叢書・ウニベルシタス 1074
左翼のメランコリー
隠された伝統の力 一九世紀~二一世紀

四六判 / 306ページ / 上製 / 価格 4,070円 (消費税 370円) 
ISBN978-4-588-01074-3 C1310 [2018年01月 刊行]

内容紹介

挫折した革命と夢破れたユートピアの記憶に宿るメランコリーは、左翼思想・文化をいかに形づくってきたのか。マルクス、ベンヤミン、ダニエル・ベンサイドらのテクストを背景に、ソ連芸術の諸潮流、ネオレアリズモの諸作品やテオ・アンゲロプロス、クリス・マルケル、ケン・ローチ、パトリシオ・グスマンらのイメージが織りなす喪と再生の左翼史。

著訳者プロフィール

E.トラヴェルソ(トラヴェルソ エンツォ)

(Enzo Traverso)
1957年、イタリアのガヴィに生まれ、ジェノヴァ大学で現代史を修める。1985-89年、フランス政府給費留学生としてパリに滞在。パリの社会科学高等研究院で、ミシェル・レヴィ教授の指導の下に、社会主義とユダヤ人問題に関する論文で博士号を取得。ナンテール-パリ第10大学の国際現代文献資料館研究員となり、サン・ドゥニ-パリ第8大学や社会科学高等研究院で社会学を講ずる。ピカルディ・ジュール・ヴェルヌ大学教授を経て、現在コーネル大学教授。フランス語で著書・論文を発表し、各種の新聞・雑誌に寄稿している。日本語訳に『ユダヤ人とドイツ』(宇京頼三訳、法政大学出版局)、『マルクス主義者とユダヤ問題』(宇京訳、人文書院)、『アウシュヴィッツと知識人』(宇京訳、岩波書店)、『全体主義』(柱本元彦訳、平凡社新書)がある。

宇京 賴三(ウキョウ ライゾウ)

1945年生まれ。三重大学名誉教授。フランス文学・独仏文化論。著書に、『フランス-アメリカ──この〈危険な関係〉』(三元社)、『ストラスブール──ヨーロッパ文明の十字路』(未知谷)、『異形の精神──アンドレ・スュアレス評伝』(岩波書店)、『仏独関係千年紀──ヨーロッパ建設への道』(法政大学出版局)、訳書に、トラヴェルソ『ユダヤ人とドイツ』(法政大学出版局)、同『マルクス主義者とユダヤ問題』(人文書院)、同『アウシュヴィッツと知識人』(岩波書店)、オッフェ『アルザス文化論』(みすず書房)、同『パリ人論』(未知谷)、ルフォール『余分な人間』(未來社)、同『エクリール』(法政大学出版局)、フィリップス『アイデンティティの危機』(三元社)、同『アルザスの言語戦争』(白水社)、カストリアディス『迷宮の岐路』(法政大学出版局)、同『細分化された世界』(法政大学出版局)、ロレーヌ『フランスのなかのドイツ人』(未來社)、バンダ『知識人の裏切り』(未來社)、トドロフ『極限に面して』(法政大学出版局)、アンテルム『人類』(未來社)、センプルン『ブーヘンヴァルトの日曜日』(紀伊國屋書店)、オルフ=ナータン編『第三帝国下の科学』(法政大学出版局)、フェリシアーノ『ナチの絵画略奪作戦』(平凡社)、リグロ『戦時下のアルザス・ロレーヌ』(白水社)、ソゼー『ベルリンに帰る』(毎日新聞社)、ファーブル=ヴァサス『豚の文化史』(柏書房)、ブラック『IBMとホロコースト』(柏書房)、ボードリヤール/モラン『ハイパーテロルとグローバリゼーション』(岩波書店)、クローデル『大恐慌のアメリカ』(法政大学出版局)、ミシュレ『ダッハウ強制収容所自由通り』(未來社)がある。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次


第一章 敗者のメランコリー
 敗者とともに遭難
 敗者の左翼
 系 譜
 ヴァルター・ベンヤミンの二律背反
 メランコリックな賭け
第二章 マルクス主義と記憶
 記憶の入口、マルクス主義の出口
 未来の記憶
 神話と記憶
 過ぎ去った未来
第三章 メランコリックな映像──敗北した革命の映画
 映画と歴史(歴史の映像形態)
 戦後の体制復古
 植民地革命
 記憶の場
 赤い影
 スペインの亡霊
 サンティアゴの思い出
 U-トピア
第四章 植民地主義の亡霊
 マルクスと西欧
 ヘーゲル的母型
 歴史なき民
 暴力と反抗
 遺 産
 亀 裂
第五章 時の一致
 ポルトボウ
 パ リ
 マルクスを再解釈する
 共時態──一九四〇年と一九九〇年
 歴史主義
 革 命
 ユートピア
結 論
 
 原 注
 訳者あとがき
 人名索引

書評掲載

「出版ニュース」(2018年4月上旬号)にて紹介されました。

関連書籍

『ユダヤ人とドイツ』
E.トラヴェルソ:著
『映画と経験』
ミリアム・ブラトゥ・ハンセン:著
『サラリーマン』
ジークフリート・クラカウアー:著
『仏独関係千年紀』
宇京 賴三:著
『大恐慌のアメリカ』
P.クローデル:著
『第三帝国下の科学』
J.オルフ=ナータン:編
『エクリール』
C.ルフォール:著
『細分化された世界』
C.カストリアディス:著
『迷宮の岐路』
C.カストリアディス:著