叢書・ウニベルシタス 1047
インティマシーあるいはインテグリティー
哲学と文化的差異

四六判 / 318ページ / 上製 / 価格 3,740円 (消費税 340円) 
ISBN978-4-588-01047-7 C1310 [2016年07月 刊行]

内容紹介

なぜ文化をめぐって衝突や軋轢、摩擦が起きるのか。そして、日本人の問いは、西洋における哲学的問いの多くとは、なぜ異なっているのか。あらゆる文化に共存する二種類の概念を縦横に論じ、従来の日本人論や日本文化論、比較文化論や異文化コミュニケーション論の枠組みから、さらに文化決定論の限界を超えて、画期的な「文化哲学」を提示する。異文化間に存在する根源的問題に迫り、グローバル化なればこそ人文学の不可欠なことを明証する。

著訳者プロフィール

トマス・カスリス(カスリス トマス)

(Thomas P. Kasulis)
イェール大学で博士号(Ph.D)を取得。博士論文は後に『禅の行為/禅の人格』(Zen Action/ Zen Person, University of Hawai‘i Press, 1981)として刊行される。オハイオ州立大学の比較文化学教授として長く宗教学、哲学、東アジア学を講じ、2015年に退職。現在は特別名誉教授。邦訳された著書に『神道』(衣笠正晃訳、守屋友江監訳、ちくま学芸文庫、2014年)がある。2011年に共編『日本哲学原典翻訳資料集』(Japanese Philosophy: A Sourcebook, eds. James W. Heisig, Thomas P. Kasulis & John C. Maraldo)を刊行、現在は『日本哲学史』(仮題)を執筆中。

衣笠 正晃(キヌガサ マサアキ)

法政大学国際文化学部教授。フルブライト奨学生としてコロンビア大学大学院東アジア言語文化研究科に留学し、博士論文提出資格(M.Phil)を取得。東京大学大学院博士課程単位取得満期退学。専門は比較文学。主な著作に、「幽玄・象徴・多義性:上田敏の詩学をめぐって」(『言語と文化』8号、2011年)、「国文学者・久松潜一の出発点をめぐって」(『言語と文化』5号、2008年)、和辻哲郎『初版 古寺巡礼』(解説執筆、ちくま学芸文庫、2012年)などがあり、訳書に、トーマス・カスーリス『神道』(ちくま学芸文庫、2014年)、ジャック・デリダ著、ジョン・D・カプート編『デリダとの対話:脱構築入門』(共訳、法政大学出版局、2004年)、ハルオ・シラネ『芭蕉の風景 文化の記憶』(角川書店、2001年)がある。

高田 康成(タカダ ヤスナリ)

名古屋外国語大学現代国際学部教授。東京大学名誉教授。表象古典文化論専攻。主な著作に、『クリティカル・モーメント:批評の根源と臨界の認識』(名古屋大学出版会、2010年)、『キケロ:ヨーロッパの知的伝統』(岩波新書、1999年)、共著としてClassics and National Cultures (Oxford University Press, 2010), Platonism and the English Imagination (Cambridge University Press, 2005)、『ムーサよ、語れ:古代ギリシア文学への招待』(三陸書房、2003年)などがあり、訳書に、『エラスムス=トマス・モア往復書簡』(共訳、岩波文庫、2015年)、ジョージ・スタイナー『師弟のまじわり』(岩波書店、2011年)などがある。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

目次

日本語版への序文
謝辞

序章

第一章 文化的指向性

第二章 インティマシーとは何か

第三章 インテグリティーとは何か

第四章 世界観としてのインティマシーとインテグリティー
    認識論、分析と議論、形而上学

第五章 インティマシーとインテグリティーの規範的領域
    美学、倫理学、政治学

第六章 異文化の衝突
    インティマシーとインテグリティーが衝突するとき

インティミットな書誌

解説「文化的指向性」論の基底と射程

訳者あとがき

索引

書評掲載

「東洋経済ONLINE」(2016年9月3日付/堀内勉氏・評)にて紹介されました。