コロンボ・プラン
戦後アジア国際秩序の形成

A5判 / 374ページ / 上製 / 定価:5,800円 + 税 
ISBN978-4-588-37711-2 C3020 [2014年03月 刊行]

内容紹介

脱植民地化とヘゲモニー移転が進行するなかで、いかにしてアジア諸国は政治的のみならず経済的自立を達成したのか。冷戦体制下の欧米諸国による経済援助が、アジアにおいて果たした役割とは何であったか。本書は、戦後復興計画であるコロンボ・プランに焦点をあて、それがアジア諸国の経済的自立や国際秩序の形成にどのような歴史的影響を及ぼしたかを追究する、国際共同研究の成果。

著訳者プロフィール

渡辺 昭一(ワタナベ ショウイチ)

1953年生まれ。東北学院大学文学部教授。専攻はイギリス帝国史、国際関係史。主な著書に、『ヨーロピアン・グローバリゼーションの歴史的諸相──「自己」と「他者」の関係史』(編著、勉誠出版社、2013年)、『帝国の終焉とアメリカ─アジア国際秩序の再編』(編著、山川出版社、2006年)、『イギリス帝国と20世紀② 世紀転換期のイギリス帝国』(共著、ミネルヴァ書房、2004年)、ダニエル・R.ヘッドリク『インヴィジブル・ウェポン──電信と情報の世界史1851-1945』(共同監訳、日本経済評論社、2013年)など。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序章 戦後アジア国際秩序の再編と国際援助 (渡辺昭一)
一 戦後アジア国際秩序の再編をめぐる課題
二 秩序再編戦略としてのコロンボ・プラン
三 本書の構成

第Ⅰ部 イギリスの脱植民地化とコロンボ・プラン

第1章 コモンウェルス体制の再編構想とアジア開発援助 (渡辺昭一)
一 アジアにおける新国際秩序への道
二 コモンウェルス体制の再編
三 コモンウェルス外相会議
四 コロンボ・プランの作成
五 コロンボ外相会議の成果
 

第2章 衰退国家の武器──イギリスのスターリング・バランスと開発支援 (ブライアン・R・トムリンソン)
一 コロンボ・プランの概要
二 ポンド・スターリング危機とスターリング・バランス
三 コロンボ・プランの財源問題
四 アジア開発とアメリカの介入問題
五 コロンボ・プランとスターリング・バランス

第3章 インド工科大学の創設と国際援助 (横井勝彦)
一 途上国の産業発展を支える教育機関
二 コロンボ・プランにおける技術援助
三 イギリスからインドへの技術援助
四 インド各地におけるIITの設立過程
五 イギリスの思惑とインドの思惑

第4章 時間と金の浪費?──一九五○年代のマラヤ、シンガポール、ボルネオ (ニコラス・J・ホワイ)
一 植民地官僚らの失望
二 従属的地位
三 アメリカによる援助の限界
四 技術協力
五 諮問会議の意義と限界

第5章 イギリスの対外援助政策の再編、一九五六~一九六四年──植民地開発から独立国に対する援助へ (ゲイロールト・クロゼウスキー)
一 開発援助資金政策の分析視角
二 イギリスの植民地開発資金政策──仕組み、困難、変化
三 イギリスの援助と地域文脈
四 世界経済におけるイギリスの新たな立ち位置と独立国への開発資金供与のダイナミズム
五 イギリスの援助政策の再編と地域的特徴

第6章 東南アジアに対する技術援助とイギリス広報政策 (都丸潤子) 
一 影響力維持のためのコロンボ・プラン
二 技術援助の重視
三 イギリスの広報政策とコロンボ・プラン
四 グローバルな応用?──アフリカ向けコロンボ・プラン
五 アジア・アフリカの人心掌握のための技術援助

第Ⅱ部 コロンボ・プランをめぐる支援戦略とその変容

第7章 戦後アジア政治・経済秩序の展開とエカフェ、一九四七~一九六五年 (山口育人) 
一 エカフェ──戦後アジア最初の地域機構
二 エカフェの発足
三 エカフェの活動
四 アジア経済・外交を取り巻く状況変化とエカフェ
五 戦後アジア諸国の国家建設とエカフェ

第8章 アメリカの冷戦政策と一九五○年代アジアにおける地域協力の模索 (菅 英輝) 
一 コロンボ・プランに対するワシントンの初期対応
二 日本加盟問題と一九五四年のオタワ会議
三 アジア経済開発大統領基金と一九五五年のシムラ会議の開催
四 シアトル会議を主催するワシントン

第9章 二つの戦争の間の平和攻勢──フルシチョフのアジア政策、一九五三~一九六四年 (イリヤ・V・ガイドゥク)
一 平和攻勢とバンドン会議
二 アジア諸国歴訪と対日国交正常化の模索
三 中国への依存
四 ソ連援助政策の特徴
五 ソ連の対アジア政策の「挫折」と帰結

第10章 コロンボ・プランの変容とスターリング圏──一九五○年代後半から一九六○年代初頭 (秋田 茂)
一 資金援助から技術協力へ
二 一九五○年代末の経済開発援助とスターリング圏
三 「コロンボ・プランの将来」──コモンウェルス開発計画
四 コロンボ・プラン一○周年──東京(一九六○年)とクアラルンプール(一九六一年)
五 イギリスの開発援助政策の転換点──一九五八年

第11章 多角的援助と「地域主義」の模索──日本の対応 (波多野澄雄/李炫雄)
一 コロンボ・プランと「地域主義」構想
二 鳩山・岸内閣と「多角的地域協力」の推進
三 東京会議と「地域主義」構想の変容
四 「開かれた地域主義」の基盤形成

第12章 アジアにおける国際秩序の変容と日英関係 (木畑洋一)
一 一九五○年代中葉の日本とイギリス
二 岸首相の提案とイギリスの反応
三 イギリスの対東南アジア政策の見直し
四 一九六○年代初頭におけるイギリスの日本観
五 イギリスの後退と日本の台頭

あとがき
事項索引
人名索引

[執筆者紹介](執筆順、*は編著者)

渡辺 昭一(ワタネベ ショウイチ) [序章、第1章]*

ブライアン・R.トムリンソン(Brian. R. Tomlinson) [第2章]
1948年生まれ。ロンドン大学東洋アフリカ研究院名誉教授。専攻は英印関係史。主な著書に、The Indian National Congress and the Raj: the Penultimate phase, 1929-42( Cambridge: Cambridge University Press, 1976), The Political Economy of the Raj, 1914-1947( London and Basingstoke: Macmilan-now Palgrave, 1979), The Economy of Modern India, 1860-Twenty-first Century( second edition, Cambridge: Cambridge University Press, 2013)など。

横井 勝彦(ヨコイ ケツヒコ) [第3章]
1954年生まれ。明治大学商学部教授。専攻はイギリス経済史・帝国史。主な著書に、『日英兵器産業とジーメンス事件──武器移転の国際経済史』(共著、日本経済評論社、2003年)、『日英経済史』(編著、同、2006年)、『日英兵器産業史──武器移転の経済史的研究』(共編著、同、2005年)、『軍拡と武器移転の世界史──兵器はなぜ容易に広まったのか』(共編著、同、2012年)など。

ニコラス・J. ホワイト(Nicholas J. White) [第4章]
1967年生まれ。リヴァプール・ジョン・ムーアズ大学教授。専攻は帝国・コモンウェルス史。主な著書に、Business, Government and the End of Empire: Malaya, 1942-57( Kuala Lumpur: Oxford University Press, 1996), British Business in Post-colonial Malaysia, 1957-70: ‘neo-colonialism’ or‘disengagement’ ?( London and New York: Routledge, 1994), Decolonisation: the British ExperienceSince 1945( second edition, Abingdon: Taylor & Francis, 2014)など。


ゲイロールト・クロゼウスキー(Gerold Krozewski) [第5章]
1960年生まれ。南アフリカ自由国家大学特別研究員。専攻はイギリス植民地・コモンウェルス史。主な著書に、Money and the End of Empire: British International Economic Policy and the Colonies, 1947-58( Basingstoke: Palgrave, 2001), Africa, Empire and Globalization: Essays in Honor of A. G. Hopkins( collaboration, Durham: Carolina Academic Press, 2011)など。

都丸 潤子(トマル ジュンコ) [第6章]
1963年生まれ。早稲田大学政治経済学術院教授。専攻は戦後国際関係史、国際移動論、国際文化論。主な著書に、The Postwar Rapprochement of Malaya and Japan, 1945-61: The Roles of Britain and Japan in South-East Asia( Basingstoke and New York: Macmillan, 2000), Japanese Diplomacy in the 1950s: From Isolation to Integration( Co-editor, London: Routledge, 2008),『 イギリス帝国と20 世紀④ 脱植民地化とイギリス帝国』(共著、ミネルヴァ書房、2009年)、『国際文化関係史研究』(共著、東京大学出版会、2013年)、「イギリスの対東南アジア文化政策の形成と変容(1942-1960)」『国際政治』146号(2006年11月)など。

山口 育人(ヤマグチ イクト) [第7章]
1973年生まれ。帝京大学総合教育センター講師。専攻はイギリス現代史。主な論文に、「アトリー労働党政権の対外経済政策と植民地」『史林』第82巻4号(1999年)、「英米借款協定再考──イギリスの戦後世界経済構想とアトリー労働党政権」『二十世紀研究』第5号(2004年)、「コロンボプランの成立とアトリー労働党政権のスターリング政策」『史林』第90巻6号(2007年)、「第二次チャーチル保守党政権とスターリング」『紀要(帝京大学短期大学)』第33号(2013年)など。

菅 英輝(カン ヒデキ) [第8章]
1942年生まれ。京都外国語大学客員教授。専攻はアメリカ外交史、国際関係論。主な著書に、『アメリカの世界戦略──戦争はどう利用されるのか』(中公新書、2008年)、『東アジアの歴史摩擦と和解可能性──冷戦後の国際秩序と歴史認識をめぐる諸問題』(編著、凱風社、2011年)、『冷戦史の再検討──変容する秩序と冷戦の終焉』(編著、法政大学出版局、2010年)、『アメリカの戦争と世界秩序』(編著、同、2008年)、『アメリカ20世紀史』(共著、東京大学出版会、2003年)、訳書、ジョン・ルカーチ『評伝 ジョージ・ケナン──対ソ「封じ込め」の提唱者』(法政大学出版局、2011年)など。

イリヤ・V. ガイドゥク(Ilya V. Gaiduk) [第9章]
1961年生まれ。元ロシア科学アカデミー世界史研究所上級研究員。専攻は冷戦史、国連史。主な著書に、The Great Confrontation: Europe and Islam through the Centuries( Chicago: Ivan Dee, 2003),Confronting Vietnam: Soviet Policy Toward the Indochina Conflict( Washington: Wilson Center Press;Stanford: Stanford University Press, 2003), The Soviet Union and the Vietnam War( Chicago: Ivan Dee,1996)など。

秋田 茂(アキタ シゲル) [第10章]
1958年生まれ。大阪大学文学研究科教授。専攻はイギリス帝国史、グローバルヒストリー。主な著書に、『イギリス帝国とアジア国際秩序』(名古屋大学出版会、2003年)、『イギリス帝国の歴史──アジアから考える』(中公新書、2012年)、『アジアからみたグローバルヒストリー ──「長期の一八世紀」から「東アジアの経済的再興」へ』(編著、ミネルヴァ書房、2013年)、Gentlemanly Capitalism, Imperialism and Global History( Basingstoke and New York: Palgrave Macmillan, 2002), The International Order of Asia in the 1930s and 1950s( edited with N. J. White, Farnham and Burlington: Ashgate Publishing, 2010)など。

波多野 澄雄(ハタノ スミオ) [第11章]
1947年生まれ。筑波大学名誉教授、ハーヴァード大学客員研究員。専攻は日本政治外交史、国際関係史。主な著書に、『幕僚たちの真珠湾』(朝日新聞社、1991年)、『太平洋戦争とアジア外交』(東京大学出版会、1996年)、『歴史としての日米安保条約』(岩波書店、2010年)、『国家と歴史──戦後日本の歴史問題』(中公新書、2011年)、『太平洋戦争』(編著、東京大学出版会、1993年)、『戦後日本の東南アジア政策 1950-2005』(編著、早稲田大学出版部、2007年)、The End of the Pacific War: Reappraisals( Co-authored, Stanford: Stanford University Press, 2007)、『日本の外交2 外交史 戦後編』(編著、岩波書店、2013年)など。

李 炫雄(イ ヒョンウン) [第11章]
1972年生まれ。駐新潟大韓民国総領事館先任研究員。専攻は戦後日本外交史、国際政治。主な著書に、『原子力をめぐる「日米協力」の形成と定着 1953-1958』(龍渓書舎、2013年)、『日本民主党政権の誕生と崩壊(韓国語)』(共著、図書出版オルム、2014年)など。

木畑 洋一(キバタ ヨウイチ) [第12章]
1946年生まれ。成城大学法学部教授。専攻はイギリス近現代史。主な著書に、『支配の代償──英帝国の崩壊と「帝国意識」』(東京大学出版会、1987年)、『帝国のたそがれ──冷戦下のイギリスとアジア』(東京大学出版会、1996年)、『第二次世界大戦──現代世界への転換点』(吉川弘文館、2001年)、『イギリス帝国と帝国主義──比較と関係の視座』(有志舎、2008年)など。

書評掲載

東京財団」サイト(2014年8月18日付/林大輔氏・評)に紹介されました。

「図書新聞」(2014年11月1日号/平川幸子氏・評)に紹介されました。

「史学雑誌」(第124編第9号、2015年9月発行/前川一郎氏・評)に紹介されました。

「社会経済史学」(2016年5月Vol.82,No.1号/宮城大蔵氏・評)に紹介されました。

関連書籍

A.H.アムスデン著/原田太津男・尹春志訳『帝国と経済発展』
小菅信子/H.ドブソン編著『戦争と和解の日英関係史』