叢書・ウニベルシタス 705
ファシズム時代のシオニズム〈新装版〉

四六判 / 476ページ / 上製 / 価格 5,720円 (消費税 520円) 
ISBN978-4-588-14088-4 C1322 [2025年05月 刊行]

内容紹介

シオニズム運動を世界史的な視野で考察しつつ、シオニストとナチとの知られざる関係を剔抉し、全体主義に覆われた20世紀の暗部を鋭く照射する反シオニズム論。

著訳者プロフィール

レニ・ブレンナー(ブレンナー レニ)

レニ・ブレンナー(Lenni Brenner)
1937年、ニューヨーク生まれ。1960年代の公民権運動など、一貫して人権運動や反戦活動を実践し、不羈独立のユダヤ系社会運動家として、ラジカルな批判的シオニズム史論を幅広く展開している。著書には、本書のほか、とくにシオニズム改訂派運動史を跡づけた研究として『鉄の壁──ジャボティンスキーからシャミルまでのシオニスト改訂派』(1984)があり、そのほか『今日のアメリカ・ユダヤ人』(1986)、『次善の選択肢──民主党』(1988)、『シオニストの対ナチ協力をめぐる51のドキュメント』(2002)などがある。

芝 健介(シバ ケンスケ)

芝 健介(シバ ケンスケ)
1947年生まれ。東京大学大学院社会学研究科国際関係論博士課程単位取得退学。東京女子大学名誉教授。専攻はドイツ近現代史、ユダヤ人問題史、ニュルンベルク裁判論。著書に『武装SS──ナチスもう一つの暴力装置』(講談社、1995)、『ヒトラーのニュルンベルク』(吉川弘文館、2000)、『ホロコースト』(中公新書、2008)、『武装親衛隊とジェノサイド』(有志舎、2008)、『ニュルンベルク裁判』(岩波書店、2015)、『ヒトラー』(岩波新書、2021)ほか、訳書にN. フライ『総統国家──ナチスの支配1933~1945年』(岩波書店、1994)、M. フルブルック『二つのドイツ 1945–1990』(岩波書店、2009)、G. アリー『ヒトラーの国民国家』(岩波書店、2012)、監訳書としてJ. ハイデッカー/J. レープ『ニュルンベルク裁判 上・下』(白水社、2023)などがある。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次


凡例
第1章 ホロコースト以前のシオニズムと反セム主義
第2章 「血と土」──シオニズムの人種論のルーツ
第3章 ドイツのシオニズム運動とヴァイマル共和国の崩壊
第4章 シオニズムとイタリア・ファシズム
第5章 ドイツ・シオニズムのナチズムへの協力申し出
第6章 ユダヤ人の反ナチ・ボイコットとシオニスト゠ナチ通商協定
第7章 ヒトラーはシオニズムをどう見ていたか
第8章 パレスティナ──アラブ、シオニスト、イギリス、ナチス
第9章 世界ユダヤ人会議
第10章 改訂派シオニズムとイタリア・ファシズム
第11章 シオニズム改訂派とナチズム
第12章 ゲオルク・カーレスキ──クヴィスリング以前の、シオニストの中のヒトラー「クヴィスリング」
第13章 選ばれた人を選別する──「シオニストの酷薄さ」の原則
第14章 世界シオニスト機構とイタリア・ファシズム
第15章 オーストリアと「クリスチャンの中の、シオニズムの友だち」
第16章 東欧のユダヤ政党
第17章 スペイン──ナチスは闘い、シオニストは闘わず
第18章 自由民主主義政体におけるシオニズムの反ナチ闘争の敗北
第19章 シオニズムと日本の「大東亜共栄圏」
第20章 ポーランド、一九一八~一九三九年
第21章 ホロコースト期のポーランドにおけるシオニズム
第22章 シオニストとポーランド亡命政権のなれあい
第23章 非合法入国
第24章 戦時の救出失敗
第25章 ハンガリー、犯罪の中の犯罪
第26章 シュテルン団

索引
ユダヤ人組織及びシオニスト関連組織一覧
原注
訳注
訳者あとがき