叢書・歴史学研究
悪党と海賊 〈新装版〉
日本中世の社会と政治

A5判 / 424ページ / 上製 / 定価:6,700円 + 税 
ISBN978-4-588-25060-6 C3321 [2013年05月 刊行]

内容紹介

鎌倉後期から南北朝動乱期にかけて活動した悪党・海賊を取り上げ、彼らの位置づけをめぐる従来の通説を検討する一方、その存在形態を明らかにし、中世社会に定位する。戦後歴史学の批判・検討、精力的な実証研究を通じて日本史像の転換を促し続ける網野史学の原点。

著訳者プロフィール

網野 善彦(アミノ ヨシヒコ)

1928年、山梨県生まれ。1950年、東京大学文学部史学科卒業。日本常民文化研究所研究員、東京都立北園高校教諭、名古屋大学助教授、神奈川大学短期大学部教授を経て、神奈川大学経済学部特任教授。専攻、日本中世史、日本海民史。2004年、死去。主な著書:『中世荘園の様相』(塙書房、1966)、『蒙古襲来』(小学館、1974)、『無縁・公界・楽』(平凡社、1978)、『中世東寺と東寺領荘園』(東京大学出版会、1978)、『日本中世の民衆像』(岩波新書、1980)、『東と西の語る日本の歴史』(そしえて、1982)、『日本中世の非農業民と天皇』(岩波書店、1984)、『中世再考』(日本エディタースクール出版部、1986)、『異形の王権』(平凡社、1986)、『日本論の視座』(小学館、1990)、『日本中世土地制度史の研究』(塙書房、1991)、『日本社会再考』(小学館、1994)、『中世の非人と遊女』(明石書店、1994)。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

 まえがき

序章 いわゆる「南北朝動乱」の評価をめぐって──『歴史学研究』の特集「戦後四十年の時間をはかる」によせて
付論1 一九六三年歴史学研究大会報告にふれて──「悪党」の評価の変遷を中心に
付論2 悪党の評価をめぐって
 まえがき
 一 戦前の研究──中村直勝と竹内理三
 二 戦時中の研究──清水三男と石母田正
 三 戦後第一期(一九五五年まで)の研究──松本新八郎を中心に
 四 戦後第二期(一九五五年以後)の研究
 むすび

第 I 部 鎌倉後期の社会と政治

第一章 「関東公方御教科書」について

第二章 文永以後新関停止令について
 はじめに
 一 文永以後新関停止令
 二 文永の西国新関河手停止令
 三 関所をめぐる幕府と朝廷
 むすび

第三章 豊後国六郷山に関する新史料
付論1 「元寇」前後の社会情勢について
付論2 農村の発達と領主経済の転換
 はじめに
 第一節 農民経営と村落の発展
 第二節 在地領主経済の転換
 第三節 荘園領主経済の動揺
 むすび
付論3 十三世紀後半の転換期をめぐって

第 II 部 鎌倉末・南北朝期の社会と政治

第一章 鎌倉末期の諸矛盾
 一 まえがき
 二 幕府体制の完成と硬化
 三 悪党と得宗御内人
 四 モンゴル襲来と矛盾の激化
 五 一円領の形成と職の流動──荘園公領制の発展
 六 悪党海賊鎮圧令と本所一円地
 七 むすび──元弘・建武の内乱の前提

第二章 悪党の系譜──『太平記』を中心に
 在地領主か傭兵集団か
 悪党的な戦闘
 飛礫と撮棒
 「ばさら」な「いたずらもの」
 楠木正成
 名和長年
 赤松円心
 異様な花押
 悪党の時代の残照

第三章 楠木正成に関する一、ニの問題
 まえがき
 一 和泉国若松荘と正成
 二 内大臣僧正道祐
 三 正成とその所領をめぐって
 むすび

第四章 鎌倉幕府の海賊禁圧について──鎌倉末期の海上警固を中心に
 まえがき
 一 国衙軍制と水軍
 二 鎌倉幕府の海賊禁圧と水軍動員
 三 元応の海上警固
 四 元亨四年の悪党海賊禁圧令
 むすび

第五章 造酒司酒麹役の成立──室町幕府酒屋役の前提
 序
 一 中世初期の造酒司とその経済
 二 元亨の洛中酒鑪役
 三 貞治・応安の酒麹売役興行
 四 永和・永徳の大嘗会酒鑪役
 五 明徳の幕府新制
 結

第六章 元亨の神人公事停止令について──後醍醐親政初期の政策をめぐって

第七章 倉栖氏と兼好──林瑞栄『兼好発掘』によせて
 一 はじめに
 二 倉栖氏と下河辺荘
 三 倉栖氏の出自と性格
 四 兼好と『徒然草』に即して
 五 むすび
付論1 建武の所出二十分一進済令
付論2 建武新政府における足利尊氏
付論3 青方氏と下松浦一揆

終章 悪党と海賊

終章 悪党と海賊
 はじめに
 一 十三世紀までの流通と神人・悪僧
 二 十三世紀後半以降の社会の転換と悪党・海賊
 三 「悪党」の悪とはなにか
 むすび

 あとがき
 初出一覧
 索引(人名・地名・事項)