サピエンティア 62
誰の日本時代
ジェンダー・階層・帝国の台湾史

洪郁如:著
四六判 / 306ページ / 上製 / 価格 3,080円 (消費税 280円) 
ISBN978-4-588-60362-4 C1320 [2021年05月 刊行]

内容紹介

「日本時代」とは何か。印象論的な「親日台湾」を乗り越え、台湾のいまを知るためには、とりわけ日本が深く関わった時代に正面から向き合う作業が避けて通れない。植民地統治は、当時の台湾の人々の生活とその戦後をどのように規定していったのか。本書は語られなかった、書かれなかった日本時代にフォーカスし、個人史と家族史を中心に新たな視座を提供する。

著訳者プロフィール

洪郁如(コウ イクジョ)

(HUNG Yuru)
台湾彰化県生まれ。台湾大学法学院政治学系卒業,東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了,博士(学術)。現在,一橋大学大学院社会学研究科教授。専門は近現代台湾社会史。
主要業績:
著書に『近代台湾女性史―日本の植民統治と「新女性」の誕生』勁草書房,2001年。編著に『性別與権力』国立台湾大学出版中心,2020年。論文に「フェミニズム運動,政党,キャンパス――近現代台湾政治と女性」『言語文化』(52),2015年,「植民地台湾の〈モダンガール〉現象とファッションの政治化」タニ・バーロウ/伊藤るり/坂元ひろ子編『モダンガールと植民地的近代――東アジアにおける帝国・資本・ジェンダー』岩波書店,2010年,「女子高等教育の植民地的展開――私立台北女子高等学院を中心に」香川せつ子/河村貞枝編『女性と高等教育――機会拡張と社会的相克』昭和堂,2008年など。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はしがき 
第一章 理解と和解の間:「親日台湾」と歴史の記憶
第二章 読み書きと植民地:台湾の識字問題
第三章 植民地の法と慣習:台湾社会の女児取引をめぐる諸問題
第四章 近現代台湾女性の識字とエンパワーメント
第五章 植民地台湾の製帽業にみられるジェンダー・階層・帝国
第六章 帝国日本のなかの女性の移動:台湾を中心に
第七章 戦争記憶と植民地経験:在台日本人女性の日記から
第八章 ある台湾人少女の帝国後:嶺月の文学活動と脱植民地化
第九章 戦後の台湾農村における学歴と教職
初出一覧 
あとがき 
索  引

書評掲載

FMラジオ「ACROSS THE SKY」(2021年07月04日/DAIWA HOUSE MY BOOKSHELF、作家温又柔さんの本棚)に紹介されました。

「朝日新聞」(2021年07月31日付/温又柔氏・評)に紹介されました。

「図書新聞」(2021年11月06日号/山本和行氏・評)に紹介されました。

「書標(ほんのしるべ) 」(2022年02月号、2022年02月05日発行)に紹介されました。

「中国研究月報」(2022年05月号、2022年05月25日発行/三澤真美恵氏・評)に紹介されました。

「東アジア近代史」(27号、2023年06月/松金公正氏・評)に紹介されました。

関連書籍

『植民地を読む』
星名 宏修:著
『医師の社会史』
ロー・ミンチェン:著
『言葉と爆弾』
ハニフ・クレイシ:著
『標的とされた世界』
レイ・チョウ:著
『始まりの知』
冨山 一郎:著
『阿姑とからゆきさん』
ジェームズ・フランシス・ワレン:著