ものと人間の文化史 176
欅(けやき)

四六判 / 304ページ / 上製 / 定価:3,000円 + 税 
ISBN978-4-588-21761-6 C0320 [2016年05月 刊行]

内容紹介

街路の並木や寺社・庭園などに亭々と聳えるケヤキの大樹は、古くから人々に親しまれ、幾代にも語り継がれて、日本人の生活文化に結びついてきた。長年営林事業に携わってきた著者が実地での見聞と文献・資料を駆使し、その生態から信仰や昔話、防災林や木材としての利用まで、ケヤキと日本人のかかわりを語る。樹齢1000年にも及ぶ各地の巨樹(天然記念物)も紹介する。

著訳者プロフィール

有岡 利幸(アリオカ トシユキ)

1937年、岡山県生まれ。1956~93年大阪営林局で国有林における森林の育成・経営計画業務などに従事。1993~2003年近畿大学総務部勤務。2003~2009年まで(財)水利科学研究所客員研究員。1993年第38回林業技術賞受賞。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

まえがき

第一章 ケヤキの植物誌
ケヤキとはこんな木/ケヤキは巨樹に育つ/ケヤキ巨樹と特別天然記念物/東北・関東のケヤキ天然記念物/甲信越のケヤキ天然記念物/西日本のケヤキ天然記念物/ケヤキの巨樹・巨木たち/日本は巨樹・巨木大国/縄文時代の森のケヤキとその利用/弥生時代のケヤキ材の利用/弥生時代のケヤキ巨木の掘立て柱/古代ケヤキから古気候の推定

第二章 槻と呼ばれたころのケヤキ
長谷の聖なる百枝槻/百枝槻と雄略天皇の支配地域/ヤマト朝廷では槻は朝廷の聖樹であった/飛鳥法興寺の槻の広場/槻の巨樹の地ヘ寄り添っていく宮都/槻の弓/槻から「月」を、「月」から槻を導く/槻の赤葉の枝をもぎとる歌/「出雲国風土記の槻/「常陸国風土記」の郡役所前の槻/郡役所前の槻と神の崇り/奈良・平安期の槻の利用/槻の語源説

第三章 槻・欅論争と欅の昔話
ケヤキの名称初出は『大同類緊方』/ツキ・ケヤキの語源と方言/ツキとケヤキの比較/欅の大木を伐採する昔話/毛焼き問答/欅を伐採する話/欅の空洞に棲む蛇や蜘妹/欅とばか婿の挨拶話/欅に登る蛇女房の話/欅の木に登って洪水を逃れる話/欅の大黒柱は家の守護神/欅の大木が立つ一里塚/奥羽・羽州街道の欅の一里塚

第四章 暮らしを守る欅
屋敷林の欅/仙台平野のイグネの欅/東京都下の屋敷林の欅/埼玉県下の屋敷林の欅/長野県安曇野の屋敷林の欅/富山県砺波平野の屋敷林の欅/都会の道路の彩りとなる欅並木/日本の代表的な欅並木/欅で大雨の山地崩壊・土砂流出を防ぐ

第五章 領主と槻(ケヤキ)
領主と山林/広島藩御用木の槻(ケヤキ)/山口藩御用木の槻(ケヤキ)/金沢藩七木制の槻(ケヤキ)/金沢藩の七木盗伐の罰/和歌山藩・岩村藩の御留木と槻(ケヤキ)/名古屋藩の札木の槻(ケヤキ)/仙台藩の御留木と槻(ケヤキ)/盛岡藩と槻(ケヤキ)/幕府直轄の川浦山の御林山と槻(ケヤキ)/幕府御林で六か村入会山の槻(ケヤキ)/槻(ケヤキ)伐出前の村の協力確保/槻(ケヤキ)伐出事業の開始と伐木造材/材木の山出しと川下げ/川浦山御林地元への褒賞

第六章 欅材とその利用
平安時代の東北地方民家の欅材/遺構の欅材の使用場所/金剛峰寺大門の欅材の使われ方/総欅造りの社寺/清水の舞台を支える欅柱/民家の大黒柱と欅/近世から明治期の欅の工芸的利用/木材の外観と欅の用途/木材の性質と欅材の利用/建築・指物用材としての欅の利用/太鼓胴用材としての欅の利用/欅で作る太鼓/丸物漆器と欅材の利用/漆器木地に欅材を用いる生産地/彫刻用材の欅/欅材の井波彫刻と山車彫刻/欅材の特質および産地

第七章 欅林を育てる
近現代の欅造林の開始/欅人工林が始まった事例/欅林育成上の考え方/欅はどんな土地を好むか/欅苗を植え付ける/欅林を育成する手入れ/欅人工林の間伐開始時期/間伐の実施/間伐後の措置と間伐効果/欅の盆栽

参考文献

あとがき

書評掲載

「出版ニュース」(2016年8月下旬号)に紹介されました

「森林技術」(2016年9月号/原口雅人氏・評)にて紹介されました

「日本農業新聞」(2016年10月9日号/梶井功氏・評)にて紹介されました

「グリーン・パワー」(2017年2月号)にて紹介されました