サピエンティア 23
境界なきフェミニズム

四六判 / 424ページ / 上製 / 価格 4,290円 (消費税 390円) 
ISBN978-4-588-60323-5 C3336 [2012年04月 刊行]

内容紹介

人種や階級、性、国家といった境界を越えた連帯は可能だろうか。第三世界の貧しい女性の生活を出発点におき、植民地主義やグローバリゼーションを問うフェミニズム論。世界中で議論をよんだ「西洋の視線の下で」やその再考など、9つの論文からなる著者の代表作。フクシマを経験した私たちに勇気を与える「日本語版への序文」所収。

著訳者プロフィール

チャンドラー・タルパデー・モーハンティー(モーハンティー,C.T.)

(Chandra Talpade Mohanty)
インド・ムンバイ生まれ。現在、アメリカ合衆国のシラキュース大学女性・ジェンダー学教授。専門はフェミニズム理論。本書のほか、Third World Women and the Politics of Feminism (Indiana University Press, 1991), Feminist Genealogies, Colonial Legacies, Democratic Futures (Routledge, 1997), Feminism and War: Confronting U.S. Imperialism (Zed Press, 2008), The Sage Handbook on Identities (Sage Publications Ltd, 2010)などの編著がある。

堀田 碧(ホッタ ミドリ)

英国ケント大学大学院修了(女性学)。大学兼任講師を経て現在は翻訳家。
主な業績:『経済のグローバリゼーションとジェンダー』(共著、明石書店、2001年)、『新編日本のフェミニズム1』(共著、岩波書店、2009年)、ベル・フックス著『フェミニズムはみんなのもの』(単訳、2003年、新水社)、ベル・フックス著『とびこえよ、その囲いを―自由の実践としてのフェミニズム教育』(共訳、新水社、2006年)、『視覚文化におけるジェンダーと人種』(共訳、リサ・ブルーム著、2000年、彩樹社)ほか。

菊地 恵子(キクチ ケイコ)

米ウィリアム・アンド・メアリー大学大学院修了(教育学)。現在、立教大学ほか兼任講師(英語)。
主な業績:「語学教育とフェミニズムの交差」(『大学英語教育学会(JACET) 国際理解教育研究会論集』2001年)、"The Role of Shin-Eiken in Promoting Peace Education in English Classrooms"(共著、Human Rights Education in Asian Schools, Vol. 7, 2004),「インターネットで時事問題」(『新英語教育』No. 502、2011年)ほか。

吉原 令子(ヨシハラ レイコ)

ミネソタ州立大学大学院修了(修士号)。現在、日本大学教員。
主な業績:ベル・フックス著『とびこえよ、その囲いを』(共訳、新水社、2006年)、ケイト・ミレット著『マザー・ミレット』(共訳、新水社、2008年)、「アメリカ合衆国における同性婚の法制化の動向:1990年代の同性婚運動の要因について」(『英米文化』第39号、2009年)ほか。

我妻 もえ子(ワガツマ モエコ)

英国ウォーリック大学大学院修了(博士号)。現在、マカオ大学非常勤講師。
主な業績:ゴードン・マシューズ/ブルース・ホワイト編『若者は日本を変えるか―世代間断絶の社会学』(共著、世界思想社、2010年)、「中国冷凍餃子事件の異文化理解」(『化学生物総合管理』第7巻第2号、2011年)ほか。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

 日本語版への序文
 謝辞
  
序章 脱植民地主義、反資本主義批評とフェミニズムの課題

 第 I 部 フェミニズムの脱植民地化
第1章 西洋の視線の下で──フェミニズム理論と植民地主義言説
第2章 闘いの地図を描く──第三世界女性とフェミニズムの政治学
第3章 「ホーム」っていったい何だ?
第4章 シスターフッド、連合、経験の政治学
第5章 コミュニティ、ホーム、国家の系譜

 第 II 部 資本主義の脱神話化
第6章 女性労働者と連帯の政治学
第7章 民営化する市民権、企業化する大学とフェミニズムの課題
第8章 人種、多文化主義と差異の教育

 第 III 部 新たなフェミニズムへ
第9章 「西洋の視線の下で」再考──反資本主義の闘いとフェミニストの連帯

 訳者あとがき
 参考文献
 索引

関連書籍

U.ナラーヤン著/塩原良和監訳『文化を転移させる』(小局刊)