思想間の対話
東アジアにおける哲学の受容と展開

A5判 / 376ページ / 上製 / 定価:5,500円 + 税 
ISBN978-4-588-15071-5 C1010 [2015年02月 刊行]

内容紹介

日本、中国、韓国はそれぞれの伝統に依拠しつつ西洋哲学を受容することで近代哲学を形成してきた。哲学や思想における特徴や制限は、他の思想を鏡として、そこに映し出すことで明らかになる。なぜ違いが生まれたのか。互いの違いをどう克服するのか。西田幾多郎、吉田松陰、九鬼周造、西周、和辻哲郎、土田杏村、大西克礼、戸坂潤………。受容から対話へと続く道から、いま、東アジアにおける哲学的創造の新たな意義と可能性が拓かれる。

著訳者プロフィール

藤田 正勝(フジタ マサカツ)

1949年生まれ。京都大学大学院総合生存学館・教授。主な業績:Philosophie und Religion beim jungen Hegel, Bouvier, 1985年。『京都学派の哲学』(編著)昭和堂、2001年。『東アジアと哲学』(共編著)ナカニシヤ書店、2003年。『西田幾多郎──生きることと哲学』岩波書店、2007年。『西田幾多郎の思索世界──純粋経験から世界認識へ』岩波書店、2011年。『哲学のヒント』岩波書店、2012年ほか。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

編者まえがき

第1部 思想の対話

第1章 思想間の「対話」とは何か(藤田正勝)
第2章 哲学的オーケストラの実現のために(李光来)
第3章 西田と異文化間対話──根源的世界市民主義の可能性(ブレット・デービス)
第4章 日本哲学の成立、意義そして展望(卞崇道+林美茂)

第2部 東アジアという視座から見た哲学の形成

第5章 東アジアと哲学── 一九三〇年代の対立と相互作用(高坂史朗)
第6章 東アジア近代哲学史の可能性──土田杏村のこころみにみる(清水正之)
第7章 「中国哲学」と「日本哲学」の成立について(王青)
第8章 幕末における孟子の民本思想の受容──吉田松陰の「民政論」を中心に(郭連友)

第3部 日本における哲学の形成と発展

第9章 西周の哲学──翻訳的探究を経て新たな知の創造へ(上原麻有子)
第10章 日本語と日本的霊性──日本における哲学の形成と発展(平田俊博)
第11章 九鬼哲学における永遠回帰という思想──押韻論の観点から(小浜善信)
第12章 和辻風土論とトランスカルチュラリズムの問題──「越境する身体」としての「旅行者」(加藤泰史)
第13章 戸坂潤における実践的唯物論構想──モラルと文学の関係をめぐって(平子友長)
第14章 大西克礼における日本美の構造──「あはれ」・「幽玄」・「さび」(田中久文)

第4部 西田哲学の位置

第15章 「場所」の思想の深層──「西田とハイデガー」の対比と「世界交差」としての西田哲学(岡田勝明)
第16章 モナドロジーと西田哲学──「一と多の矛盾的同一」について(片山洋之介)
第17章 西田哲学とフッサールの現象学(嶺秀樹)
第18章 西田における知と絶対無(美濃部仁)

編者あとがき
作品名索引
人名索引

[執筆者紹介]*は編者

藤田 正勝(フジタ マサカツ)*

李 光来(イ グァンネ)
1948年生まれ。韓国・江原大学校人文大学・教授、中国・遼寧大学哲学院教授。主な業績:『韓国の西洋思想受容史──哲学的オーケストラの実現のために』御茶の水書房、2010年。「東アジアの近代的知形における東西融合の類型再考」、『台湾東亞文明研究学刊』第 11 卷第 1 期、2014年ほか。

ブレット・デービス(Bret Davis)
1967年生まれ。アメリカ・ロヨラ・メリーランド大学哲学部・教授。主な業績:『世界のなかの日本の哲学』(共編)昭和堂、2005年。Heidegger and the Will: On the Way to Gelassenheit, Northwestern University Press, 2007年ほか。

卞 崇道(ベン スウドウ)
1942–2012年。元中国社会科学院・教授。『日本近代思想のアジア的意義』農山漁村文化協会、1988年。『中日共同研究──東亜近代哲学的意義』(共編)中国・瀋陽出版社、2002年。『日本の思想と近代哲学』中国・学苑出版社、2012年ほか。

林 美茂(リン ビモ)
1961年生まれ。中国人民大学哲学院・大学院教授。主な業績:『西方倫理思想史』(共著)中国・人民大学出版社、2004年。『東アジア世界の「知」と学問』(共著)勉誠社、2014年ほか。

高坂 史朗(コウサカ シロウ)
1949年生まれ。大阪市立大学大学院文学研究科・教授。主な業績:『東アジアの思想対話』ぺりかん社、2014年。『近代という躓き』ナカニシヤ出版、1997年。『実践哲学の基礎──西田幾多郎の思索の中で』創元社、1983年ほか。

清水 正之(シミズ マサユキ)
1947年生まれ。聖学院大学人文学部・教授。主な業績:『日本思想全史』ちくま新書、2014年。『国学の他者像──誠実と虚偽』ぺりかん社、2005年ほか。

王 青(オウ セイ)
1964年生まれ。中国社会科学院哲学研究所・研究員。主な業績:『日本近世儒学家荻生徂徠研究』中国・上海古籍出版社、2005年。『日本近世思想概論』中国・世界知識出版社、2006年ほか。

郭 連友(カク レンユウ)
1960年生まれ。北京外国語大学日本学研究センター・教授。主な業績:『吉田松陰与近代中国』中国社会科学出版社、2007年。源了圓『徳川思想小史』(訳)中国・外語教学与研究出版社、2009年ほか。

上原 麻有子(ウエハラ マユコ)
1965年生まれ。京都大学大学院文学研究科・教授。主な業績:Origins and Possibilities(共編著)南山宗教文化研究所、2008年。「田辺元の象徴と哲学──ヴァレリーの詩学を超えて」、『日本の哲学』第15号、2014年ほか。

平田 俊博(ヒラタ トシヒロ)
1947年生まれ。山形大学・名誉教授。主な業績:『柔らかなカント哲学』増補改訂版、晃洋書房、2001年。カント『実践理性批判・人倫の形而上学の基礎づけ』(訳)岩波書店、2000年ほか。

小浜 善信(オバマ ヨシノブ)
1947年生まれ。神戸市外国語大学・名誉教授。主な業績:『九鬼周造の哲学──漂泊の魂』昭和堂、2006年。『永遠回帰の思想──九鬼周造の時間論』神戸市外国語大学外国学研究所、2013年ほか。

加藤 泰史(カトウ ヤスシ)
1956年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科・教授。主な業績:Kant in der Diskussion der Moderne, herausgegeben von G. Schönrich und Y. Kato, Suhrkamp, 1996.ヴェルマー『倫理学と対話──道徳的判断をめぐるカントと討議倫理学』(監訳)法政大学出版局、2013年ほか。

平子 友長(タイラコ トモナガ)
1951年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科・教授。主な業績:『社会主義と現代世界』青木書店、1991年。『遺産としての三木清』(共著)同時代社、2008年ほか。

田中 久文(タナカ キュウブン)
1952年生まれ。日本女子大学人間社会学部・教授。主な業績:『九鬼周造──偶然と自然』ぺりかん社、1992年。『日本美を哲学する──あはれ・幽玄・さび・いき』青土社、2013年ほか。

岡田 勝明(オカダ カツアキ)
1951年生まれ。姫路獨協大学・教授。主な業績:『フィヒテと西田哲学』世界思想社、2000年。『自己を生きる力』世界思想社、2011年ほか。

片山 洋之介(カタヤマ ヨウノスケ)
1940–2014年。茨城大学・元教授。主な業績:『現代哲学への招待──哲学は現代の課題にどう答えるか』(共著)有斐閣、1995年。『新現代社会──高校の学習と大学受験』(共著)数研出版、1995年ほか。

嶺 秀樹(ミネ ヒデキ)
1950年生まれ。関西学院大学文学部・教授。主な業績:『ハイデッガーと日本の哲学──和辻哲郎、 九鬼周造、 田辺元』ミネルヴァ書房、2002年。『西田哲学と田辺哲学の対決──場所の論理と弁証法』ミネルヴァ書房、2012年ほか。

美濃部 仁(ミノベ ヒトシ)
1963年生まれ。明治大学国際日本学部・教授。主な業績:「フィヒテとヤコービにおける知の否定性」、『フィヒテ研究』第21号、2013年。「「火は火を焼かない」──西谷啓治における「空」と「回互」」、『理想』第689号、2012年ほか。

李 基原(イ キウォン)
1971年生まれ。韓国・江原大学校人文大学・非常勤講師。主な業績:『徂徠学と朝鮮儒学』(ぺりかん社)ほか。

宮崎 隆幸(ミヤザキ タカユキ)
1981年生まれ。東京大学農学部修士課程終了、中国人民大学哲学院修士課程修了。

書評掲載

「京都新聞」(2015年3月15日付)に紹介されました。

「出版ニュース」(2015年4月中旬号)に紹介されました。

「比較思想研究 第42号」(2016年3月31日発行)にて紹介されました。

関連書籍

『思想のグローバル・ヒストリー』
デイヴィッド・アーミテイジ:著