ものと人間の文化史 190
寒天

四六判 / 324ページ / 上製 / 価格 3,300円 (消費税 300円) 
ISBN978-4-588-21901-6 C0320 [2023年07月 刊行]

内容紹介

江戸時代の初めに発明された、食物繊維の王様「寒天」。誰もが知る食品としてのみならず、医療現場や各種製造業でも素材として幅広く用いられている一方で、その歴史はほとんど知られていない。古代より伝わる心太(トコロテン)の歴史を皮切りに、摂津、薩摩、信州、天城、岐阜における寒天産業の盛衰をつぶさにたどり、樺太での寒天をめぐる知られざる闘争までを描き出す、本邦初の本格通史。

著訳者プロフィール

中村 弘行(ナカムラ ヒロユキ)

中村 弘行 1952年、三重県に生まれる。県立伊勢高校卒業後、東京教育大学、筑波大学大学院で教育学を学び、小田原短期大学食物栄養学科で39年間教員生活を送る。2015年から寒天研究を始め、調査のため、南は宮崎県から北はサハリンまで歩きまわった。著書:『人物で学ぶ教育原理』『食育のための教育原理』『花吹雪つづく道──小田原短期大学最終講義他』など多数。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

まえがき 

第1章 トコロテンの歴史
1 トコロテンと寒天
2 トコロテンの最初の文字
3 ココロフトはどのようにトコロテンに転訛したのか
4 トコロテン売りの変遷

第2章 寒天の発明
1 美濃屋太郎左衛門発明伝説
2 異説
3 私の独自調査

第3章 摂津の寒天
1 摂津の寒天の始まり
2 寒天製造法
3 仲間組合結成の機運
4 城山組と尼崎又右衛門
5 尼崎又右衛門の支配強化
6 薩摩、信州、丹波へ

第4章 薩摩の寒天
1 歴史的背景
2 寒天密造
3 地中に埋もれた石山寒天工場
4 有水川寒天工場
5 寒天工場遺跡の保存顕彰
補遺 昭和版「薩摩の寒天」

第5章 信州の寒天
1 信州における寒天製造の始まり
2 共倒れへの危惧と原藻不足
3 白川万蔵の活躍
4 幕末の信州寒天
5 明治時代における寒天製造

第6章 天城の寒天
1 伊豆国生産会社
2 寒天製造へ
3 朱書の入った未提出文書
4 朱書の背景と意図
5 残る寒天の地名等
6 大釜の発見

第7章 岐阜の寒天
1 副業
2 菖蒲治太郎
3 大口鉄九郎
4 三岩寒天製造所
5 農家副業の火が灯る

第8章 樺太の寒天(前編)
1 黒いトコロテン
2 杉浦六弥の栄光と没落
3 漁民、反撃開始
4 医師が漁業組合長に

第9章 樺太の寒天(後編)
1 協定締結
2 自由採取闘争と自家製造
3 帝国議会請願
4 最後の闘い

第10章 サハリンに日本人寒天遺跡を訪ねて

あとがき
参考文献
人名索引

書評掲載

「タウンニュース」(2023年08月12日号)に紹介されました。

「日本経済新聞」(2023年08月25日付/文化欄)に紹介されました。

「信濃毎日新聞」(2023年09月02日付)に紹介されました。

「神社新報」(2023年09月18日付/平井倫行氏・評)に紹介されました。

「読売新聞」(2023年10月08日付/金子拓氏・評)に紹介されました。

「文藝春秋」(2023年11月号/本郷恵子氏・評)に紹介されました。

「公明新聞」(2023年10月20日付)に紹介されました。

「北海道新聞」(2023年11月05日付)に紹介されました。

「民主青年新聞」(2024年01月29日号/浜田盛久氏・評)に紹介されました。

関連書籍

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宮下 章:著