南島貝文化の研究 〈オンデマンド版〉
貝の道の考古学

第6回雄山閣考古学賞受賞
B5判 / 586ページ / 上製 / 価格 22,000円 (消費税 2,000円) 
ISBN978-4-588-92065-3 C3021 [2013年04月 刊行]

内容紹介

南島で開花した多彩な貝製品の文化を復元するとともに弥生時代以来南島と九州・本州との間に行われてきた貝交易のルートを究明する。

著訳者プロフィール

木下 尚子(キノシ タナオコ)

1954年東京に生まれる。九州大学大学院文学研究科博士課程中退。考古学専攻。梅光女学院大学助教授を経て、現在、熊本大学助教授。1984年より文部省海外学術調査に参加し、フィリピン・バタン島、台湾東海岸、中国浙江省および南島各地で発掘調査にあたる。研究発表:「弥生時代における南海産貝論の系譜」(1979年、九州史学会大会)、「南西諸島の貝塚概観」(1992年、東南アジア考古学会大会)、「弥生時代の遺跡と埋葬」(1993年、日本人類学会大会)など。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序──南島考古学の研究史と本書の目的

第1部 弥生文化と貝の道

第1章 南海産貝輪の系譜
1 はじめに──研究史と問題の所在
2 南島の貝輪
3 九州弥生文化の貝輪
4 弥生文化における南海産貝輪の系譜──まとめにかえて

第2章 南海産貝輪の生成と展開
1 はじめに──地域区分
2 南海産貝輪の地域別動向
3 II類貝輪の生成と展開
4 まとめ

第3章 南海産貝輪着装習俗の構造
1 はじめに
2 まる型貝輪の着装習俗
3 うずまき型貝輪の思想
4 まとめ

第4章 貝輪から銅釧へ
1 はじめに
2 有鉤銅釧研究小史──問題点の整理
3 貝輪系銅釧諸列
4 立岩型貝輪と有鉤銅釧
5 貝輪系銅釧の生成と展開
6 おわりに

第5章 南海産貝輪交易考
1 はじめに
2 九州弥生人の貝入手と流通システム
3 広田人の貝消費
4 南西諸島の貝輪交易
5 おわりに

第6章 貝の道の人々
1 貝の道
2 土井ケ浜貝輪の語るもの
3 とどいていた波濤──北浦の弥生時代によせて
4 イヤンヤ(ヤーヤ)洞穴のゴホウラ貝輪
付 弥生時代貝輸出土一覧
付 文献一覧

第2部 国家形成と貝の道

第1章 鍬形石の誕生──かたちの系譜
1 鍬形石研究の現状と課題
2 鍬形石のかたちの系譜
3 鍬形石誕生の背景

第2章 古墳時代の貝釧・貝の道──3~8世紀の南島交易
1 はじめに
2 弥生時代終末期の貝釧・貝の道
3 古墳時代前期の貝釧・貝の道
4 古墳時代中期の貝釧・貝の道
5 古墳時代後期の貝釧・貝の道
6 結語──古墳時代の南島交易の意味
付 イモガイをつけた馬具──騎馬文化の中の南海産貝

第3章 「白法螺貝一口」考──空海請来品の一検討
1 はじめに
2 東寺保管の商佉
3 商佉を中心にみた東寺請来品の沿革
4 商佉と「白螺貝一口」の意味
5 日本における初期の商佉
6 まとめ

第3部 南島の貝文化

第1章 南島世界と貝塚の貝
1 はじめに
2 南島世界の地理
3 サンゴ礁世界と貝
4 南島の貝塚概観
付 貝塚研究小史

第2章 南島の古代貝文化
1 はじめに
2 貝製品分類
3 貝製品概観
4 南島の貝文化の特色
付 南島の貝製品──国分直一氏・盛園尚孝氏資料の紹介

第3章 貝と葬送習俗──沖縄県真志喜安座間原第一遺跡の報告から
1 はじめに
2 出土貝製品
3 貝と葬送習俗
4 おわりに──今後の課題として

第4章 辟邪の貝──しゃこがい考
1 はじめに
2 考古資料にみるしゃこがい
3 しゃこがいの呪力
4 結語

第5章 貝製容器小考
1 はじめに
2 貝製容器の設定
3 貝製容器の諸相
4 ヤコウガイ製ヒシャク状容器
5 ヒシャク状容器の用途
6 まとめ

第6章 南からみた貝の道──二つの交易のもたらしたもの
1 二つの貝の道
2 貝の道の拓かれるまで
3 貝の道の人々
4 貝貿易の成熟と貝の道の延長
5 もうひとつの貝の道
6 貝の道のもたらしたもの

第7章 広田遺跡と貝符
1 鹿児島県南種子町広田遺跡
2 貝符
3 貝符文様の系譜──南島の視座から

あとがき