旅するモンテーニュ
十六世紀ヨーロッパ紀行

四六判 / 266ページ / 上製 / 定価:3,300円 + 税 
ISBN978-4-588-49027-9 C0023 [2012年06月 刊行]

内容紹介

透徹した人間省察の書『エセー』をつうじて近代的な思想の自由を切り開いたモンテーニュ。その懐疑主義とユマニスムは、もう一つの著作『旅日記』が示すとおり、ヨーロッパ諸国を旅した多様な経験に裏打ちされたものだった。1580年から81年の約一年半、スイス、ドイツ、イタリアを実見した記録である『旅日記』の行程をつぶさに追い、ルネサンス期の都市と自然の風景を再構成する。

著訳者プロフィール

斎藤 広信(サイトウ ヒロノブ)

1943年宮城県生まれ。東北大学大学院修士課程修了。日本女子大学名誉教授。十六世紀フランス文学・思想。共著書に『フランスの文学』(有斐閣)、『フランス語を話そう! フランスを知ろう!』(白水社)、『世界ことわざの泉』(河北新報出版センター)、『もっと知りたいフランス──歴史と文化を旅する5章』(駿河台出版社)ほか。訳書に『モンテーニュ旅日記』(共訳)、ピエール・ミシェル『永遠普遍の人モンテーニュ』(共訳、白水社)、ベルナール・フランク『方忌みと方違え──平安時代の方角禁忌に関する研究』(岩波書店)、ジャック・アタリ『1492西欧文明の世界支配』(ちくま学芸文庫)ほか。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに

序章 モンテーニュとその時代
1 十六世紀のフランス
ルネサンス/宗教改革/宗教戦争
2 モンテーニュの生涯と作品──『エセー』と『旅日記』
商人から新興貴族へ/モンテーニュの前半生/『エセー』出版と旅と市長職/日記(『旅日記』)の発見と出版

第一章 旅の始まり──フランス東部の旅(シャンパーニュ、ロレーヌ)
出発──自邸からボーモンまで/旅の同行者たち/ボーモンからプロンビエール温泉まで/ジュスト・テレルを訪ねる(モー)/マルドナ氏からスパ温泉の話を聞く(エペルネ)/ストロッツィ元帥の墓を訪ねる(エペルネ)/フランス最初のルネサンス都市(ヴィトリ=ル=フランソワ)/マリ・ジェルマンの話(ヴィトリ=ル=フランソワ)/ジル・ド・トレーヴとコレージュ(バール=ル=デュック)/腎臓結石とユニークな湯治(プロンビエール温泉)/ばらばらの距離単位

第二章 スイス、ドイツの旅──ミュルーズからボルツァーノまで
フランス語圏からドイツ語圏へ/スイス、ドイツの宗教事情/フェーリクス・プラッターと会う(バーゼル)/バーデンからコンスタンツまで/南ドイツの諸都市を訪れる──リンダウからアウクスブルクヘ/アウクスブルクからバイエルン公領へ/この国の快適な生活/清潔な旅宿とガラス窓/プワルと羽根布団/食事と給仕/奇跡の教会(ゼーフェルト)/チロル風景とモンテーニュ/ドイツ語圏からイタリア語圏へ

第三章 イタリアの旅──トレントからローマまで
トレントと司教クレシウス/〈ツーリスト〉モンテーニュ/ヴェローナ、ヴィチェンツァ、パドーヴァ/奇妙な修道士たち/想像がはずれたヴェネツィア/モンテーニュの女性見学/パドーヴァからフェッラーラ、ボローニャへ/フィレンツェは〈美しい〉か?/庭園見物──プラトリーノ、カステッロ/シエーナからローマヘ

第四章 ローマ滞在記──憧れの都に逗留
ローマ教皇に謁見/カテナの処刑を見物/ローマの遺跡を前にして/ユダヤ教徒の儀式とローマの謝肉祭/モンテーニュ自らが日記を書く/ヴァティカン文庫を見学/オスティア見物/教皇庁の『エセー』検閲/イエズス会の勢力とモンテーニュ/聖週間のローマ/ローマ市民権允許状を授与される/庭園見物──ヴィッラ・デステ/モンテーニュとルネサンス美術

第五章 ロレート参詣と湯治日記──ローマからロレートを経てルッカへ
ロレートの聖堂に詣でる/貸し馬を利用する/アンコーナからルッカまで/デッラ・ヴィッラ温泉に長期滞在/湯治前期──飲泉と入浴とシャワー/湯治後期──体調不良と市長選出の知らせ/モンテーニュの知恵

第六章 トスカーナ巡遊、そして旅の終わり──ルッカからローマ、一路帰国の途に
カステッロ再訪と聖ヨハネ祭(フィレンツェ)/ピサおよびルッカ滞在/サンタ・クローチェ祭(ルッカ)/奇跡の教会(ヴィテルボ)/バニャイアとカプラローラ見物/ローマ到着/ローマからモン・スニ峠へ/道の長さがもどかしい

第七章 帰国後のモンテーニュ──『エセー』出版と市長選任をめぐって
『エセー』第二版における増補/『エセー』第二版における訂正/『エセー』初版刊行の背景/市長職と『エセー』第二版/馬上の人から書斎の人へ

終章 モンテーニュと〈旅〉
旅人モンテーニュの特質/モンテーニュと〈水〉/〈旅〉をめぐるエセー

注/あとがき/図版出典/文献一覧