サピエンティア 36
医師の社会史
植民地台湾の近代と民族

四六判 / 396ページ / 上製 / 価格 4,840円 (消費税 440円) 
ISBN978-4-588-60336-5 C3330 [2014年04月 刊行]

内容紹介

日本植民地統治下で近代化を推進する役割を担った「国家の医師」は、文化的抑圧とイデオロギー的制圧の下で、何を犠牲にし、何を獲得しようとし、そして如何なる「抵抗」を試みたのか。歴史における植民地主義の問題と、社会学における専門職業化の問題を架橋し、冷徹な分析をしつつも、抑圧される側の複数の声への深い共感によって、医師たちの深い内面的な闘争と相克を描き出す。

著訳者プロフィール

ロー・ミンチェン(ミンチェン,L.)

(Ming-Cheng M. Lo, 駱明正)
1996年よりカリフォルニア大学デーヴィス校社会学科にて助教,准教授を務めた後,2011年より同教授。
主要業績:Handbook of Cultural Sociology (共編,2010, London: Routledge), “CulturalBrokerage: Creating Linkages between Voices of Lifeworld and Medicine in Cross-Cultural Clinical Settings”, Health 14 (5); “Hybrid Cultural Codes in Non-Western Civil Society: Images of Women in Taiwan and Hong Kong”, (共著), Sociological Theory, 28 (2)など多数。

塚原 東吾(ツカハラ トウゴ)

1961年東京生まれ。ライデン大学医学部にて1993年博士号取得。
現在,神戸大学大学院国際文化学研究科教授。
主要業績:『科学と帝国主義──日本植民地の帝国大学の科学史』(皓星社,2006);「〈帝国〉とテクノサイエンス」『現代思想』41巻9号(2013年7月号);「ポスト・ノーマル時代の科学の公共性」『科学』vol. 83, no. 3(2012年3月号);カウシック・S・ラジャン 著『バイオ・キャピタル──ポストゲノム時代の資本主義』(青土社,2011,翻訳);ダニエル・R・ヘッドリク『情報時代の到来──「理性と革命の時代」における知識のテクノロジー』(法政大学出版局,2011,共訳)など。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序言
謝辞
日本語版への序文

第1章 日本統治下の台湾人医師──対立する矛盾と交渉するアイデンティティ
第2章 台湾──植民地権力の結びつき
第3章 国家の医師(1920年─1931年)
第4章 運動解体の時代(1931─1936)
第5章 医学的近代主義者(1937─1945)
第6章 医学における境界──中国における同仁会プロジェクト
第7章 専門職のアイデンティティ、植民地的両義性と近代性のエージェント
付論──史料とデータについて

訳者あとがき


参考文献
事項索引
人名索引

書評掲載

「図書新聞」(2014年11月22日号/加藤茂夫氏・評)に紹介されました。

関連書籍

鄭栄桓著『朝鮮独立への隘路』
磯前順一著『閾の思考』
池田亮著『植民地独立の起源』