田岡嶺雲全集 第六巻
評伝 評論及び感想五

田岡 嶺雲:著, 西田 勝:編・解題
四六判 / 890ページ / 上製貼箱入 / 価格 22,000円 (消費税 2,000円) 
ISBN978-4-588-11031-3 C1395 [2018年01月 刊行]

内容紹介

日清戦争の余燼冷めやらぬ1897年、維新以降の近代教育を受けた新進気鋭の中国文学研究者らが、世界文学としての中国古典の再生を志して発刊した叢書『支那文學大綱』(15巻刊行、未完)。東洋文化への敬意に基づくこの叢書のために嶺雲が執筆した五つの評伝、「莊子」「屈原」「蘇東坡」「高靑邱」「王漁洋」を、詳細な編註・解題とともに収める。前巻に続く「評論及び感想五」も収録。

著訳者プロフィール

田岡 嶺雲(タオカ レイウン)

1871年、土佐国高知(現・高知県高知市)に生まれる。本名は田岡佐代治。自由民権運動の興隆を受け、1880年代には高知市内の民権結社にも加入していた。1890年、上京し水産伝習所(現在の東京海洋大学水産学部)に入学、後に東京帝国大学文科大学漢文学科選科(現在の東京大学文学部)に転学卒業。大学在学中に評論活動を始め、樋口一葉や泉鏡花の作品を高く評価した。その後、一時期には岡山県津山で学校教師も勤めたが、再び上京してからは新聞各紙の記者、ジャーナリスト兼評論家として、『平民新聞』や『帝国文学』、『太陽』などで執筆を続けた。ときには中国本土にわたり、北清事変の際には現地からルポを送信した。日露戦争後の1905年に刊行した『壺中観』、続刊の『霹靂鞭』が相次いで発禁処分を受け、その頃から権力に反抗する立場から、非戦論・資本主義批判の論調での執筆活動が多くなっていった。1909年には、自由民権運動のなかで起きた秩父事件などの武装決起事件の関係者からの聞き書きを元に『明治叛臣伝』を著した。1910年、大逆事件の容疑で幸徳秋水が湯河原で捕縛されたとき、その場面を目撃した。このころから脊髄を病み、歩行も困難になり、1912年療養地先の日光で世を去った。

西田 勝(ニシダ マサル)

1928年、静岡県に生まれる。1953年、東京大学文学部卒業、法政大学文学部教授を経て、現在〈西田勝・平和研究室〉主宰、植民地文化学会代表。主要著書に『グローカル的思考』『近代日本の戦争と文学』『近代文学の発掘』(以上、法政大学出版局)、『社会としての自分』(オリジン出版センター)、『近代文学閑談』(三一書房)、『私の反核日記』(日本図書センター)、編訳書に『田岡嶺雲全集』(全7巻、刊行中。法政大学出版局)、呂元明『中国語で残された日本文学』、鄭清文『丘蟻一族』(以上、法政大学出版局)、ゴードン・C・べネット『アメリカ非核自治体物語』(筑摩書房)、『世界の平和博物館』(日本図書センター)、『《満洲国》文化細目』(共編、不二出版)、『《満洲国》とは何だったのか』(共編、小学館)などがある。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

【評 傳】

莊 子

蘇東坡

屈 原

高靑邱

王漁洋

【評論及び感想 五】

吾が見たる上海 上海に由て見たる支那
上海の天長節
異國かたり草(一)
『王漁洋』の批評の辯難
同情より出でたる節儉
上杉博士の『婦人問題』を讀む
婦人の奮起を望む
今の文章は冗漫である
雪の西湖
十五年前の回顧
墨子に就きて
雜鈔雜錄
貴婦人論
俳諧數奇傳
成吉思汗
人生の爲
人間の生活を呪ふ
擱筆の後
死の問題
洪  水
日光より
現代文學の社會的影響

編 注

解 題

書評掲載

「しんぶん赤旗」(2018年2月4日付)にて紹介されました。

「高知新聞」(2018年2月23日付/片岡雅文氏・評)にて紹介されました。

「出版ニュース」(2018年5月上旬号)にて紹介されました。