叢書・ウニベルシタス 1108
国家に抗するデモクラシー
マルクスとマキァヴェリアン・モーメント

四六判 / 310ページ / 上製 / 価格 3,740円 (消費税 340円) 
ISBN978-4-588-01108-5 C1310 [2019年12月 刊行]

内容紹介

「国家」と「デモクラシー」を安易につなぎ合わせる「民主的国家」という表現に抗して、マキァヴェッリが発見した自由の源泉である、有力者と民衆の絶えざる闘争を導入し、国家とは異なる政治的共同体の探求と、民衆(デモス)を主体とする「真のデモクラシー」を解明せんとするマルクスの試みのただなかに「政治的なもの」への哲学的探求の過程を跡づける。著名な政治哲学者が生前に遺した唯一の体系的著作。待望の初邦訳。

著訳者プロフィール

ミゲル・アバンスール(アバンスール ミゲル)

(Miguel Abensour)
フランスの政治哲学者。1939年パリ生まれ。「ユートピア」「解放」「批判」といった概念を主軸として、現代における「政治的なもの」を問い直した。ランス大学、パリ・ディドロ大学(パリ第7大学)で教鞭を執るかたわら、国際哲学コレージュ議長を務めた。クラストル、ルフォール、カストリアディス等とともに、雑誌『テクスチュール』、『リーブル』、『過去 – 現在』、『騒乱』に参加。Payot社の『政治の批判』叢書の監修を担当し、ラ・ボエシ、ブランキの再評価や、アドルノ、ホルクハイマーを中心とした批判理論受容に尽力したことでも知られる。2017年死去。著書に『トマス・モアからヴァルター・ベンヤミンまでのユートピア』(2000年)、『政治哲学に抗するハンナ・アレント』(2006年)、『批判政治哲学のために』(2009年)など。編書に『サン゠ジュスト全集』(2004年)など。

松葉 類(マツバ ルイ)

1988年生まれ。京都大学大学院文学研究科思想文化学博士後期課程。現代フランス思想、ユダヤ思想。論文に「レヴィナスの有限責任論について――制度における主体性の問い」(『立命館大学人文科学研究所紀要』、2017年)、「レヴィナス後期思想における『より良いもの』について――エルンスト・ブロッホを起点として」(『宗教学研究室紀要』、2016年)など。訳書にフロランス・ビュルガ『猫たち』(共訳、法政大学出版局)など。

山下 雄大(ヤマシタ タケオ)

1988年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程。政治哲学、政治思想史。論文に「統治への不信――サン゠ジュストの政治哲学とその適用」(『年報地域文化研究』、2019年)、「統治なき自然、蜂起するデモクラシー――ミゲル・アバンスールのサン゠ジュスト論から出発して」(『自然――HAPAX 9』、2018年)など。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

第二版への序文 蜂起するデモクラシーについて
イタリア語版への序文 蜂起するデモクラシーと制度
序説
序章
第一章 理性的国家というユートピア
第二章 政治的知性
第三章 一八四三年の危機から政治の批判へ
第四章 読解上の仮説
第五章 真のデモクラシーの四つの特徴
第六章 真のデモクラシーと近代性
終章
補論 「野生のデモクラシー」と「無始原の原理」
訳者あとがき

書評掲載

「図書新聞」(2020年6月20日号/伊藤潤一郎氏・評)に紹介されました。

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