叢書・ウニベルシタス 1173
ロベスピエール
創られた怪物

四六判 / 492ページ / 上製 / 価格 5,500円 (消費税 500円) 
ISBN978-4-588-01173-3 C1323 [2024年08月 刊行]

内容紹介

「廉潔の士」、強力な権限をもつ公安委員会の委員、最期は自身もギロティンで首を刎ねられた「暴君」……。死後二世紀を経た今なおロベスピエールは人びとの感情的な偏見と論争の対象である。革命的な理想の創出者だったのか、あるいは恐怖政治の創始者だったのか。本書は革命の進展と同時に彼が選択した政治的立場を丁寧に辿り、怪物というイメージがいかにして創り出されたのかを明らかにする。

著訳者プロフィール

ジャン=クレマン・マルタン(マルタン ジャン クレマン)

ジャン=クレマン・マルタン(Jean-Clément MARTIN)
1948年、ヴァンデー県の東隣のドゥ゠セーヴル県の生まれ。エマニュエル・ル・ロワ・ラデュリの指導のもとで課程博士論文(ドゥ゠セーヴル県の県庁所在地ニヨール(Niort)の18・19世紀における商人世界を扱ったもの)を提出(パリ第一大学)した。パリ第十三大学講師を経て、1988年にナント大学教授、その間にやはりル・ロワ・ラデュリの指導のもとで国家博士論文「ヴァンデー戦争とその記憶。1793–1980年」を提出(1987年)。2000年にパリ第一大学のフランス革命史講座教授となり、同時にフランス革命史研究所所長に就任した。2008年に退職し、現在は名誉教授。革命史研究のほかに、歴史教育のあり方を検討し、政府への提言も行なってきた。主な著書に、革命と反革命との間の弁証法的関係を解明したContre-Révolution, Révolution et Nation en France, 1789-1799, Seuil, 1998, 革命期の暴力が旧体制下のプラティークに由来していること、「恐怖政治」とそれにまつわる伝説・神話の創出を解明したViolence et Révolution : essai sur la naissance d’un mythe national, Seuil, 2006 ; La Terreur : vérités et légendes, Perrin, 2017 ; Les échos de la Terreur : vérités d’un mensonge d’État, 1794-2001, Belin, 2018, フランス革命通史としてNouvelle histoire de la Révolution française, Perrin, 2012 (édition en poche « Tempus » en 2019) がある。

田中 正人(タナカ マサト)

田中 正人(タナカ マサト)
1944年生まれ。京都大学大学院法学研究科博士課程満期終了。愛知県立大学外国語学部(フランス学科)教授を経て、愛知大学法学部教授。愛知大学名誉教授。著書に、『1848 国家装置と民衆』(共著、ミネルヴァ書房、1985年)、『規範としての文化』(共著、平凡社,1990年)、『世界史大系 フランス史3』(共著、山川出版社、1995年)、訳書に、レモン『フランス 政治の変容』(共訳、ユニテ、1995年)、シアパ『革命家グラッキュス・バブーフ伝』(彩流社、2019年)、ブォナローティ『平等をめざす、バブーフの陰謀』(法政大学出版局、2020年)、シアパ『革命家ブォナローティ伝』(彩流社、2021年)、ブルスティン『創られたサン=キュロット』(法政大学出版局、2022年)、など。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序言

第一章 若い有力者の人物像(1758–1783年)

第二章 政治活動の開始(1783–1789年)

第三章 「ロベルトスピエール」から「廉潔の士」へ(1789–1791年春)

第四章 ジャコバン派の旗頭(1791年春–9月)

第五章 異議を唱えられた指導者(1791年10月–1792年9月)

第六章 優柔不断な統率者(1792年9月–1793年7月)

第七章 権力の試練(1793年7月–1794年4月)

第八章 打ち倒された偶像(1794年4月–12月)

第九章 怪物としての革命家像

結論 フランス革命の魂にして謎

訳者あとがき

参考文献

人名索引

関連書籍

『創られたサン=キュロット』
アイム・ブルスティン:著
『平等をめざす、バブーフの陰謀』
フィリップ・ブォナローティ:著
『マルクスとフランス革命』
フランソワ・フュレ:著
『フランス革命論』
J.G.フィヒテ:著