叢書・ウニベルシタス 1195
生きることを忘れるなかれ
ゲーテと精神的修練の伝統

四六判 / 264ページ / 上製 / 価格 3,850円 (消費税 350円) 
ISBN978-4-588-01195-5 C1310 [2026年02月 刊行]

内容紹介

文豪ゲーテは古代の叡智を継承し、永遠の生命を肯定する精神的修練の達人だった。ギリシャの哲学からニーチェへと受け継がれる系譜にゲーテを位置づけ、〈現在〉の瞬間への集中、〈高みからの眼差し〉を通じた世界の俯瞰、詩篇「始源の言葉」の〈希望〉、〈運命への愛〉という四つの主題から鮮やかに読解する。机上の理論でも象牙の塔でもなく、生き方の指針となる哲学を称揚したアドによる人生の書。

著訳者プロフィール

ピエール・アド(アド ピエール)

ピエール・アド(Pierre Hadot)
1922年生。パリのカトリック家庭に生まれ、神学教育を受ける。15歳で高等神学校に進級、22歳で司祭の資格を得たのち、ソルボンヌで神学・哲学・文献学を学ぶ。27歳でCNRS(フランス国立科学研究センター)の研究員となり、宗教界を離れて哲学の道を選ぶ。文献学の研究を土台として、古代ギリシア思想と新プラトン主義、とくにプロティノス研究で著名となる。1963年にはEPHE(高等研究実習院)のディレクター、82年にはミシェル・フーコーの推薦もありコレージュ・ド・フランスの教授に就任。2010年没。著作に『イシスのヴェール』『生き方としての哲学』(法政大学出版局)、『ウィトゲンシュタインと言語の限界』(講談社)、『プロティノス』(Protin ou la simplicité du regard, 1963)、『古代哲学とは何か』(Qu’est-ce que la philosophie antique?, 1995)、『内面の砦』(La Citadelle intérieure, 1992)、ほか多数。

村松 正隆(ムラマツ マサタカ)

村松 正隆(ムラマツ マサタカ)
1972年生。北海道大学教授。著書:『〈現われ〉とその秩序──メーヌ・ド・ビラン研究』(東信堂)、共編著:『ミシェル・アンリ読本』(法政大学出版局)、共訳書:ラヴェッソン『十九世紀フランス哲学』(知泉書館)。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次



Ⅰ 「現在こそ、私が崇拝する唯一の女神です」

 1 ファウストとヘレナ
 2 現在、労働、そして理念的なもの
 3 牧歌的なアルカディア
 4 無意識の健康か、獲得された明朗さか?
 5 現在をめぐる哲学的経験
 6 ゲーテにおける古代哲学の伝統
 7 ゲーテにおける、現在、瞬間、あること

Ⅱ 高みからの眼差しと宇宙旅行

 1 瞬間と高みからの眼差し
 2 古代における高みからの眼差し。山の頂きと想像上の飛翔
 3 古代の哲学者における高みからの眼差しの哲学的意味
 4 中世ならびに近代の伝統
 5 ゲーテにおける高みからの眼差しのさまざまな形態
   山の頂きと、革新の経験
   山の頂きと宇宙的経験
   鳥の飛翔、気球と詩
   リュンコイス、あるいは純粋な熟視者
   「地上を飛び回る霊」 瞑想と行為
 6 ゲーテ以降の高みからの眼差し
 7 空中旅行者(Aéronautes)と宇宙旅行者(Cosmonautes)

Ⅲ 希望の翼 始源の言葉

 1 ダイモーン、テュケー
 2 ダイモーン、テュケー、エロース、アナンケー、そしてエルピス
 3 人間の運命
 4 自伝的側面?
 5 カドゥケウス
 6 エルピス、希望

Ⅳ 生と世界への「然り」

 1 生きてあることの歓び(Freude des Daseins)は大きい
 2 生きてあることそれ自身に覚える歓び(Freude am Dasein)はさらに大きい
 3 生成と恐るべきものへの 「然り」
 4 ゲーテとニーチェ

結び

訳者あとがき
訳註
原註
文献一覧
索引

関連書籍

『生き方としての哲学』
ピエール・アド:著
『イシスのヴェール』
ピエール・アド:著