叢書・ウニベルシタス 674
贈与の謎 〈新装版〉

四六判 / 362ページ / 上製 / 定価:4,200円 + 税 
ISBN978-4-588-09983-0 C1338 [2014年06月 刊行]

内容紹介

人はなぜ人に与え、与えられた者はなぜ返報しなければならないのか──。モース『贈与論』とレヴィ = ストロースのモース批判をふまえて社会における贈与の役割を再検討し、贈与から出発して宗教や王権へ、国家や貨幣へと共同幻想としての社会関係が物神化される過程を解明、自由競争社会を超える原理を探る。

著訳者プロフィール

モーリス・ゴドリエ(ゴドリエ,M.)

(Maurice Godelier)
1934年北仏のカンブレに生まれ、エコール・ノルマル・シュペリウールを卒業。パリ大学に学んだあと、高等研究院でF.ブローデルやレヴィ=ストロースについて研鑽をふかめ、1975年に社会科学高等研究院の研究部長、82年からは国立科学研究所の科学部長や人間・社会科学部長の要職を歴任。その研究分野は人類学、歴史学、社会学、経済学、哲学、社会思想など、ひろく学際的分野にわたり、フランスの代表的な構造主義的マルクス主義者として知られている。著書に『経済における合理性と非合理性』(66)、『人類学の地平と針路』(73)、『観念と物質』(84)などがあり、また、各国の雑誌や論集に数多くの論文を発表して旺盛な活動を続ける。

山内 昶(ヤマウチ ヒサシ)

1929年東京生まれ。京都大学仏文学科卒業。同大学院(旧制)修了後、パリ大学高等研究院に留学。元・大手前大学教授、甲南大学名誉教授。著書:『食具』、『もののけ Ⅰ・Ⅱ』(ものと人間の文化史)、『ロマンの誕生』、『現代フランスの文学と思想』、『経済人類学への招待』、『タブーの謎を解く』。訳書:マンデル『カール・マルクス』、マレ『労働者権力』、サーリンズ『人類学と文化記号論』『人類学と文化記号論』、ゴドリエ『人類学の地平と針路』『観念と物質』『贈与の謎』、プィヨン編『経済人類学の現在』、ロダンソン『イスラームと資本主義』、トマス『人間と自然界』、アタリ『所有の歴史』、テスタール『新不平等起源論』ほか。2006年死去。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 与えるモノ、売るモノ、与えるのも売るのも駄目で、手放せないモノ

I モースの遺贈

1章 名著の輝きとその影
名声の単純な理由──三つの義務の連鎖としての全体的で強力な贈与観
贈与、二重の関係
贈与の謎とモースによる解明
先住民に騙されたモース──レヴィ = ストロースの批判
レヴィ = ストロースによるモース批判の回顧
レヴィ = ストロースによる謎解き──《浮遊する意味するもの》
言語のビッグパンと社会の象徴的起源
レヴィ = ストロースの公準──想像に対する象徴の優位性
第四の義務の忘却(神々や神々を代表する人間への人々の贈与)
忘れられたモース
与えることのできるモノと保持すべきもの(アネット・ワイナーと贈与の逆説)
社会の二重の基礎
補完的で、別の道を通ってのモース批判
非競覇的な贈与と反対贈与例の短い分析
与えられたとたんの返報(ばかげた贈与はあるか)
モノのハウは本当に秘密を解く鍵か
ポトラッチ、モースを魅了したこの贈与
クラ(モースによるメラネシアのポトラッチ例)
モカ
モノはわけもなく単独で移動しない

II 人間と神々の代替 = 物

2章 ニューギニア・パルヤ族での聖物、貴重物、物 = 貨幣
バルヤ族で保持されるモノ
バルヤ族の神話的祖先への太陽、月ないし霊の贈り物としての聖物
聖物は象徴なのか
聖物の内に隠されているもの
男による笛の盗み
崇高について
贈与ないし交換のためにパルヤ族が生産するモノ
パルヤ族の貝殻の首飾りと《価値》物
友人間の贈与
パルヤ族が保持し、与え、交換するモノの概観

3章 ポトラッチ社会の出現と発展の仮説
歴史におけるポトラッチ社会の位置
貴重物とは何か
交易物の贈与物ないし聖物への変身

III 聖なるもの
聖なるものとは何か
人間と社会の現在 = 不在としての聖物
人間の社会生活を可能にする抑圧されたモノ
起源以来、神々、霊、人聞が相互にしてきた不平等な贈与
社会科学の批判的機能について

IV 魔法の解けた贈与
時の流れの中に個人や社会のアイデンティティを固定するのに必要な係留点について
市場社会で市場を超えて位置するものについて
贈与の復帰と謎の移動

 原註
 訳記
 参考文献