底無き意志の系譜
ショーペンハウアーと意志の否定の思想

A5判 / 258ページ / 上製 / 定価:4,200円 + 税 
ISBN978-4-588-15075-3 C1010 [2016年02月 刊行]

内容紹介

苦しみに充ちたこの世界から、あらゆる実体、目的、理由、根拠を除去したショーペンハウアー。その哲学は逆説的にも、「生への意志」の否定と廃棄による「自由」を人間にもたらす。ベーメ、シェリング、ヘーゲル、ニーチェそして西田幾多郎との哲学史的な比較検討を通じて、この世界を「平安」「浄福」とともに生きる、「底無き意志」の論理をたどる気鋭の研究。

著訳者プロフィール

板橋 勇仁(イタバシ ユウジン)

1971年生まれ。立正大学文学部(哲学科)教授。博士(哲学)。専門は近代ドイツ哲学、近現代日本思想。著書に『西田哲学の論理と方法──徹底的批評主義とは何か』『歴史的現実と西田哲学──絶対的論理主義とは何か』(共に法政大学出版局)、共編著に『ショーペンハウアー読本』(法政大学出版局)、『知の軌跡』(北樹出版)、『存在の意味への探求』(秋山書店)、『哲学 はじめの一歩』(春風社)など。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次



第一部 ショーペンハウアーにおける意志の否定と自由

第一章 表象と意志──意志の現象としての世界
 一 表象と根拠律
 二 表象と意志
 三 意志の根拠の無さ
 四 意志の客体化とイデア

第二章 意志の否定と自由──底無き意志の現象における自由
 一 生への意志と苦悩
 二 意志の自己認識による意志の否定
 三 意志の否定と「無」
 四 底無き意志の自由

第二部 ショーペンハウアーと底無き意志の系譜

第三章 意志の否定と〈哲学の方法〉──ヘーゲルの「無」との対話
 一 現象の廃棄という思想と〈哲学の方法〉
 二 『意志と表象としての世界』とへーゲルの『世界史哲学講義』 におけるインド評価
 三 ヘーゲルの『大論理学(第二版)』における「無」の思想の特性
 四 ショーペンハウアーにおける「無」の思想と〈哲学の方法〉

第四章 意志の自由における〈自己〉──ニーチェの「力への意志」へ
 一 〈自己〉の自由への問い
 二 底無き「力への意志」
 三 ニヒリズム
 四 永劫回帰の「この瞬間」
 五 〈自己〉の生の創造
 六 ショーペンハウアーにおける〈底無き意志の自由〉と〈自己〉

第五章 意志の否定と底無き自覚──初期・中期西田哲学の「直観」から
 一 〈底無き意志〉と〈自己〉の自己認識
 二 『善の研究』における底無き経験
 三 唯一活動としての底無き意志──西田のショーペンハウアー理解の特性
 四 意志の否定と自己認識──「知的直観」
 五 意志における活動性と静性
 六 底無き活動の「場所」──『働くものから見るものへ』
 七 底無き活動の自覚としての「直観」

第六章 底無き自覚と自由──後期西田哲学の「行為的直観」から
 一 底無き活動の自覚とその実践性への問い
 二 〈限定するものなき限定〉としての自覚
 三 自覚の矛盾的自己同一
 四 行為的直観の世界とその「動揺」
 五 我々の自己の「我執」と絶対者
 六 自己の〈底無き自由〉

第七章 意志の自由の脱‐自性──シェリングの「Ekstase」をめぐって
 一 ショーペンハウアーのシェリングへの態度
 二 『エアランゲン講義』における永遠なる自由
 三 「Ekstase」における自由
 四 自己根拠的な次元を超えて

第八章 意志の自由と想像/構想の活動──ベーメの「Imagination」を手引きとして
 一 ベーメとショーペンハウアー
 二 底無き「唯一なる意志」
 三 神の「Imagination」
 四 底無き和合の共‐想像/構想
 五 意志の自由としての共‐想像/構想



あとがき
人名索引/事項索引

書評掲載

『比較思想研究』第43号、2017年(井上克人氏・評)にて紹介されました。

『実存思想論集』第32号、2017年(嶺秀樹氏・評)にて紹介されました。

『西田哲学会年報』第14号、2017年(田中裕氏・評)にて紹介されました。