小局からのお知らせ

「第5回 法政大学出版局学術図書刊行助成」
選考結果のお知らせ

法政大学出版局では、2014年より「法政大学出版局学術図書刊行助成制度」を設け、全国の各大学在職の研究者および民間研究者を対象に、優れた学術的価値を有する専門的研究成果の募集を行っております。

2018年も、春に第5回目の募集を行い、局内および小局理事会における厳正な審査と、外部の審査員による評価を経て、本年度は下記の4点の論文作品を刊行助成対象とすることに決定いたしました。

(1)
著者:鈴木啓之 氏
論文:『蜂起〈インティファーダ〉と占領下のパレスチナ』

《選考理由》
「1967年のイスラエルによるヨルダン川西岸地区およびガザ地区の全面的なパレスチナ占領の開始から、1987年の第一次インティファーダ開始までの20年間に醸成されたパレスチナ人の抵抗運動に新たな光をあてる論考。一般には、この期間は目立った抵抗がなく比較的穏やかな時代とされてきたが、実際には87年からの長期的インティファーダを予感させる蜂起が発生していた。PLO系統一指導部とハマースとの関係についての言及も貴重。」

(2)
著者:淵田 仁 氏
論文:『ジャン=ジャック・ルソーにおける〈方法〉の問題』

《選考理由》
「思想家ルソーの著作に焦点を当て、「方法」という観点から全体的に捉え直す力作。哲学、政治学、経済学、文学、音楽や科学など、人間的知と学芸の全領域に及んで活動した作家の本質を探るにあたって、ルソー自身がみずからの執筆活動を自嘲的に評した「山師的やり口」をキーワードとして掲げ、その反‐方法的な思考の戦略を浮き彫りにしている点が新しい。」

(3)
著者:山村 奨 氏
論文:『陽明学という「革命」──近代日本における儒教理解の変容』

《選考理由》
「近代における陽明学理解の言説を、文献を博捜して丹念に整理した労作。明治維新期の解釈から三島由紀夫の理解にいたるまで、多数の思想家たちによって発展し変容していった日本の陽明学受容の歴史をめぐり、先行研究を踏まえ、堅実かつ一貫した研究視角を提供している点が野心的。」

(4)
著者:松尾隆佑 氏
論文:『ポスト政治の政治理論──ステークホルダー・デモクラシーのヴィジョン』

《選考理由》
「「意思決定によって影響を受ける人々を意思決定過程に包摂しなければならない」という認識は、現代デモクラシー理論に共有されているが、本論文はこれに対して「ステークホルダー」という切り口からアプローチし、緻密な議論を展開する。現代社会が抱える具体的問題、たとえば原発立地や再稼働で影響を被る人々の問題などを踏まえているがゆえにリアリティのある議論であり、理論の最前線を提示するものとして一石を投じるものと思われる。」

書籍としての刊行は、2019年春〜夏を予定しております。
このほか、多数の力作論文のご応募をいただきましたが、残念ながら今回はご期待に添うことができませんでした。ご応募いただきましたすべての皆さまに、心より感謝を申し上げます。

なお、次年度以降も引きつづき、本「刊行助成制度」を実施してまいります。2019年3月下旬以降に、当ウェブサイト上にて詳細を告知する予定ですので(締め切りは5月末)、積極的なご応募をお待ちしております。

2018年11月1日 一般財団法人 法政大学出版局