叢書・ウニベルシタス 1140
民主主義が科学を必要とする理由

四六判 / 278ページ / 上製 / 価格 3,080円 (消費税 280円) 
ISBN978-4-588-01140-5 C1330 [2022年01月 刊行]

内容紹介

科学は様々な攻撃を受けている。真理を見ようとしない人々によって批判され、時には、環境に対する災厄の道具とみなされたり、経済的観点だけで価値を考える政治体制から圧力を受けたりもする。それでも、民主主義社会は科学を必要としている。その理由を具体的な事例と研究の蓄積によって丁寧に説明し、社会における科学の役割、科学者たちの道徳的責任を問う、科学論・専門知論の第一人者によるマニフェスト。

著訳者プロフィール

ハリー・コリンズ(コリンズ ハリー)

(Harry Collins)
1943年生まれ。イギリスの科学社会学者。2012年にイギリス学士院フェローに選出。現在、ウェールズのカーディフ大学特別栄誉教授。かつて、バース大学の教授職を務め、「バース学派」と呼ばれる「科学的知識の社会学」の研究者グループの中心を担った。現在は、専門知論を中心とした科学論の「第三の波」の提唱者として著名で、重力波物理学コミュニティについての研究でも知られる。邦訳された著作に、『我々みんなが科学の専門家なのか?』(鈴木俊洋訳、法政大学出版局、2017年)、『専門知を再考する』(R. エヴァンズとの共著、奥田太郎監訳、和田慈、清水右郷訳、名古屋大学出版局、2020年)、『解放されたゴーレム――科学技術の不確実性について』(T.ピンチとの共著、村上陽一郎・平川秀幸訳、ちくま学芸文庫、2020年)、『七つの科学事件ファイル――科学論争の顚末』(T.ピンチとの共著、福岡伸一訳、化学同人、1997年)などがある。

ロバート・エヴァンズ(エヴァンズ ロバート)

(Robert Evans)
1968年生まれ。イギリスの科学社会学者。現在、ウェールズのカーディフ大学教授。科学技術論(STS)の分野を専門領域として、様々な科学分野についての事例研究を中心に多くの著作や論文を公刊している。コリンズとともに「専門知論」や科学論の「第三の波」の提唱者として有名で、本書以外にもコリンズとの共著を多く公刊している。邦訳された著作に、コリンズとの共著『専門知を再考する』がある。

鈴木 俊洋(スズキ トシヒロ)

1968年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻博士課程修了。博士(学術)。現在、崇城大学総合教育センター教授。主な著作に、『数学の現象学――数学的直観を扱うために生まれたフッサール現象学』(法政大学出版局、2013年)、『理系のための科学技術者倫理――JABEE基準対応』(共著、丸善出版、2015年)、『岩波講座 哲学05 心/脳の哲学』(共著、岩波書店、2008年)など。訳書に、M. クーケルバーク『AIの倫理学』(共訳、丸善出版、2020年)、H. コリンズ『我々みんなが科学の専門家なのか?』(法政大学出版局、2017年)、P.-P. フェルベーク『技術の道徳化――事物の道徳性を理解し設計する』(法政大学出版局、2015年)などがある。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序文

第Ⅰ部 導入
第一章 道徳的選択としての科学
    科学的な諸価値のための道徳的事例
    科学論の三つの波
    啓示と証明
    本書の構造

第Ⅱ部 選択的モダニズム
第二章 科学を選ぶ
    科学的価値と技術的局面
    境界設定の問題
    科学の形成的意志
    伝統的な科学哲学から引き継がれる科学の形成的意志
    マートンの科学社会学における形成的意志
    その他の形成的意志
    論理的機械としての科学と生活形式としての科学
    ハード・ケース──科学が有効性を持たなくても科学を擁護する
    さしあたりの結論
第三章 選択的モダニズム、民主主義、科学
    選択的モダニズムの射程
    選択的モダニズムと政治的局面
    新しい科学の理解──フクロウ委員会
    政策的助言のための新制度
    まだ解決を必要とする問題
    結論

第Ⅲ部 学術的文脈
第四章 学術的文脈における選択的モダニズム
    選択的モダニズムと科学論の第二の波
    学術的な先駆者と同時代人
第五章 制度的変革
    市民パネル、市民陪審、コンセンサス会議
    構成的技術アセスメント
    市民科学
    公開討論会と公聴会
    科学技術への公衆の参加
    政策助言者としての専門家
    結論

第Ⅳ部 マニフェスト
第六章 選択的モダニズムと民主主義
    素朴さに賭けてみてはどうだろうか

訳者あとがき
参考文献
索引

関連書籍

『技術の道徳化』
ピーター=ポール・フェルベーク:著
『社会的なものを組み直す』
ブリュノ・ラトゥール:著
『危険社会』
U.ベック:著
『核の脅威』
G.アンダース:著