + 税 
ISBN978-4-588-15063-0 C1010 [2011年02月 刊行]

内容紹介

神もなく、弁証法的統一もない物質世界のうちに、不定形で「怪物的な」自然の秩序を発見したディドロ。百科全書的体系知の根底にうごめく「奇形」への眼差し、同時代の化学や生理学にもとづくラディカルな自然史的認識はいかに形成されたのか。その著作群への鋭利で精密な分析を通じて、唯物論的一元論者としてのディドロのアクチュアリティを示し、従来の哲学者像を大きく書き換える力作。〔哲学・思想〕

著訳者プロフィール

大橋 完太郎(オオハシ カンタロウ)

1973年生まれ.東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻(表象文化論)博士課程単位取得退学.博士(学術).東京大学グローバルCOE「共生のための国際哲学教育研究センター(UTCP)」特任講師.専門は思想史・表象文化論.17─18世紀の哲学・思想を題材に,近代,および近代的人間の概念的布置や形象を解釈することで,人間像の批判的再構築を目指している.著書に『ディスポジション──配置としての世界』(共著,現代企画室),論文に「自由の徒弟時代──スピノザ『エチカ』における理性の諸相」『UTCP研究論集』第6号(UTCP),共訳書にストイキツァ『絵画をいかに楽しむか』(平凡社)など.

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次


凡 例

第一部 弁証法の手前側──ヘーゲルによる『ラモーの甥』読解に関する考察
第一章 分裂と抵抗──ヘーゲルによる『ラモーの甥』解釈
第二章 ラモーは自己疎外的な精神たりうるか?──『ラモーの甥』における「ベルタン邸の食卓」部を中心に
第三章 悪しきパントマイム──止揚されえない肉体の位相
第一部結論

第二部 抽象と形象
第一章 盲者の感性論と唯物論的一元論──『盲人書簡』読解
第二章 聾啞者と魂の位相に見るディドロ感覚論の基礎づけと展開──『聾啞者書簡』読解
第三章 ヒエログリフ的思考、あるいは微細さと同時性について
第二部結論

第三部 表象と実在
第一章 タブローを貫くディドロの唯物論──『百科全書』という原理
第二章 ディドロの中国観における進歩と道徳
第三章 絵画のなかを歩くことはどのようにして可能か?──『一七六七年のサロン』におけるヴェルネ逍遥に関する一考察
第三部結論

第四部 化学的思考と物質論──『自然の解釈に関する思索』から『物質と運動に関する哲学的原理』まで
第一章 ディドロにおける化学的思考の意義とその萌芽
第二章 十八世紀における化学的思考の問題系──ヴネルによる『百科全書』項目「化学」とディドロによる『ルエルの化学講義』
第三章 ディドロにおける化学的世界観──『百科全書』項目と後期物質論
第四部結論

第五部 一般性と怪物性──反‐理性の自然史
第一章 ディドロにおける自然史的思考と唯物論
第二章 生理学と政治学──ディドロにおける生態と政治とのエコノミー
第五部結論

結論

補論 十八世紀自然史概念における一般性の領域──ビュフォン『一般的個別的博物誌』より

あとがき

文献目録
人名・事項・書名索引