ものと人間の文化史 152
温室

四六判 / 302ページ / 上製 / 定価:2,900円 + 税 
ISBN978-4-588-21521-6 C0320 [2010年10月 刊行]

内容紹介

温室は明治時代に欧米から輸入されたものという印象があるが,じつは江戸時代半ばから「むろ」という名の保温設備はあった.一大園芸ブームが起きた文化文政期には,本草学者や大名がこぞってむろの改良に取り組む.明治時代に入ると上流階級の社交の場になったり,大衆小説の舞台になるなど広く浸透し,各地の学校で教育のため建設されるようになった.〔文化史・園芸〕

著訳者プロフィール

平野 恵(ヒラノ ケイ)

1965年生.総合研究大学院大学博士後期課程単位取得退学.博士(文学).文京ふるさと歴史館専門員等を経て,現在,さいたま市大宮盆栽美術館主任学芸員.
おもな業績:『十九世紀日本の園芸文化』(思文閣出版,単著),『小野蘭山』(八坂書房),『江戸の花屋敷』(東京都公園協会),『江戸・東京近郊の史的空間』(雄山閣),『台東区史』(台東区,以上共著)他多数.

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

  第I部 江戸時代のむろ
第一章 温室登場以前の防寒施設──むろの登場以前
 『花壇地錦抄』
 『花譜』・『菜譜』
 むろの語の登場
第二章 唐むろの登場──十八世紀後半~十九世紀前半
 『草木育種』
 『草木育種』の唐むろ
 行灯むろ
 ガラス障子
第三章 むろを使う人たち
 本草学者による和風温室「むろ」の記録
 本草学者の興味を惹いた植物
 大名庭園のむろ

  第II部 進化するむろ
第四章 穴蔵と洞窟型むろ
 洞窟型の温室
 発掘された植木屋のむろ
 むろで栽培した植物──竜眼と茘枝
第五章 岡むろの普及
 『金生樹譜別録』
 『安政年代駒込富士神社周辺之図』
 『南総里見八犬伝』に見る岡むろ
第六章 帯笑園のむろ
 沼津原宿「帯笑園」
 帯笑園の植木むろ
 客をもてなす空間としての温室
 学者間の情報

  第III部 身近な温室へ
第七章 近代温室への模索
 岡むろのガラス
 文部省博覧会事務局の温室「煦塘」
 小石川植物園の温室
 温床
第八章 二十世紀の幕開け
 博覧会と温室
 華族と温室
 大隈重信邸の温室
 啓蒙小説『食道楽』
第九章 文学に見る温室
 観光地と温室
 文学作品に見る温室
第十章 より身近な温室へ
 関東大震災後の復興
 誰にでもできる温室
 現代の温室の復元