共和制の理念
イマヌエル・カントと一八世紀末プロイセンの「理論と実践」論争

第17回 天野和夫賞受賞
A5判 / 372ページ / 上製 / 価格 5,500円 (消費税 500円) 
ISBN978-4-588-15094-4 C1010 [2018年08月 刊行]

内容紹介

カントは理想主義的・非政治的な哲学者であったのか。『ベルリン月報』誌上における論争、『永遠平和のために』、『人倫の形而上学』等の内在的読解に加え、その思想を歴史的コンテクストに位置づけていくことにより、理念と現実との間を架橋しようとした実践的思想家としてのカント像を提示する。一八世紀末プロイセンの政治状況下においてカントが構想した変革の戦略を明らかにする政治思想史研究。

著訳者プロフィール

網谷 壮介(アミタニ ソウスケ)

1987年大阪府生まれ。京都大学経済学部卒、東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程修了。博士(学術)。立教大学法学部助教。著書に『カントの政治哲学入門:政治における理念とは何か』(白澤社、2018年)、共著に『権利の哲学入門』(田上孝一編、社会評論社、2017年)がある。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

凡 例
 謝 辞
序 論
 非政治的な哲学者カント
 方法と視座
 課題と構成
第一章 理論と実践──プロイセンの論争
 第一節 プロイセンの論争
 第二節 カントの介入
 第三節 根源的契約の理念
 第四節 カントとフランス革命
第二章 自由の権利
 第一節 法の普遍的原理
 第二節 法的な、そして共和主義的な自由
 第三節 人間の権利と人間性の権利
第三章 私法から公法へ
 第一節 取得的権利の正当化
 第二節 自然法学における所有
 第三節 自然状態からの脱出義務
第四章 共和制の理念
 第一節 〈理念の国家〉あるいは純粋共和制
 第二節 代表の概念
 第三節 〈現象の国家〉における複数の共和制
第五章 執行する法論としての政治
 第一節 政治的思慮批判
 第二節 執行する法論あるいは共和主義的統治
 第三節 暫定性の政治学
第六章 人民の抗議と共和主義
 第一節 抵抗と抗議
 第二節 ドイツにおける言論の自由
 第三節 抗議の行為遂行的な力
結 論

 文献一覧
 事項索引
 人名索引

■訂正のお知らせ(編集担当者より)
下記に、刊行後に判明した本書の誤りについてお知らせいたします。

本文VII頁(謝辞)
「学位取得・平成二七年一月一一日」とありますが、「学位取得・平成二九年一月一一日」の誤りです。

読者の皆さまに謹んでお詫びを申し上げます。版を改める際には訂正させていただきます。

書評掲載

「図書新聞」(2019年2月16日号/有吉弘樹氏・評)に紹介されました。

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