人間本性論 第2巻
情念について

A5判 / 386ページ / 上製 / 価格 10,780円 (消費税 980円) 
ISBN978-4-588-12082-4 C1010 [2011年12月 刊行]

内容紹介

ヒュームは人間本性における理性の働きを限定的に捉え、行為の原動力を情念と考えた。そして、人間の行為を統御する道徳的判断も情念を基底としているはずだと一貫して主張し、第2巻では「間接情念」と名づけた4つの情念の因果的なメカニズムを徹底して考察する。情念の解明こそ彼の最重要課題であったことがうかがえ、「人間学」の構想がかいま見える。

著訳者プロフィール

D.ヒューム(ヒューム デイヴィッド)

(David Hume)
1711年4月26日生まれ。スコットランドを代表する哲学者。エディンバラ大学で学び、哲学やその他の分野についての執筆活動をするとともに、フランス大使秘書などに就く。ルソーとの交流とその破綻はよく知られている。1776年8月25日死去。おもな著作は、『人間本性論』(1739-40)、『人間本性論摘要』(1740)、『人間知性研究』(1748)、『道徳原理研究』(1751)、『宗教の自然史』(1757)、『イングランド史』(1754-61)など。死後『自然宗教に関する対話』(1779)が公刊された。

石川 徹(イシカワ トオル)

1956年静岡県生まれ。京都大学文学部卒業。香川大学教育学部教授。専門は英国経験論・分析哲学。論文「ヒュームの情念論」(中才敏郎編『ヒューム読本』法政大学出版局、2005)、「自然主義的誤謬と「である-べきである問題」」(中才敏郎・美濃正編『知識と実在』世界思想社、2008)など。

中釜 浩一(ナカガマ コウイチ)

1956年長崎県生まれ。京都大学文学部卒業。法政大学文学部教授。専門は言語哲学・科学哲学。論文「一般性制約について(1)」(『法政大学文学部紀要』第48号、2003)、「ホワイトヘッド」(伊藤邦武編『哲学の歴史8』中央公論新社、2007)など。

伊勢 俊彦(イセ トシヒコ)

1959年岩手県生まれ。京都大学文学部卒業。立命館大学文学部教授。専門は英米近現代哲学。論文「ヒューム、その道徳哲学の視野」(中才敏郎編『ヒューム読本』法政大学出版局、2005)、「動物の心と人間の理性」(『立命館文學』603号、2008)など。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

 第一部 誇りと卑下について
第一節 主題の区分
第二節 誇りと卑下について―それらの対象と原因
第三節 これらの対象と原因は何に由来するか
第四節 印象の関係と観念の関係について
第五節 誇りと卑下に対するこれらの関係の影響について
第六節 この体系の制限
第七節 悪徳と徳について
第八節 美しさと醜さについて
第九節 外的な〔対象の〕長所と短所について
第十節 所有と富について
第十一節 名声への愛について
第十二節 動物の誇りと卑下について

 第二部 愛と憎しみについて
第一節 愛と憎しみの対象と原因について
第二節 この体系を強化する実験
第三節 諸困難の解決
第四節 〔われわれと〕関係を有するものに対する愛について
第五節 富と権力を持つ人々に対する敬意について
第六節 善意と怒りについて
第七節 同情について
第八節 悪意と妬みについて
第九節 善意と同情および怒りと悪意の混合について
第十節 尊敬と軽蔑について
第十一節 恋愛の情念、すなわち両性間の愛について
第十二節 動物の愛と憎しみについて

 第三部 意志と直接情念について
第一節 自由と必然性について
第二節 同じ主題(自由と必然性)の続き
第三節 意志に影響する動機について
第四節 激しい情念の諸原因について
第五節 習慣の効果について
第六節 想像力が情念に与える影響について
第七節 空間時間における隣接と距離(隔たり)について
第八節 同じ主題(空間時間における隣接と距離)の続き
第九節 直接情念について
第十節 好奇心、すなわち真理への愛について

訳注
解説 ヒューム『人間本性論』における情念論

関連書籍

小局刊・ヒューム著『人間本性論第1巻』『ヒューム読本〈新装版〉』『宗教の自然史〈新装版〉』『奇蹟論・迷信論・自殺論〈新装版〉』『自然宗教に関する対話』